たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

2007-10-20 12:00:02 | Weblog
 最初に嘘をつく時点では悪事が隠しとおせると思ってつくのだろう。しかし一つひとつ問い詰められると次第に嘘がばれて来る。嘘のばれるのが後になればなるほどその影響は大きくメーカーの信用は大きく損なわれる。
 雪印、不二家、ミートホープ、白い恋人そして今度の伊勢の「赤福」と、最近たて続けに食品関係の不祥事が発生している。しかもこれらの事件はみなほとんど同じ経過をたどってその悪質さが暴露されている。
 報道によると、伊勢の老舗赤福の場合も、製造年月日を偽っている事実が明るみに出た際、最初は作りたての赤福餅の一部を「売り切れ対策」として冷凍保存し、受給に応じて解凍し販売しており、その際に製造年月日は解凍した時点としているが品質も衛生上も何ら問題がないと言っていた。しかし数日後にはそれまで断固として否定していた売れ残り回収品についても冷凍保存し包装を巻きかえ製造年月日もかえて再度出荷していたと白状した。そして更に驚くことには回収した赤福餅を廃棄処分するのがもったいないと、「あん」と「餅」に分け、「あん」を子会社に卸すなどして再利用していたことが更にその後分かってきた。
 これら一連の事件は、どうもその不正行為が社内においては日常化されており、製造年月日や賞味期限を偽ることにそれほど罪悪感を抱いていないように思われる。これではひょっとしてどこのメーカーでもやっているのではないかと食品業界全体が信用できなくなってしまう。再発防止に向け当局の厳正な対応が望まれる。

小沢理論(憲法解釈)

2007-10-16 15:43:13 | Weblog
 月刊誌「世界」11月号に「今こそ国際安全保障の原則確立を」と題する民主党小沢一郎代表の公開書簡が掲載された。その中で武力行使に関する憲法上の考え方が披瀝されている。
先ずその要点をまとめてみると、
 ① 憲法第9条にある国際紛争を解決する手段としての武力行使は許されないが、一方憲法の前文には、世界の平和を希求し、国際社会で名誉ある地位を占めたいと、平和原則を高らかに謳っている。従って国連を中心とした平和活動に積極的に参加しなければならない。
 ② 国連の平和活動は国家の主権である自衛権を超えたものだ。
 ③ 従って国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致する。
 ④ 国連の決議でオーソライズされた国連の平和活動に日本が参加することは、ISAFであれ何であれ、何ら憲法に抵触しない。
とするものだ。
 明解な三段論法である。国連の平和活動に従事することは、わが国憲法の求めるところであり、そのための武力行使は憲法第9条に違反しないとする。
 この憲法解釈は従来の通説や政府見解とは異なるものでり、現行の平和憲法の趣旨とも相容れないのではないか。しかし現政権のテロ特措法に基づく給油活動を違憲と決め付けて攻撃する理論闘争には威力を発揮するのかも知れない。

告発の是非

2007-10-11 10:59:38 | Weblog
 社会保険庁のずさんな事務処理が批判されている中で、更に社会保険庁や市町村の職員が国民年金の保険料を着服していた事件が改めて問題になっている。桝添厚生労働相は公訴時効が成立していない9市町に対し業務上横領罪で刑事告発などの検討を要請した。しかし、これに対し8市町は、これらの保険料を着服した職員はそれが発覚した時点で懲戒免職や諭旨免職処分にし、着服した保険料も弁済しているとして告発しない方針を固めた。関係市町の言い分は、着服した保険料は弁済させ、懲戒免職という社会的制裁も科しているので刑事告発まではしないというもののようである。
 これに対し怒った桝添え厚生労働相は社会保険庁に刑事告発させることにした。新聞報道によると、10月10日社会保険庁は、宮城県大崎市の元職員を、一両日中にも業務上横領容疑で宮城県警に告発する方針を固めたという。大崎市の元職員による着服は28万円のようで既に全額弁済させ、懲戒免職処分されている。
 社会保険庁のずさんな国民年金の取り扱いについて国民から集中砲火を浴びているさなか、こうした事件に対しては厳しく対応しておかないと国民から更なる批判を浴びるとして残る事件も全て業務上横領容疑で刑事告発する方針のようだ。告発した後の処分がどうなるかは検察の判断であり、社会保険庁としては告発すること自体に意味があるというわけだ。
 それにしても告発を渋る市長を見下したようにバカ呼ばわりする桝添厚生労働相の怒りをあらわにした態度もどうかと思われる。

原理主義

2007-10-07 14:26:03 | Weblog
 11月で期限が切れるテロ特措法の代りとなる法案の提出を目指す自民党とこれに反対する民主党とのせめぎ合いで、その成り行きが注目されている。
そもそも民主党小沢代表の考えでは、自衛隊の海外派遣は正式な国連決議があった場合に限るとしており、インド洋上の給油活動は正式な国連決議に基づくものでないから賛成できないとするものである。いわば国連決議を唯一絶対の判断基準とし、この基準から外れるものは一切認めないとするものだ。一見明確で分かり安いが果たしてこの論理は正しいのだろうか。
 現在のめまぐるしい国際情勢においては価値観も時々刻々変化し、多様化している。また何が善で何が悪であるかの判断基準も一様ではない。国連に加盟している各国はそれぞれの国内事情に基づいて国連で意見を述べ賛否を投じている。その最大の根拠とするところは国益である。自国の国益を放棄してまで他国に協調する国はない。もっとも何をもって国益とするかは議論のあるところだが。
 キリスト教用語で、聖書にかかれていることのすべてが、文字通り真実であると信じる立場を原理主義という。従ってそこにはもはや議論の余地はなく、思考停止の状態だ。国連で決議されることが唯一絶対の条件だとする姿勢は正しく原理主義といえよう。これではいくら理解を求めようとして協議を持ちかけても入口で拒否されるだけだろう。しかし政治の世界に絶対はない。多様な論議が必要だ。

自助努力

2007-10-04 09:31:32 | Weblog
「働けど働けどわが暮らし楽にならざる じっと手を見る」有名な詩だ。作者はじっと手を見ながら何を考えたのだろう。自分の能力のなさ、不甲斐なさを嘆いたのか。それとも自覚が足りず、うまく社会の波に乗れなかったことを悔やんだのか。そうではなく自分がこうした状況に陥っているのは国の政策が誤っているからだ。いわば国の責任なのだと思ったのか。
 現在ワーキングプアーが社会問題として大きく取り上げられている。低賃金で、働いても働いても一向に貧困から抜け出すことができない階層が増えている。以前、労働者の派遣制度もない頃、生活給中心の年功序列型賃金制度の下で長期勤続の雑役作業員の給料が有能な技術者の給料より多いといわれた時代があった。しかし現在ではそんな企業は一瞬にして潰れてしまうだろう。経済のグローバル化により、賃金が発展途上国も含めた世界的水準で考慮されるようになった。生産性に対する寄与の度合いによって賃金は大きく差が出るようになった。貢献度の低い仕事に従事している労働者は低い賃金しか払われない。
 現在の社会においては一度チャレンジに失敗するとなかなか浮かび上がれない傾向がある。また自分を企業に売り込む際もそれなりのセールスポイントがないと難しい。そんなことから政府は再チャレンジ支援、セイフティネットなどの政策を打ち出そうとしている。しかし自助努力に対する反省もなく、ただ社会が悪い、政府が何もしてくれないなどと言っていては本当の解決にはならない。