たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

金属泥棒もここまできたか

2007-02-27 12:49:26 | Weblog
 中国などの建設ブームで建設資材が高騰し、銅をはじめとする金属類の価格が世界的に高くなっていることから金属泥棒が横行している。今朝のニュースでは、川崎市の墓地でお墓のステンレス製線香立てが軒並み盗まれていたと報じられている。金属泥棒もついにここまで来たか、罰当たり極まれりとの感がある。
 最初に金属泥棒で驚かせられたのは、送電線が盗まれたことだ。現に電気が通っている電線を何十メートルにもわたって切取り盗んだというものだった。かなりの危険と手間を要すると思われるが、その執念には恐れ入る。その後は盗める金属はどこからでも盗めと言わんばかりに、側溝の鉄製の桟、火見櫓の半鐘など小口の盗みから、資材置き場の鉄板、資材倉庫からケーブルの束や銅板などをフォークリフトでトラックに積んで込み盗み出すなど大胆な手口のものまで現れてきた。
 かつて発展途上国では、公衆便所の蛇口など金目のものは取り付けた後からなくなってしまうなどと現地で聞いたことがあるが、現在の日本はそれ以上の状況と言えるのではないか。自転車やバイクによるひったくり、コンビニなどでの万引き、わずかな金を奪うために住所不定者を襲うなど、遊ぶ金欲しさのための卑劣な事件が日常的に発生している。
 「浜の真砂は尽きぬとも、世に盗人の種は尽きまじ」と昔から言われているが、近頃の事件はその質が以前とは異なる気がする。すべからく自己中心的で、その時々に起こる欲望を満たすために短絡的な行動に出る。そして罪悪意識に欠ける。原因はやはり幼児期からの道徳教育がおろそかになっているからではないのか。

赤ちゃんポスト

2007-02-24 10:56:32 | Weblog
 熊本市にある民間病院で「赤ちゃんポスト」を設置する計画を進めていることについて、その是非が議論となっている。ポストと言えば郵便物を投函する赤いポストを思い浮かべるが、育てられないあかちゃんをそのポストに入れておけば病院が面倒を見て育ててくれるというもので、先の「女性は子を産む機械」発言と同様に赤ちゃんを物扱いしているようで抵抗を感じる。
 設置する病院側としては命の救済を考えてのことだ。親に事情があって子を育てることができず捨てるケースは今でもある。捨て子に手紙を添えて裕福そうな家の門先に置いて来るなど古典的な話もあるが、公園のベンチなどに置き去りにされて死亡するケースもある。後ろ髪を引かれる思いでやむを得ず捨てたものの、拾われ無事に育てられるだろうかと心を痛める母親にとっては、「赤ちゃんポスト」があれば安心して捨てる(預ける)ことができる。しかしそうしたことが捨て子の助長に繫がるのではないかとの心配がある。どんなに苦しくても自分の産んだ子は自分で育てると考えるのがごく普通だが、「赤ちゃんポスト」があることにより、その気持ちをくじけさせてしまうことにならないか。
 報道によると安倍首相は「親として責任をもって産むことが大切だ。匿名で子どもを置いていけるものを作るのがいいのか、大変抵抗を感じる」と述べ、否定的な見解を示している。「赤ちゃんポスト」の設置は法律に触れることはないようで、厚生労働省としては「法令違反を理由に設置を止めることはできないが、積極的にOKを出したとか、いいことだとは言っていない」としている。

