ミャンマー・日本語学校ブログ

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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

一番難しい翻訳作業

2008年11月17日 | 日本語学校

あるミャンマー人からミャンマー語から日本語への翻訳を依頼された。

ボリュームはA4で1ページだから簡単だというので楽勝だと思っていたが、よく見ると
ミャンマーの歌謡曲だった。

詳しく聞くとミャンマーのある有名な歌手が日本へコンサートに行く予定があって、そのコンサートで歌うために日本語に訳詞してほしいという。

まずはその歌を直訳してみた。↓

時が経てば経つほど 思いが強くなる
二人の気持ちはひとつ 僕のそばに君を見て
僕の気持ちを打ち明けたい
時が経てば経つほど 胸がときめき
恋が芽生える
僕は(君が)好きだということを知りながら 君は知らないふりをする
幼な友達よ 僕に好きだと言わせてくれ
もうすぐ 君に再会できると 僕は願っている
心からそう望んでいる
幼い頃から 今日までのことを 振り返ってごらん
誰が一番 君のことを 大切に想ってきたことか
それが わかったら 僕のところに もどっておいで
僕が 花飾りを(君の髪に) つけてあげよう
もし(君が)それを拒むなら、僕のハートは 壊れるだろう
でも、僕は その花を 道に敷いて 君を見守るだろう
君のために 

ミャンマー語の歌詞の意味を日本語に訳すだけならそれほど難しい作業ではない。
大変なのはメロディーに合うように歌詞の長さを調整しないといけないこと。

基本的に日本語の歌は音符一つにつき、一文字が対応する。
この歌の音符数を数えた結果、上の歌詞を半分以下に圧縮しなければならないことがわかった。
さて、どうやって圧縮しようか......
この2、3日この歌のCDを100回以上聞いて、耳にタコが出来そうである。

ところで、この作業中に実に面白いことがわかった。
ミャンマー語には声調(音の高低)というものがあり、それを間違うと意味が通じない。

一方で歌にも当然、音階という高低があるのだが、ミャンマー語の歌詞の中に現れる声調と音階が例外なく一致しているということがわかった。

つまり「高い→低い」と変わる声調では音階も必ず「高い→低い」となっている。

日本語ではそのような歌詞の制約はないが、ミャンマー語で歌詞を作る人は大変な作業をしているのではないかと思った。