たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

新聞も価格競争時代か

2006-03-16 09:29:05 | Weblog
 現在、新聞の場合は新聞社と販売店が、地域や相手によって異なる定価をつけることが禁じられているが、この特殊指定を見直す意向を公取委が示したことで、新聞界は騒然としている。新聞が特殊指定されてきたのは「新聞のような文化的に崇高な使命を有する商品は値引き販売すべきものではない」との考え方によるもののようである。
 公取の意向に対し新聞協会は見直し反対の声明を出した。その趣旨は、新聞は国民の知る権利に寄与するものであり、こうした使命は公正な競争を通じ、同一紙同一価格で戸別配達により提供されることにより実現される。新聞販売店による定価割引の禁止を定めた特殊指定は再販制度と一体でありその見直しは再販制度を骨抜きにする。価格競争は販売システムを混乱させ新聞の質の低下を招き、そのしわ寄せは読者が受けることになるというものである。一方、公取委としては再販制度が残る以上、流通システムは変わらないとしている。
 規制緩和は経済に活力をもたらし、切磋琢磨の結果、より質の良い物をより安く提供されることが期待されているが、分野によってはそうとばかりは言えないのか。

周波数変換機

2006-03-15 10:34:58 | Weblog
 電力会社が供給する電気は交流で西日本は60ヘルツ、東日本は50ヘルツとなっている。明治時代に輸入した発電機が西日本では60ヘルツの米国製、東日本が50ヘルツのドイツ製であったため今日のように日本が二つの周波数に分かれた。そのため東西の電力融通が困難となっていた。しかし近年周波数変換機が登場し、中部電力においては初めての周波数変換機が今月末に一部稼動する。このように少しずつではあるが緊急時における東西の電力が融通できるようになってきた。鉄道の軌道の幅も狭軌と広軌があるが、やはり明治の時代に日本は国土が狭いからという理由で狭軌とされ今日に至っている。いいずれも出発時点では将来予測が難しいため現実対応で取り入れたのであろうが、社会の進歩で不都合が生じ、新幹線などは広軌としている。
 このようなことは最近でもレコーダーの異なる録画方式の争いやコンピューターの互換性などで問題となることが多い。世界が狭くなったので基準が統一されればユーザーにとっては大変便利だが、そうはいかないらしい。

審判を何とかしてくれ

2006-03-14 09:56:28 | Weblog
 昨日のWBC日本対米国の試合で起きた審判の問題のジヤッジには、大多数の日本人が腹を立てたろう。8回一死満塁。岩村の打球はやや浅いレフトフライ。しかし十分に犠牲フライとなる当たりだ。三塁走者西岡は当然ホームを突く。返球は大きくそれてゆうゆうセーフ。これで逆転。問題はここで起こった。米チームの監督は西岡が捕球前に離塁したと抗議。球審はそれを受け入れアウトと宣告。収まらないのは日本の王監督だ。一連の動きに二塁塁審はその時セーフのジェスチャーをしている。抗議したが受け入れられない。テレビでは繰り返しリプレーでその瞬間を映していたが、誰が見てもセーフだと思われる。
審判団は「三塁塁審は左翼手の捕球を確認し、二塁塁審は三塁走者の離塁を確認する。そして球審が飛球と離塁を確認し、アウト、セーフの判定を下すシステムだ」と説明。球審の判定が最終のものだとした。
 これには米国の各新聞でも批判的論調が多かったという。それに米国戦に米国人審判というのも一般的ではない。第三国がやるのが普通だ。ともかく後味の悪い試合であった。