格差は悪か

2007-02-19 11:43:49 | Weblog
 今国会で野党は格差問題を中心課題として政府与党を追及しようとしているが、安倍首相は敢えて格差という言葉を表に出さず、全体の底上げを目指しているようだ。
 一般的に格差はネガティブに捉えられている。しかし格差には好ましい格差とそうでないものとがある。所得や収益から格差を見てみると、努力し業績を上げた企業や勤労者がより高い収益、所得を得ることはごく自然である。その結果そうでない企業や勤労者間で格差が生じたとしても非難されることはない。むしろ努力した者が報われることは好ましいことと言える。そうした格差を維持しつつ、全体としての所得水準を上げることも大切だ。
 一方、同じ職場で同じ仕事をしているにもかかわらず、その身分が正規社員か非正規社員かの違いで賃金が異なるのは、同一労働同一賃金の原則からもおかしい。そこから起こる格差は許されない。企業が派遣労働者や時間給労働者などの非正規社員を使用するのは、企業の拡大・縮小や業務の繁閑に対応して弾力的に対応できる(容易に解雇や採用が可能である)為であるはずであり、安く使えるからというのは本来おかしい。非正規社員を長期にわたり継続的に使うのであれば正規化すべきだ。正規社員に劣らぬ能力を発揮していて、しかも会社の都合で何時でも解雇できるという重宝な社員にはむしろ高い賃金を払うべきだ。
 地域格差の問題もある。立地条件がよく企業や人の集まる地域では利便性もよく所得水準も高いが、そうでない地域はだんだん活気が失われて行く。人や企業は立地のよいところへ移動できるが、県などの地方団体は立地が悪くでも何とか工夫をしてやっていかねばならない。日本の場合は全地域が地方交付税制度などである程度標準化されているが、地方にはそれぞれの良さがあるので、公共事業以外にも地域を生かした施策に重点を置くことが求められる。

東国原宮崎県知事の初議会

2007-02-16 11:54:53 | Weblog
 当選早々から鶏インフルエンザで追いまくられていた東国原宮崎県知事が、初議会で所信表明演説を行った。今のところ議会勢力はオール野党といわれており、報道によると議長はじめ有力議員の前評判は「お手並みを拝見してから」とするものが多いようだ。
 就任以来全国テレビでの露出度は知事としては一番だったのではないか。そんなこともあってか、初議会は大勢の報道陣や傍聴人で傍聴席に入りきれず、別室のテレビで生中継を行ったほどだったようだ。選挙のマニフェストに従い30分余の演説はおおむね好評のようだ。テレビ局による県民へのインタビューでは、知事自身の言葉で所信を分かりやすく訴えていることに好感を抱いているようであった。
 ともかく最初に取り組まなければならない仕事は、前知事が談合汚職事件で辞職した後だけに、官製談合を防止する入札制度改革の実施だ。この問題は業界がらみの大変根深いものがあるので、これを根底から断ち切らねばならない。その点、新知事は当選に当たって何のしがらみもないので、存分に手腕を発揮することができるだろう。知事を補佐する副知事の人選も曲折の結果、内部から総務部長を登用することで決まったようであり、「宮崎をどげんかせんといかん」との言葉どおり議会との対立を恐れず突き進んでもらいたいものだ。

亀井静香国民新党代表代行の質問

2007-02-14 13:05:12 | Weblog
 国民新党の亀井静香代表代行が衆議院予算委員会で6年ぶりに質問に立った。それまで税制問題や地域間格差問題など深刻なテーマでの質疑が続いた後のこともあって、その質問はコーヒータイムのような雰囲気に終始した。50分の持ち時間のうち答弁の時間はわずかで、そのほとんどが彼の独演会に終始した。
 質問には、郵政民営化法案に徹底的に反対し、その結果国会解散に伴う選挙で自民党から対立候補を立てられ、苦しい思いをしながら当選してきた怨念がこもっていた。その態度は雄鶏が敵に立ち向かう時、羽を目いっぱい広げ大きく見せて威嚇する姿を連想させる。質問で言いたいことは、自民党が公明党に助けられて選挙に勝ち政権を維持させてもらっているということのようである。「政策も公明党の言うままで自民党としての主体性がない」「安倍首相は創価学会の池田大作氏と会ったと数紙の新聞に書かれているのにそれを否定している。何かやましいことでもあるのではないかと国民は思う」など独特の口調でまくし立てていた。
 かつては亀井派を引き連れて小泉氏と総裁選挙で争い、敗れたとは言えその後も強い発言力を維持していた彼が、自分を追いやった自民党に対し真意がどこにあるのか分からない複雑な態度で質問に立つことは理解し難い。質問なのか意見陳述なのか分からないような質問を続ける姿を見ていて気の毒にさえ思えた。

