たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

穀物輸入価格の上昇は食料自給率アップのチャンス

2008-01-29 11:32:00 | Weblog
 貿易自由化により国内の農産物は安価な輸入品に押されて売れなくなってしまった。輸入品に対しかける関税にも限度があり、わが国の農業はどんどん衰退してきた。国内の食料自給率は40%を割り国の将来までが危ぶまれている。
 しかし最近になって中国などから輸入される食品などは農薬による汚染などが問題となり、多少高くても国内産を買い求める傾向にある。しかし穀物や家畜の飼料などは依然として大幅に輸入品に依存している。ところが、このところの原油高騰が原因でこれらの輸入品の価格も高騰し始めている。これにつれて最近は穀物を原料とする日常的な食料品や乳製品などで値上げラッシュが続いている。
 国内ではいくら生産効率を上げても輸入される穀物の価格には対抗できないため、国内の穀物生産はどんどん縮小され食料自給率もとうとう40%を割る事態となってしまった。しかし今これだけ穀物の輸入価格が上がってくると国内生産でも対抗できる余地が出てくるのではないか。価格は高止まりして国民生活はそれなりに窮屈になるかもしれないが、食料の自給率を高めるには今がチャンスだ。

変化する労働事情

2008-01-21 13:07:53 | Weblog
 今年の春闘は昨年までとは様変わりしそうだ。輸出立国であるわが国においては海外における価格競争に勝つことが必須条件であるため、生産コストをぎりぎりまで抑制してきた。生産コストの大半は人件費であることから、これまで労働者の賃金はほとんど上がらなかった。株主配当や役員報酬の伸びに比べると労働者の賃金が余りにも抑えられすぎている。しかしそのため国内消費が伸びず景気も停滞している。ここに来て生産者団体も従来認めてこなかった賃上げを今年の春闘では容認する方向で動き始めた。しかしそれも賃上げする余力のある企業に限定されることで一律とはいかないようだ。
 生産性本部の07年度新入社員の意識変化調査によると、業績・能力主義から年功序列志向への回帰、より良い会社への転職より今の会社に一生勤めることを望み、起業して独立する意欲も低減している。厳しい市場原理の中で競い合うことに疲れたのか、4半世紀前の企業風土に戻る傾向にあるようだ。
 改革の波が荒れ狂った後には必ず調整場面が現れるが、それが一歩後退二歩前進にとどまらず一歩前進二歩後退になり元の木阿弥にならならなければいいが。

「強きをくじき弱きを助ける」とは

2008-01-14 13:38:26 | Weblog
  「強きをくじき弱きを助ける」の後には「正義の味方」が続く。世間的には強いものは悪で弱い者は善であるとする傾向があるようだ。「私は常に弱者の味方だ」と言われれば、その人に対してはなかなか反論しづらい。
 格差社会といわれる現在では弱者の立場に立った政策が叫ばれ、今までの政策の再検討が求められている。つい先頃までは景気回復策として構造改革、規制緩和策、金融政策、市場原理の導入などの必要性が強調され実施されてきた。その結果、わが国の景気はバブル崩壊後のどん底から大きく回復した。しかしその過程で社会に所得格差が生じてきた。国際的には評価されても国内的には不評だ。「忠ならんとすれば孝ならず」でどんな場合も両立は難しい。
  ガソリン税が暫定的に1リットル当たり25円上乗せされてきたが今年度でその期限が切れる。期限が切れればガソリンの値段が一律25円下がる。政府与党は上乗せを継続したいと考えており、民主党は継続させまいとしている。ガソリン価格高騰に苦しんでいる庶民にとってはは25円下がるのはいいことに決まっている。しかし上乗せを止めた場合、税収は2兆7千億円減る。目先の利を取るか、大局を考えるか、政府の立場としては苦しい判断を迫られる。
  弱い立場に配慮することが大切なことは言を待たないが、人気取りばかりでは真の政治は成り立たない。

進化論とキリスト教

2008-01-07 12:10:04 | Weblog
 報道によるとギャラップ社が行った06年の世論調査では米国人のほぼ半数が「人類は過去1万年以内に神のよって現在の姿に創造された」と回答したという。ほとんどの日本人は人間がサルから枝分かれして進化してきたものだと信じている。学校でもそのように教わってきているし、進化の途中にあるヒトの絵なども教科書で見てきている。だから「人間は神によって創造された」とする説は非科学的だとする。
 キリスト教の保守派などには進化論否定の動きがあり、米国内では進化論を否定し、知的な存在が人間を創造したとする「インテリジェント・デザイン説」などが80年代から支持を拡大しているという。旧約聖書には「主なる神が土の塵で人を形づくり、命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった」と記されている。
 あらゆるものを超越した絶対的な存在を認め、それを心の拠りどころとすることは現代社会においてこそ必要なことかもしれない。自然を征服し、自然の原理を解明し尽くそうとする人類の奢りに対する厳しいしっぺ返しが起こりつつある。自然破壊による地球の荒廃、限りない人類の欲望追及による心の荒廃がそれだ。
 科学がどんなに発達しても解明できないものが必ず残る。それを「神秘」という言葉で片付けるのではなく、宇宙を支配する絶対的存在のなせる業と認め、絶対的存在に対する畏敬の念を常に持ち続けるべきではないか。

油断

2008-01-04 14:50:44 | Weblog
 原油の値段が遂に1バレル100ドルを超えた。米国のサブプライムローン問題でファンドから逃げ出した資金が原油市場に流れ込み、投機筋によって原油先物相場がどんどん押し上げられている。この1年でおよそ2倍に跳ね上がったことになる。現代の社会構造においては石油がなくては1日も動くことが出来ない。
 30年ほど前に堺屋太一氏による小説「油断」が発表されたが、その中で石油が途絶えた場合の恐ろしさが社会生活のあらゆる面で描き出されている。石油依存体質は日常生活の隅々まで浸透しており、生活自体が石油の上に浮かんでいると言われているほどだ。原油価格高騰の影響は既に経済活動に大きなダメージを及ぼし始めている。庶民生活にとって必需品の灯油、ガソリンの値上がりは著しい。
 石油価格の高騰にたまりかね、トウモロコシや砂糖キビなどから石油に代わる燃料としてエタノールが生産され始めているが、これが思わぬ方面に影響が出ている。エタノール生産拡大のため穀物などの耕作地が押しやられ狭められて、穀物などの価格が高騰し始めた。このためスーパーなどで食料品などの値上げが最近特に顕著になってきた。
 調査研究機関の報告によれば新しい油田が発見されない限り石油の枯渇まであと70年しかないという。中国をはじめとする新興国の石油消費量が飛躍的に増大しているためだ。今世紀のうちに石油の枯渇が実際にやってくるのではと考えただけでも恐ろしい。石油に代わる安定的なエネルギーを如何に確保するかが大問題である。石油依存体質からの脱却をなんとか早く成し遂げなければならない。