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汽罐車の火夫に故郷の夜の稲架 大野林火

2016年09月14日 | 俳句
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大野林火
汽罐車の火夫に故郷の夜の稲架

火夫が汽罐車の罐焚きに没頭している。いま汽罐車は彼の故郷を通過している。夜の沿線には稲架が立ち並んでいるが闇の中、火夫は心に沁みついた心眼でそれを見ている。年老いた父母や兄弟は達者で農事に励んでいる事だろう。罐焚きの石炭をくべる手にぐっと力が入った。闇の鉄路に夜汽車の通過音とポーが高らかに響いた。『雪華』(1965)所収):やんま記

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