その翌日は私に仕事があったため、彼は一人で清水寺と東寺の骨董市へ出かけて行った。
夕方買い物をしにスーパーに寄ったら、何と彼と遭遇!!
花を買っていた。「サプライズのプレゼントをしようと思ったのに」と言われ、ちょっと残念そうだった。
帰ったら帰ったで、骨董市で買ったアンティークな和食器で蓋物と小皿とプレゼントしてもらった。
彼としては急な滞在になり、気を使ってくれているようだった。
彼は日本のお魚が好きなので、その夜も海鮮ちらしにした。
翌日は雨だったが、大阪心斎橋へ一緒に出かけた。
こういうひょうきんなものもすぐ試す
彼は一度フグを食べたいと希望し、お昼時、しかもオフシーズンなので
リーズナブルな料金で食べられる店を偶然見つけたのだった。
初めてのフグ尽くしに、ふぐのひれ酒から始まり白子や雑炊まで「どれもおいしい」と大そうお気に召したようだった。
山椒や大葉など香味の強いものが「ハーブのようで」好きなんだそうだ。
彼によると、「今のフランス料理は日本料理を真似しているものが多い」とのことである。
そう言われてみて、やはりフランス人は食通なので、日本料理の繊細な味加減も理解できるのだなと感じた次第だ。
日本とフランス、全然違うところもあるが、共通する部分も確かにあるように思う。
ここは彼が御馳走させてほしいとのことで、お言葉に甘えることにした。
帰国後もずっと彼はフグを食べたことが嬉しくて、友人たちにも自慢したそうだ。
夜は習字をして、それも気に入ったが、日本の印鑑にも興味を示し、帰るまでに自分の名前を漢字にした印鑑を買いたいと言った。
そう言えば、その前に来たジェラールも苗字がアルファベットで4文字なので
高島屋で彫ってもらったことを思い出した。
クリスチャンには栗巣という字をあて、それが栗と巣と言う意味だと言うと、生まれたところが栗が名産のところ(Ardeche)だと、大そう気に入り、それ以来メールでも栗巣と書いてくるようになった。