たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

警備ランナーに囲まれる聖火ランナー

2008-04-24 10:46:55 | Weblog
 中国チベット自治区で起きた暴動鎮圧に対する激しい抗議行動が、北京オリンピックの聖火の行く世界各地でなされており、各国の警備担当機関を悩ませている。本来中国政府によるチベットの暴動鎮圧と聖火リレーとは何の関係もないが、世界中のマスコミを注目させる手段としてはまことに効果的ではある。その聖火がいよいよ日本へもやって来る。聖火リレーの出発点である善光寺は早々と辞退を表明し、日本においても聖火リレーの計画に狂いが生じている。
 世界中から集まって来るとされる抗議団体のメンバーから聖火を守るため警備は厳重を極める。計画では、沿道に集まる一般の観衆からは聖火がどこにあるのか分からないほど、その周囲は数多くの警察官などに取り囲まれることになっているようだ。この様な状況と雰囲気の中で、仮に何事もなく終了したとしても喜ぶのは警備当局などの関係筋だけだろう。こんなにまでして聖火リレーを行う意義が果たしてあるのか。誰もがそう感じているのではないか。
 聖火リレーを妨害することでチベット問題に対する抗議を表わすのは、自ら暴力を認めていることになり矛盾している。聖火リレーを妨害するのも人権を守る手段としてやむを得ないなどと理解を示すとしたら問題だ。

感情論と政策

2008-04-20 14:35:49 | Weblog
 後期高齢者医療制度に対する感情論が噴出している。該当する高齢者からは「高齢者は死ねと言うのか」「高齢者は姨捨山に捨てるのか」「乏しい年金から情け容赦なく保険料を天引きするのか」など激しい言葉でこの新制度に対する非難の声が上がっている。言われる側は口をつむぐしかない。テレビ番組などでも、コメンテーターが「戦後の荒廃した社会の中で苦労されながら今日の日本を築いて来られた方々に対するこの扱いは失礼だ」などと発言している。政府側もこうした感情論を刺激しないように新制度のメリットを強調することに終始していおり逆にデメリットを並びたてられて窮地に立たされている。
 時代の趨勢として高齢者医療は際限なく増加の一途をたどっている。政府としては、現在の野放図な高齢者医療を維持し続けていれば将来国の財政破綻を招くと危惧する。また若い年齢層に必要以上の負担を強いることになり世代間の負担の公平からも改善が必要だ。そこで必要以上の過剰と思われる医療を受けることを極力抑え、適切な医療給付を目指す制度改革も必要となってくる。よく言われるように、いくつもの病院にかかって飲みきれないほどの薬をもらうケースや治療目的ではなく家庭の事情などでの長期入院など問題となるケースが存在する。
 新制度に対する事前の説明が不十分だとも言われている。事前の周知方法にも問題があるのだろうが、もともと気に沿わない事柄については誰しも聞けども頭に残らない。そんなチラシ、パンフレットなど読む気も起きない。読まれないまま捨て置かれるのが落ちだ。
 一般的には安価な物はムダにする傾向があるが、懐が痛む話になれば真剣に考える。この際医療制度について国民一人ひとりが真剣に考えることだ。医療費の節減と健康とは必ずしも反比例の関係にあるのではない。肝心なのは適時適切な医療の給付である。

たこ配当

2008-04-13 17:17:00 | Weblog
 株式配当に回すほど業績も上がっていないし利益もないのにやりくりして株主へ配当することを「たこ配当」というが、今回の暫定税率失効に伴うガソリン税25円の減額は正しく「たこ配当」だ。多額の借金を背負い財政も逼迫している時に1リットル当たり25円の税金を下げ、年収にすると2兆6千億円相当を国民にばら撒くほど余裕があるとは思えない。
 4月1日前後はガソリンスタンドが値下げ競争で混乱していたが、その後2週間を経てどのガソリンスタンドでも20円程度の値下げをして落ち着きを取り戻している。連日事細かに報道したマスコミもこのことに関して今は静かだ。参議院で3月末まで野党によりガソリン暫定税率維持に関する法案の審議が先へ押しやられていたが、暫定税率の期限が切れガソリンの値段も下がったのを見極め審議入りした。
 民主党はいったん下がったガソリン税が元に戻るようなことはさせないと言っているが、自民党は参議院での審議が尽された後は衆議院における再議決で税を元に戻す腹積もりのようだ。ガソリンの値段が下がることに文句を言う国民はいないだろう。しかしそのリアクションで歳出がカットされることで影響を受ける国民からは猛反発が起こるに違いない。
 ガソリンの値段が下がった分でどれほど国民生活が潤うのだろうか。単にガソリンの消費量が増えるだけで終わるのではないか。もしそうであれば正しく時代の趨勢に逆行することとなる。結果は早晩明らかになる。仮に税を元に戻すため衆議院での再議決が日程に上るとした場合、その時国民がどういう反応を示すか。地球環境問題の観点からも注目される。

名は体を表わすか

2008-04-04 11:52:45 | Weblog
 後期高齢者医療制度の名称が気に入らないと多くの高齢者から反発があり、政府は制度の発足日4月1日から「後期高齢者」を「長寿」に変更し、長寿医療制度と名称を変えた。しかし名称を変えても反発は止まず、野党はこれを「偽装ネーミング」だと批判している。
 もともと制度の中身が気に入らないのだから名称を変更しだけでは反発は収まらない。制度自体に対する不満がその制度の名称に集約されているに過ぎないからだ。逆に言えば制度の中身に満足していれば名称などどうでもいいのがホンネだ。
 高齢者にかかる医療費は年々増大の一途をたどり、財政負担が増大している。また世代間の負担の公平も考えなくてはない。このため75歳以上の高齢者を対象に独立した医療制度が創設された。
 しかし、この制度は75歳以上の者が一括りでこの制度の対象となり、今度は対象者全員が個々に保険料を支払わなければならない。今まで被扶養者として保険料を支払ったことのなかった者が新制度では個人として保険料を支払わなければならなくなったこと、そしてその保険料は有無を言わさず年金から自動的に差っ引かれることなどが気に障るのだ。保険料を徴収する側の論理としては手数がかからず取りはぐれがないし、支払う側もいちいち金融機関に出向かなくてもいいから双方にとって便利だと言いたいのだろう。介護保険も同様なシステムで既に運用されている。
 名称に対する不評を真に受けてそれを変更する今回の対応は稚拙としか言いようがない。名称など変えずに内容について理解を得るよう更なる努力をすべきだ。