「申し訳ございませんでした」

2006-03-13 11:22:08 | Weblog
 近頃不祥事件を起こした会社や団体の幹部達がテレビカメラの前で一斉に立ち上がり、「申し訳ございませんでした」と頭を下げる場面がやたら多いような気がする。事情説明や釈明を先に長々とやると、反省が足りない、弁解ばかりしている、責任感が欠如しているなどといろいろ言われるので、手っ取り早く先ずは頭を下げて謝ったほうが風当たりが少ないと考えているのかも知れない。
 マスコミ報道をみていると確かに謝罪に対するこだわりが強いように見受けられる。しかし、パターン化したような謝罪場面はどうも空々しく感ずる。恭順の意を表し、深々と頭を下げ、いかなる懲罰も受け入れますと表明し、一件落着したかに見えた永田議員に対して、今では自党他党を問わず、自発的に議員辞職すべきだとの大合唱である。一方、ライブドアの堀江前社長は謝るどころか、今もって違法性の認識がなかったことを主張し、拘置所生活をものともせず読書に専念しているという。
 謝罪は感情に訴えるには有効な手段だが、謝罪の気持ちを具体的行動で示すことは難しい。

勇気ある発言

2006-03-12 10:08:21 | Weblog
 報道によれば、昨日の講演会で自民党の久間総務会長は、現在検討されている都心の公務員宿舎売却に関して「官庁は永田町、霞ヶ関周辺にある。公務員が都心に住まなければ何か起こった時に対応できない」と批判、有事に備える必要性を強調し、異議をとなえたという。一部の公務員宿舎が都心の一等地にあり、しかも格安の家賃であることに対し、マスコミなどからの批判が高まっている中、こうした発言をするのはなかなか勇気がいる。
 現在、何かにつけ公務員を批判する大衆迎合的な風潮があるが、制度の本質を見極めることなく、ただ表面的なことで一方的に批判するのはおかしい。久間氏は宿舎の家賃が低額だとの指摘についても「家賃を比較しても意味がない。必要ならただで住んでもらわないといけない」、そして「国家公務員は能力が平均以上の人材を集めなければならず、官民格差は当たり前。官僚をたたいて一番困るのは国民だ」と述べたという。
 官と民はその待遇が同等でなければならないというのが平均的な考え方かもしれないが、国を動かす重要な役割を担う部分の待遇を良くするのは当然だと思われる。

格差社会

2006-03-11 09:46:03 | Weblog
 衆参の予算委員会において小泉改革の光と影について論議がなされてきた。その影の部分、中でも格差社会について野党は小泉内閣を追及してきたが、ガセメールで痛手を受けた民主党は元気がなく小泉首相に押し切られてしまった。
 「格差社会は悪いとは思わない。能力があり努力した者が報われることは当然であり、一方、競争に敗れ一旦は負け組になっても再度の挑戦で勝ち組になるチャンスもある」と小泉首相は言っている。至極当然で反論の余地はないように思える。しかし現実を振り返ってみると、例えば正社員(勝ち組)になり損ねて、パート契約社員(負け組)になった場合、いくらがんばったとしても正社員になることは極めて難しい。
 不況のどん底から、数々のリストラ経てどうにか景気が回復してきたのは、正社員の数を極力抑え、安くてフレキシブルに使えるパート契約社員を多く使って来たことが大きい。まだまだ人件費の安い中国などと価格競争をしなければならない状況が続く限りこの問題の解決も難しい。

中国の底力

2006-03-10 13:48:09 | Weblog
 近年中国の経済発展は目覚しいものがあり、今やアジア経済の中心となっている。
 中国では小平時代に南部沿海地域を経済特区に指定し、先に一部の人々が豊かになることを認める「先富論」を提唱したことは有名であるが、その結果沿海部と内陸部との所得の格差が急速に拡大していった。所得の地域格差は数倍以上とも言われており、このことから内陸部の農村を中心に政府に対する不満が急激に高まってきた。
 中国では現在全国人民代表会議が開会中であり、この地域格差の是正が大きなテーマとなっており、胡錦濤政権はこうした情勢を考慮して「和諧社会」(調和の取れた社会)の建設を最大の目標に掲げ、格差を縮めるための諸施策を打ち出しているが、都市部と農村の格差はそう簡単には是正できない。
 12億の人口を抱えた広大な中国においては、隅々まで均衡の取れた政策を実施することはきわめて困難と思われが、それをものともせず、多少の矛盾を抱えたままで前進する中国、資本主義経済の下における共産党の一党(的)支配、一国二制度などの現実的対応を目の当たりにすると、その言い知れぬ力に空恐ろしさを感ずる。

