やんまの気まぐれ・一句拝借!

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冬の霧寄生木のなほみどりなる 満田春日

2020年01月27日 | 俳句
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満田春日
冬の霧寄生木のなほみどりなる

冬の早朝に霧が辺りを覆った。景色が霧の灰色一色となった中に寄生木(やどりぎ)だけが緑色に浮いている。人という社会的存在は社会の中の居場所によって色を変えて生きていゆく。思えば自己を他人にすがって生きてきた自分とはなんだったのだろう。人の世の人の情けが自分を養ってきたのか。いやいや確かに自分の居場所をここに見つけて自分らしく生きてきたはずである。自分が自分色にきっと見えていたはずである。霧が晴れても自分は自分色である。:俳誌「はるもにあ」(2020年1月号)所載。
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堅き意志もちて凍蝶羽を閉じ 寂仙

2020年01月27日 | 俳句
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寂仙
​堅き意志もちて凍蝶羽を閉じ​

寒気に包まれてまだまだ寒い日が続いている。こんな日に一隅の蝶々が目に入った。じっとして動かない。凍てついた様に固まっている。ふとこれは堅い意思をもって羽を閉じているのだと読み取った。禅僧の達磨さんの様な事だろうか。さて土筆とか蛇の様に季節にきっちり従って顔を出すものが多いが、季節を違えて顔を出すものもある。我が周辺でも蒲公英とか蝶々は年を通してみられる。それにしてもこの寒いのに何に迷って歯車を狂わせてしまったか。この凍蝶には人生に何かを抱えている作者の投影がある。:ネット俳句「つぶやく堂俳句喫茶店」(2020年1月24日付)所載。
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