たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

国益

2007-11-16 09:54:52 | Weblog
 国益とは国家としての利益をいう。従って世界に存在する国々それぞれに国益があるのは当然だ。この国益が複数の国で共通している場合もあり、逆に対立する場合もある。しかしこの国益が同盟国や友好国の間で対立する場合は厄介な問題となる。米国と日本は同盟国であり常に友好的外交を心がけている。ところが両国間には深刻な国益上の対立が生じている。
 北朝鮮の非核化に向けた六カ国協議が精力的になされている中で、核施設の無力化が実現できる見通しが立ってきた。核施設の無力化については北朝鮮からは多くの条件がつけられているが、中でも北朝鮮をテロ支援国家の指定からはずすことを米国に強く求めている。米国としては北朝鮮の非核化を成功させることがブッシュ政権の最重要課題であり、国益でもある。解決を急ぐ米国は早晩この要求を受け入れテロ支援国家の指定を解除することが予想されている。
 日本は北朝鮮による拉致問題の解決が最重要課題であるが、こう着状態にある日朝間での解決は難しいので、テロ支援国家指定解除の条件に拉致問題解決も含めたいと考えている。そのために米国に対しこの問題が解決するまでテロ支援国家の指定を解除しないよう強く要望している。しかし米国は同盟国である日本からの強い要望であっても、現時点における最重要課題である北朝鮮の非核化実現のためにはテロ支援国家の指定を解除する必要性に迫られている。
 国家間で国益が対立することになる場合、その友好関係が親密であればあるほど問題は更に複雑化する。

鉄腕稲尾投手逝く

2007-11-14 17:52:14 | Weblog
 同年で青春時代の血を湧かせてくれた元西鉄ライオンズの稲尾和久投手が亡くなった。学生時代、行きつけのうどん屋のテレビにしがみつくようにして見たあの日のことが思い出される。昭和33年の日本シリーズで巨人に3連敗した西鉄がその後4連勝し逆転優勝した。その立役者が稲尾投手だった。しかもそれが今では到底考えられない4連投だ。さらにその中でサヨナラホームランまで打った。今も懐かしくその場面が思い出される。西鉄ファンが「神様」「仏様」「稲生様」と讃えたのも当然で、それが大きく報道されていた。稲尾氏のプロ野球界での活躍はその他でも数え切れないほどあるが、稲尾といえば先ずこのシリーズでの活躍が語り草として常に出てくる。
 当時スポーツといえば野球に大相撲それにプロレスだった。テレビもまだ家庭にまではそれほど普及していなく、行きつけの食堂や喫茶店で見たものだった。大相撲は栃錦と若乃花の大勝負に沸いたいわゆる「栃若時代」から柏戸、大鵬の「柏鵬時代」へと続く。初めて一万円札が発行され世の中の景気は徐々によくなりつつあった。あの頃は「もはや戦後ではない」といわれたようにわが国経済は高度成長に向けて蠢動していた。学生運動が盛んで、岸内閣の安保改定に反対する学生の激しい反対運動、いわゆる60年安保闘争が起こった。ことの良し悪しはともかく現在よりいろんな意味で社会に活気があった。
 高度成長が頂点に来て制度疲労に陥り衰退気味の現代社会に、あの時代の活気をもう一度よみがえらすのは至難の業なのか。

ねじれ国会で脚光を浴びる参議院

2007-11-06 14:57:31 | Weblog
 現在、衆議院では圧倒的多数を占める与党も参議院では野党に多数を占められており、法案の成立が困難な状況にある。両院とも与党が多数を占めていたときの参議院での審議は衆議院における審議とほとんど変わらず、似たような資料に基づいて同じような質問を繰り返していた。政府側も衆議院での質問の焼き直しのような質問にじっと耐えて根気よく同じ答弁を繰り返していた。衆議院さえ通れば参議院での可決は当然視され、一見余分な手間ひまがかかっているように見えるが、わが国は二院制を採用しており、それには深い意義があると観念していた。だが今回から状況は一変した。衆議院で通った法案を参議院で徹底審議の上否決される可能性が大になった。
 未だ衆議院で可決し参議院へは回された法案はないので実際の審議状況を目の当たりにしていないがおよそ想像はつく。これぞ本来の参議院が発揮する独自性でもあるが、それは二院制の予期しない形の独自性ではある。これからは参議院での政府答弁こそ絶対に見逃せない。国民の理解を得る真剣な答弁で応えなければならないし、その緊張感は衆議院の比ではないと思われる。
 憲法第59条第2項では、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律になると規定されている。しかしこの手段は一種の強権発動ととられるので、与党は参議院で多数を占める野党と辛抱強く誠意を持って対応することにより国民の理解を得る高等作戦に出ざるを得ない。

完全試合だったのに

2007-11-02 13:13:43 | Weblog
 プロ野球第58回日本シリーズの第5戦で中日は1-0で日本ハムを下し、通算4勝1敗で53年ぶり2度目の日本一に輝いた。
 この試合で中日先発の山井投手は毎回日本ハム打線を三者凡退に打ち取り、8回まで一人の走者も許さなかった。この回までの危なげないピッチングを見る限り誰しも完全試合を頭に浮かべ、9回も当然投げるものと信じていたのではないか。ところが9回表、落合監督がベンチから出てなにやら主審に告げている場面が映し出された。心なしか主審も意外そうな表情をしているように見えた。意外も意外、従来の勝ちパターンである岩瀬の登場であった。観客は一瞬どよめいたが、直ぐに切り替えて岩瀬コールが始まった。
 もし山井がこの日本シリーズで完全試合を達成していれば日本では勿論のことアメリカでも未だかってない大記録だ。あくまで「もし」だが、あの調子であればかなり高い確率で達成できたと思われる。ファンの気持ちとしては何が何でも投げてもらいたかった。9回に投げたとし、もしヒットを打たれたらその時点で降板させても遅くはないのではないか。しかし、「もしヒットでなくホームランでも出たらどうする」、「ホームランでなくとも塁に出したランナーがホームを踏むことがないとは限らないではないか」と反論されれば返す言葉がない。やはり選手の状態とゲームの運びを考えている監督の判断が最善なのか。それにしても山井にとって今後こんなチャンスに遭遇することは難しいだろう。でも試合終了後の山井の顔が晴れ晴れしていたのがせめてもの救いだった。