苦しい日本の立場

2007-02-13 20:12:30 | Weblog
 難航していた六カ国協議もようやく合意にこぎつけたようだ。報道のよれば、北朝鮮が核放棄に向けた「初期段階の措置」着手時に5万トンの重油を、また北朝鮮内の核関連施設が使用不能となるまでに計100万トンの重油を提供するというもののようだ。12日午前10時から13日午前2時過ぎまで過去に例のない「マラソン会合」だったようで、関係国代表は疲れきった中にもその成果に満足しているようだ。
 一方、拉致問題の見通しが立たないままの日本の立場は苦しいものとなる。この間日朝二国間協議が行われたが北朝鮮は「拉致は解決済み」を繰り返している。拉致問題にも一定の進展がない間は支援には応じないとする日本の姿勢に対し、韓国代表からは早くも「非核化の恩恵だけを受け費用は出さないという態度を、日本はこれまで見せたことはないし、今後も見せないだろうと」と強くけん制している。
 日本国内では拉致被害者の家族が、北朝鮮が拉致問題解決に誠意を持って対応しない間は支援してはならないと訴えている。ここに来て政府が従来の方針を変更し、六カ国協議の合意を前提に、拉致問題解決の見通しのないまま支援に踏み切るようなことがあれば国内的には大問題となるだろう。
 それにしても今回の一連の協議を通じて目立ったのは北朝鮮のしたたかさだ。核保有国としての立場を誇示し、中間選挙で破れたブッシュ政権の足元を見透かし最後まで強硬な姿勢を崩さず、ついに法外な見返りを勝ち取った。また日本についても、六カ国協議の合意が形成された以上支援せざるを得ないと踏んでいるのではないか。

拉致問題は大丈夫か

2007-02-10 13:09:29 | Weblog
 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が二日目を迎え、協議の成り行きは楽観を許さないものの、事前に米朝間で金融制裁問題についてかなり話し合われていることもあり、先回のような厳しい対立状態にはないようだ。
 一方拉致問題については、安倍首相が「拉致問題の進展がなければ支援に応じられない」と述べていることに対する北朝鮮や中国のメディアの厳しい論評が伝えられている。新聞の報道によれば、北朝鮮の国営中央通信は日本が拉致問題を提起していることについて「日本は朝鮮半島の核問題に関心のないことはもちろん、六カ国協議を故意に妨害しようとしている」と批判し、「既に解決済みの拉致問題を引続き騒ぎ立て、政権維持に利用しようとすることは見過ごせない」と強調し、「六カ国協議参加の資格もない日本が、拉致問題が協議の議題だと言うこと自体、笑止千万である」と主張した。また、中国国営新華社通信も「日本がかたくなに拉致問題の議論を要求するなら、各国が期待する具体的成果は得られない」として、日本の主張が協議の進展を妨げる要因となっていると批判したとしている。
 核問題に一定の前進があったときは日本にも応分の支援を求められるが、日本は拉致問題にも同様の進展がなければこれに応じない姿勢だ。六カ国の中でも拉致問題は日朝二国間の問題だとする空気もあるようで、これを打ち破るには相当のエネルギーを要すると思われる。日本の支援割合はかなり大きいので、これを梃子として最後までがんばるしかないか。

騒ぎすぎはみっともない

2007-02-07 13:31:28 | Weblog
 昨日の柳沢厚労相の記者会見での発言がまたまた野党各党に食いつかれている。
 報道によると、記者からの「少子化対策は女性だけに求めるものか」との質問に対し、「若い人たちの雇用が安定すれば婚姻率が高まるという状況だから、安定した雇用の場を与えていかなくてはいけない。(中略)ご当人の若い人たちというのは、結婚したい、子どもを二人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる。だから本当にそういう日本の若者の健全な、何というか、希望というものにわれわれがフィットした政策を出していくということが非常に大事だというふうに思っている」と答えた。
 記事を読んでそれほど問題になるようなところはないように思えるが、「子どもを二人以上出産しなければ不健全だと考えているのか」、「出産する女性の気持ちが分かっていない」、「産みたくても産めない人は、人知れず苦しんでいる」などの声がマスコミで報道され、野党も一斉に反発し、柳沢厚労相の辞任を重ねて要求している。
 発言を普通に読めば、若者たちは条件さえ整えば結婚し二人以上の子どもを持ちたいと考えているので、それを適えるような政策を出していくというごく当たり前のことを言っているに過ぎない。単に「健全」という言葉をあげつらったり、食いついたりして騒ぐのは如何なものか。ためにする論議としか思えない。実際に政策案が出されてから堂々と議論を戦わせれば国民にも分かりやすい。それが本筋ではないか。

