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春愁やパブロピカソの本借りに 田中陶白

2018年03月31日 | 俳句
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田中陶白
春愁やパブロピカソの本借りに
明るい春なのに心に愁いを感じる。そんな或る日ふと思い立ってピカソの本を借りにゆく。画風としては抽象画で有名ではあるが青の時代とか様々な変遷がある。心の愁いを晴らすぱっと明るい絵に出合いたかったのかもしれぬ。いやむしろ今の自分に重なった愁いの絵に会いたかったのかもしれぬ。それとも複雑な心の変遷を辿りたかったか。兎にも角にもこの厄介な春愁いにとっぷりと作者は浸かっている。それも良いではないか、一句でも捻って一層の春愁いに佇ずもう。:俳誌『百鳥』(2017年6月号)所載。

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