緑陰に母の見てゐるホームラン：藤井啓子

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緑陰に母の見てゐるホームラン：藤井啓子
夏休みは少年少女の本領発揮の季節である。今サンサンクラブの４番が打って走ってホームイン、ホームランとなった。緑陰で見ているお母さんの心臓はバグバグで破裂しそうである。緑陰のそよ風がこの熱中を冷ませるはずがない。我が子がヒーローとなった一瞬が今お母さんの宝物となった。少年の夏休みはお母さんの夏休みでもある。＜緑陰の風さやさやと吹き渡る：やの字＞：朝日新聞『朝日俳壇』（2021年８月８日）所載。