たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

数には数で・・・か。

2008-03-20 06:40:17 | Weblog
 ついに日銀総裁は当面空席となった。政府は日銀総裁人事で先の参議院において不同意となった武藤氏に替えて田波氏を提案したが、これも民主党の同意を得ることが出来ず、再び参議院で不同意となった。民主党の反対理由は候補者が財務省出身であることなどいろいろ述べてはいるが、詰まるところはこの問題が政争の具とされているからだろう。衆議院においては自民党が多数を頼んで強行姿勢を見せれば、参議院では民主党がこれまた多数を頼んで反対し否決する。両党とも手法に変わりはない。
 政権政党である自民党は、責任政党として予算をはじめとする諸々の足かせがあり政策にも限界がある。その点民主党はそんな足かせもないから徹底した大衆迎合で政策を打ち出すことが可能だ。ガソリンの暫定税率維持か廃止かの問題がその辺の事情を一番端的に物語っている。庶民としては暫定税率が廃止されガソリンが25円安くなるのはいいに決まっている。その際減収となる2兆7千億円をどうするかまでは考える必要はない。
 マスコミ各社が政治の局面で実施する世論調査は確かに民意の傾向を示してはいるが、それを丸ごと受けて政策に盛り込むことがいいのか。国益と民意が常に一致していればいいが、そうでない場合どう舵取りをするかが政治に問われる。野党である民主党としては大衆迎合政策を掲げて政府を攻め立てていればそれで好いというのであれば、将来政権担当を目指す政党とはいえない。
 反対にも節度がある。物事の本質を見極めることなく、党独自で決めた原理原則に合わないから反対するというのであれば如何なものか。民主党議員の中でただ一人、日銀総裁後任人事に賛成した議員がいたが、その良識と勇気に拍手。

『明日への遺言」

2008-03-12 07:51:42 | Weblog
 大岡昇平作「ながい旅」が「明日への遺言」という題名で映画化された。昭和20年終戦直前、名古屋は米空軍機B29の無差別爆撃で焼け野原となり、猛火の中を逃げ惑う市民は焼夷弾による波状攻撃で数万人が死んだ。その後撃墜され捕虜となった米軍機の搭乗員三十数人が日本軍により処刑された。物語はその処刑を命じた岡田資中将がB級戦犯として裁かれる裁判の一部始終を描いたものである。
 軍需工場などが存在しない商業地域や住居地域を無差別に爆撃することは国際法上でも禁じられているが、長引く戦争を終結させるため米国は無差別じゅうたん爆撃を強行し、最後は原子爆弾を投下した。岡田中将がそうした違法な爆撃をした搭乗員に対し(報復ではなく)罰として処刑を命じたのだと、その正当性を主張する。しかし腹の中では自らの戦争犯罪を認め全責任を負うことを決めており、検事の追及に対し事実は事実として率直に認め、決して逃げようとはしない。
 この潔い態度に検事や裁判長も内心感動し、それとなく被告に有利となる材料を示唆するが、言い逃れをしない岡田中将の姿勢は変わることはない。岡田中将としては刑は自分ひとりに止め、命令を受け直接処刑に携わった部下の責任は何としても免れさせなければならないと考えていた。
 岡田中将に対して絞首刑の判決が言い渡された。その他は重労働の刑が課せられた。1年後岡田中将の絞首刑が執行され、その他は昭和33年までに順次釈放された。裁判において終始一貫全責任は自分にあるとの姿勢を貫いた態度に深い感動を覚えた。絞首台に向う拘置所の中庭で夜空に輝く月を眺めるシーンが印象的だった。岡田中将役を演じた藤田まことの演技も良かった。

調査捕鯨

2008-03-09 17:09:59 | Weblog
 南極海で調査捕鯨船団の母船「日新丸」に対し、接近してきた米環境保護団体シー・シェパードの抗議船から薬品の入ったビンを投げ込まれ負傷者が出た。環境保護団体シー・シェパードは、日本の捕鯨はは調査捕鯨に名を借りた商業捕鯨だ、と非難し日本の捕鯨に強く抗議している。テレビの影像で見る限りでは、物々しい服装をした乗組員がさながら戦闘を仕掛けているようだ。
  鯨は多くの魚を食べる。鯨だけを保護することは鯨が増え過ぎ、生態系に狂いが生じ、漁業に悪影響を及ぼすとする説がある。調査捕鯨で獲った鯨はIWCで決められた規定に従って固体を調査し資料として報告していおり、鯨肉は有効利用することと定められている。従って必要に応じて市場に回され売上金は調査費用に計上されている。捕獲する鯨はミンクくじらが850頭ほどのようだ。
 我々の世代(70歳代)は戦後の食糧難時代の蛋白源としてよく鯨肉を食べさせられたものだ。脂身のベーコンや独特の臭いのある太い血管が通った鯨肉の煮込みなどが懐かしく思い出される。その当時は余りおいしいとは感じなかった。そんな鯨肉が今では高級食材とされているようだ。スーパーでたまに脂身のベーコンを見ることはあるが肉は見かけることはほとんどない。くじらを食べるのは日本の食文化だとする説もあるが、昔はともかく現在では庶民には余り縁のない食材ではある。世界では反捕鯨国が圧倒的に多いので獲るに獲れなくなったために現在のような状況になっているのだと言えるのかもしれないが。
 ロンドンで開催されたIWCの会議場の前で「くじらをすしにするな」のプラカードを掲げて抗議していた反捕鯨団体がテレビに映し出されていたが、食文化の違いは深刻だ。

多数の横暴

2008-03-07 16:15:25 | Weblog
 参議院では連日異様な状況がテレビに映し出されている。与党の作戦でもあろうが、首相以下関係各大臣政府関係者は全員席に着き与党議員も全員席について委員会の始まるのを待っている。しかし野党席は全て空席のままで一向に埋まる気配はない。ここで与党が多数であれば開催も可能であるが過半数に満たない与党では開催のしようがない。委員会をボイコットする民主党をはじめとする野党の言い分は、先日、自民党はじめ与党が衆議院で強行採決しだからだとする。そのお返しだというわけだ。
 与党としては何としてもガソリン税の暫定税率維持の法案を参議院で年度内に議決させ、否決の場合再度衆議院で年度内に可決する日程は譲れない。そうはさせまいと野党は審議に入らず日程の先延ばしを図っている。今や法案の審議はそっちのけで、福田内閣を窮地に追い込むことに狙いを絞っている。最大の関心事である道路特定財源の一般財源化の是非、その額などについて議論を戦わせることが国会の役割だ。衆参両院議長の仲立ちもそういう趣旨ではなかったか。
 与野党共に数の多さに酔いしれているのではないか。数に任せて委員会を開かせないなど筋違いだ。徹底的に議論したうえで意思表示すべきだ。日銀総裁人事も政争の具にされそうな気配だ。ただ数の多さを見せつるだけで動こうとしない態度は如何なものか。