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(大)不況!? その71 終わりの始まり:世界同時株式急落

2007-03-04 22:47:41 | 世界経済

世界同時株式急落で、遅まきながら、世界の株式市場の調整局面が始まった様だ。私の見るところでは、過去数日の動きは、これから始まる永い終わりの始まりに過ぎない様に感じている。

今回の株価暴落で、ロングポジション一色となっていたヘッジファンドは大きな痛手を被った様だ。まだ、ヘッジファンドの株ロングポジションが残っている様なので、更なる売りが警戒されている(※1)。ヘッジファンドが皆事実上ロングポジションを取るしかなかったという指摘は興味深く、過去数ヶ月のファンドマネージャの異常に強気な景況感が続いたことも同じ要因であろう。いずれにしても、これまでの様な勇敢で向こう見ずな投機屋さんの市場は終わりを告げ、今後一時的に市場が回復を見せたとしても、過去数ヶ月の様な異常な熱気が戻ることはないだろう。

過去何度も指摘している様に、米国民は、不動産の含み益に加えて、過去半年ほどは株式の含み益も消費に回してしまった可能性があり、株式市場の調整入りで、そのまま貯蓄率の上昇=消費の低迷に繋がることが懸念される。

一方、ファンダメンタルズにおいては、特に米経済において今後半年で一段と厳しさを増すことが想定される。先程のロングポジションを肯定化するためにコンセンサスの市場見通しは余りに楽観的なものとなっており、当然想定される事態(既に起こった未来)が、次々とネガティブ・サプライズとして市場に受け止められるリスクがある。

○住宅市場では、

・最もリアルタイム性の高い指標として、最近私が最も注目している新規住宅購入のためのローン申請指数は、5.2%上昇したものの、4週間平均は0.4%下落し397(※2)。2月に入ってからの下落傾向が顕著。

・1月の新築住宅販売件数は、前月比-16.6%、前年比-20.1%の93.7万戸(市場予想108万戸よりも13.2%減)と言う、住宅着工件数に続き、またまた衝撃的なネガティブ・サプライズ(※3)。キャンセルを含んでいないベースなので、対前年の実態はもっと悪いはず。この数字が深刻なのは、ローン申請指数から見ると、一時的な小康状態に見えた1月においてこの落ち込みであったこと。(大)不況!? その67 ローン申請数下落、サブプライム融資の焦げ付きによるネガティブ・スパイラルで書いた「これまでMBAの集計の対象外(50%のローン申請はMBA集計対象外の中小ローン事業者によるもの)だったローン申請が、中小ローン事業者の廃業により集計対象の事業者向けローンとしてカウントされるようになっただけとの分析」が正解である可能性が出ており、そうすると、この水増しされたベースで400を切る水準までローン申請指数が下がった2月の落ち込みぶりは、厳しいものとなる可能性がある。

・更に更に、Calculated riskさんによると、ローン業者による貸し出し基準の締め付けの効果は、3月、4月の数値で出てくると言う(※4)。米金融当局も問題視し始め、ローン審査基準の締め付けは、今後更に強化されることは確実であり、ネガティブ・スパイラルを更に加速させるリスクがある。

・中古市場は若干盛り返したものの、在庫レベルは低下せず(※5)。

・結論として、今米住宅市場では、人類がこれまで経験したことの無い規模の市場崩壊、メルトダウンが起こりつつある懸念があり、それが徐々に顕在化しつつある。

○雇用

・週間失業申請が、ここ数週間増加したペースを保ち、まだノイズの範囲と言えるかもしれないが、4週間平均は33.5万まで上昇(※6)、受給総数も264万まで上昇。住宅着工件数の落ち込みが住宅完成件数の落ち込みに繋がるタイミングからするといつ悪化してもおかしくないタイミングであり、今後悪化することはあっても改善することは望み薄と想定。2月全体の統計がどこまで悪くみえるかは分からないが、虎の子の雇用の弱さが顕在化したら、もうスパイラルに歯止めはきかないだろう。

○個人消費

・3/2発表のミシガン大学消費者信頼感指数は、91.3(予想93.5)と先月の96.9から下落し5ヶ月ぶりの低水準。しかも、株価急落前のサンプルがほとんどで、急落の影響はまだ加味されていない。

(長すぎるので、続く) 

※1 ヘッジファンド

3/1ロイター

米調査会社ヘッジファンドリサーチ(HFR)が1日発表したHFRX指数によると、ヘッジファンドは2月27日、世界同時株安を受けて1日の損失としては少なくとも過去4年間で最大となる巨額の損失を出した。今後、損失が一段と拡大する可能性もあるという。

 HFRX指数によると、2月27日の投資リターンは、HFRが2003年3月に算出を開始して以来、1日の投資リターンとしては最悪となった。

 シティグループのクレジット商品戦略部門責任者、マット・キング氏は、積みあがっていたロングポジションの解消が27日の株安の一因で、これはまだ解消されていないと指摘。「ロングポジションが解消されていないため、類似の動きが再び起きる可能性がある。1日でこれほどの規模ではないにしても、この方向にはある」と述べた。

 ヘッジファンドの魅力は、株式の購入と同様に売却によっても利益を上げるため、市場の上昇局面と同じく下落局面でも利益を得られる点にあるとされている。キング氏は、27日の株安から得た教訓は、一部投資家が株価下落で損失を出したように、ヘッジファンドも一方向のみの行為にはまってしまう可能性があると指摘。「27日まで続いていた上昇局面の終わりで、皆が事実上ロングにせざるを得なくなっていた。ショートにすれば、相場全体に対してアンダーパフォームすることになるからだ」と述べた。

 

※2

◎MBA: Mortgage Applications Increase in Weekly Survey

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/02/mba-mortgage-applications-increase-in.html

 
This graph shows the Purchase Index and the 4 and 12 week moving averages since January 2002. The four week moving average is down 0.4 percent to 397 from 398.7 for the Purchase Index.

 

 

 

※3

◎January New Home Sales: 0.937 Million SAAR

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/02/january-new-home-sales-0937-million.html

◎More on January New Home Sales

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/02/more-on-january-new-home-sales.html



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季節調整済み。 

 

 

 

 

 


 
在庫水準はJump up(キャンセルを含まないベース)

 

 

 

 

 

 


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歴史的には、新築住宅件数の急落が不況に先行している。

 

 

 

 


季節調整前。春が勝負。 

 

 

 

 

 

 

※4 

◎When Changes in Subprime Lending Standards will Impact Home Sales

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/02/when-changes-in-subprime-lending.html

※5 

◎January Existing Home Sales

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/02/january-existing-home-sales.html

  Click on graph for larger image.

 

 季節調整前ベース

 

 

 

 

 

 在庫レベルはそのまま。

 

 

 

 

 

 

※6

◎Weekly Claims

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/03/weekly-claims.html


 4週平均は上昇気味(35万が危険水域)

 

 

 

 

 

 


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