たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

二河白道

2007-12-23 10:20:28 | Weblog
 仏典に説かれた譬喩に「二河白道(にがびゃくどう)」がある。燃え盛る火の河と底なしの水の河が無限に続き、その間に立っているのがやっとの幅の細い白道がある。両側から火と水が押し寄せてくる。後ろからは賊や獣が迫っている。引き返しても、立ち止まっても、前へ進んでも死を免れない。後ろからは進むと危険だから戻れと賊がいう。しかしそんな誘いに耳を貸さず、仏の導きを信じて一心に白道を突き進んで浄土に到達できたという話だ。
 八方塞で万事休すの状態の中で何とか活路を見出すには己の信ずるところに身を委ねるしかない。現内閣は正にこんな状況下にある。新テロ対策特別措置法案、年金問題、薬害肝炎訴訟、防衛省の汚職、原油高騰などなどが火の海水の海となって押し寄せている。今や小手先だけでは何をやっても通じない。
 国民感情と現実の政治との間には大なり小なりずれがある。国民感情ばかりに気を奪われると国益を失し、国の進むべき方向を見失うなどの危険性がある。国民が自分の利害得失だけでものを言うのは至極当然のことだ。しかし、ノイジーマイノリティーがマスコミによって更に拡声されマジョリティーの声だとされるようになるとしたらこれは考えなくてはならない。その辺りを見定めながら後世から非難されない政治を進めてゆくべきだ。

やっぱり貧乏くじだった

2007-12-17 09:13:32 | Weblog
 福田首相は自民党総裁選に立候補した際、「(当選することが)貧乏くじかも知れんよ」と記者団に語っていたが、どうもその予感が現実のものになってきたようだ。立候補の時点で既に悪材料が出揃っていたが何とか努力してみようと考えていたのだろう。ところが民主党の対応が予想以上に厳しく、内心期待していた民主党小沢代表との大連合の話し合いも潰れてしまった。
 今朝の新聞に共同通信社の世論調査結果が報道されているが、それによると内閣支持率が35.3%に急落し、支持しないの47.6%を大きく下回った。自民党の支持率も25.2%と激減し、民主党(28.5%)に逆転されてしまった。
 原因第一はやはり年金問題のようだ。誰のものともわからない宙に浮いた年金記録5000万件のうち1900万件が事実上照合できないことが判明し、これについて民主党は「政府自民党は最後の一人まで確定すると言ったじゃないか公約違反だ」と厳しく追及している。これに対し福田首相が「(民主党の言うような)そんなこと言ったかなぁ」とか「公約違反というほど大げさなものか」など発言したことが国民の反発を買ったようだ。福田首相にも言い分はあるだろうが、こうなっては釈明すればするほど反発が大きくなるのが常だ。新テロ特別措置法案も会期を延長し衆議院で3分の2以上の多数で再議決する方向が定まっている。これについても世論調査の結果は反対が賛成を上回っている。
 丁寧な国会対応とぼけた味のあるキャラクターで福田新内閣はまずまずの滑り出しを見せたが、民主党の政権奪取の意気込みに何事も抗争の材料と化してしまう現況では如何ともし難い。

対機説法

2007-12-09 19:55:20 | Weblog
 仏教用語で、教えを聞く人の能力・素質にふさわしく法を説くことを対機説法という。仏の説法は機に従い、時に従ってなされる。如何なる真理でもそれを受ける側の理解能力や環境が整わないとなかなか受け入れられない。
 衆議院で可決された新テロ特措法案は参議院でようやく審議に入った。参議院で多数を占める野党はこれを否決するのか審議未了にするのかはっきりしないがいずれにしても賛成することはない。そうしたケースを予想して憲法第59条では衆議院において3分の2以上の多数で再び可決した時は法律となると規定している。しかしこの条項を最初からちらつかせたりしては世論を硬化させ新テロ特措法案に対する理解を得るのが難しくなる。そこで与党は野党の動きをけん制しつつその出方を窺っていた。
 最近になって世論も野党の動きに対し、新テロ特措法案に理解を示す空気が出始めたようだ。機が熟してきたのか。ここで政府与党も世論の熟度を確かめるかのように3分の2条項を口にし始めた。いずれ3分の2条項は発動されることになるのではないか。
 北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除も状況が似ている。国際世論も核施設の無力化に対する関心が高まり、拉致問題への関心が薄れつつあるように見受けられる。核施設の無力化に一応のめどがついた時点で拉致問題の解決には理解を示しつつも解除に踏み切ることも考えられる事態となりつつある。