流れに逆らう意見は出し辛い

2007-02-05 11:11:17 | Weblog
 愛知県知事選挙の結果が出た。自・公の推す神田候補142万票、民・社・国の推す石田候補135万票。僅差で自・公の推す現職の神田氏が当選した。終盤、柳沢発言を追い風に石田陣営は盛り上がったが及ばなかった。注目された女性の票はどんな動きをしたか。中日新聞の調査によると52%が神田候補へ、41%が石田候補へ投票した。柳沢発言があっても自・公の推す神田候補が11ポイントほど多い。しかし、もともと女性票が多い神田候補にしては女性票が大幅に減っているとも言われている。
 今回の柳沢発言を、民主党にとっては神風とばかりに、国会審議をボイコットするなどの強硬手段に出たことが国民にどう評価されているのか。マスコミが女性を対象としたアンケート調査で、「柳沢発言は女性をバカにしていると思うか」との質問に対し、大半の女性が「そう思う」と答えていると報道されている。そう聞かれればそう答えるしかないような質問だが、柳沢発言はけしからんという空気が作られてしまっている中で、それに逆らうような意見はなかなか出しにくいものだ。心の中では発言した本人が心底反省しているようだし、本来そんなに騒ぎ立てるほど深刻な問題ではないと思っていても、流れに逆らってまでそれを口にしないのが一般的だ。
 女性を蔑視するような者は担当大臣として不的確であり、即刻罷免するか辞任すべきだ。それまではいかなる審議にも応じないとの強い姿勢を見て一般の人は存外醒めた気持ちでいるのではないだろうか。

たとえ話は難しい

2007-02-03 11:48:32 | Weblog
 難しい話を分かりやすく説明するために、たとえ話を取り入れることは平生からよく行われることだ。しかし時として引き合いに出されたたとえがとんでもない方向に発展することもある。
 柳沢厚生労働大臣が講演で「例えば」として話した、「女性は子どもを産む機械」との発言が大問題化している。大臣は言った後に直ぐ「不適切な言葉でごめんなさい」とその場で謝りながら講演を続けていたようだ。しかし講演が終わってから「女性は子どもを産む機械」とのフレーズが大々的に報道され問題化された。
 時あたかも地方選挙、参議院選挙を控え、自民党と民主党が対立して争う状況にある中、民主党にとってはこの上ない格好の攻撃材料が飛び込んできた。この件で政府自民党を徹底的に追求し、内閣にダメージを与え、自民党を窮地に追い込む作戦に出た。マスコミも街頭で女性にインタビューし、大方の女性がこの発言に憤りを感じているところを報道している。民主党には追い風だ。そこで強気になった民主党はじめ野党は、安倍総理が柳沢厚生労働大臣を罷免するか大臣が辞任するまでは国会審議をボイコットする作戦に出た。
 審議拒否により、成立が急がれる18年度の補正予算案は民主党はじめ野党欠席のまま審議が行われ、衆議院で与党の単独採決により可決され、参議院に送られた。テレビの映像には野党の空席が大きく映し出されていた。しかし考えてみるとあの発言に対し、こうした戦術がふさわしいのだろうか。不用意な発言ではあるがその真意はそれほど悪意があるとは考えにくい。ついついホンネが出たのだとする向きもあるが、その発言をどう捉え、どう扱うかはそれぞれの立場によって違うようだ。とりあえず自民と民主が対立している明日の愛知県知事選挙にどんな影響が出るかが注目される。