ヒヤリハット

2006-03-09 13:53:45 | Weblog
 「ヒヤリハット半年間に9万件」との新聞見出しを見て、交通事故のことかと思ったが、読んでみると医療事故のことであった。一歩間違えば医療事故になりかねない「ヒヤリハット」事例が、調査対象となった全国の250医療機関で昨年の1-6月の半年間に91000件あったことが日本医療機能評価機構のまとめで分かった(中日新聞)。
 手術の際、体内にガーゼや器具が残されたまま縫合されたり、別の患者の薬を間違えて飲まされたりする医療事故は時々報道されるのを耳にするが、その一歩手前の事例がこれだけあるとは驚く。その原因を調べると、「確認や観察が不十分」が40%を占めたが、そのほか「多忙だった」「夜勤・当直だった」を理由に挙げた人も多かったようだ。
 これらの原因別調査結果を見ても交通事故原因と共通しているところが多い。慣れによる不注意、連日の長距離運転、長時間運転で注意力が散漫になり引き起こされた自動車事故は大変多い。一つ間違えば死亡事故につながる点も同じである。しかし、医療は人の命を救うのが仕事であるから、過ってとは言え、逆に生きている人を死なせてしまうことはあってはならない。同機構は「重大な事故の背景には、ヒヤリ、ハッが隠れている。未然に防げるものもあり、医療機関は他山の石として一つでも医療事故を減らすよう努力してほしい」としている。真にそのとおりだ。

靖国参拝は「ばかげたこと」か

2006-03-08 13:27:14 | Weblog
 新聞報道によれば、中国李外相は小泉首相の靖国神社参拝に触れ、「ドイツ人もばかげた、非道徳的なことだと言っている」と強く批判。靖国参拝をヒトラーやナチス崇拝と同一視して非難し、日中関係改善の鍵は日本の指導者の姿勢にあると主張を繰り返した。
 中国は日本軍の侵略により大きな被害を被り、中国人民の心に大きな傷跡を残したことは歴史上明確である。だから中国人にとって日本の過去は許しがたい存在である。しかし、戦後60年、日本は戦争の過ちを反省し、平和国家として近隣諸国との友好に努力してきた。現在日本人の中で武力によって近隣諸国を威圧しようと本気で考えている者は一人もいないだろう。靖国参拝は先の大戦でなくなった父や夫や兄弟の霊に哀悼の意を捧げるとともに、二度と戦争はしない不戦の誓いであるが、中国からみるとA級戦犯が合祀されていることから極悪非道の戦争犯罪人を敬い奉っているように見えるようである。
 靖国参拝は今やその中身の議論より、理由はどうあれ目に見える行動そのものが問題とされているようだ。中国にとっては靖国参拝の目的などを釈明してもらわなくてもいい。唯一参拝をしないことが中国に対する友好の証だと言いたいのだろう。

宗教令

2006-03-07 20:26:51 | Weblog
 イラクで香田さんが殺害された事件で、実行犯が捕まり取調べが行われている。報道によれば、犯人は、殺害したのはイスラム教の宗教令に従ったものであり、それに従わなければ自分が殺されると供述しているという。イスラム社会では、その教義が法律と同等か、ことがらによってはそれ以上の強制力を有することもあるといわれる。
 これで思い出すのが、フランキー堺主演の「私は貝になりたい」という映画だ。先の大戦において日本軍の一兵卒が上官の命令で捕虜を殺害した件で、戦後、米軍により戦犯として逮捕され絞首刑となる話である。取調べで捕虜を殺した理由を問われ、上官の命令だと答えたところ、なぜ命令を拒否しなかったのかと再度問われた。そこで上官の命令は即ち天皇陛下の命令だから絶対で拒否など出来るものではないと答えたが、そんなことは理由にならないと処刑されてしまう物語だ。
 軍隊で徹底的に叩き込まれた特殊な思想を別の世界の人間に説明することは不可能であり、空しいだけである。いかなる戦争も人を狂気の沙汰にするだけだ。