日本の中部地域には大きな山脈がある。赤石山脈は南アルプス(長野県・山梨県・静岡県)、木曽山脈は中央アルプス(長野県)、飛騨山脈は北アルプス(富山県・岐阜県・長野県・新潟県)として、日本最高峰の山々が連なり多くの山を愛する人々に親しまれています。
この中の北アルプスには有名な黒四ダム(富山県)がありますが、黒部市宇奈月町側から関西電力のトロッコが業務用に運行されています。大正6年から電源開発のために次々と水力発電所が建設されてきた歴史とともにトロッコもその役割を増していき運行距離も伸びていき今では黒四ダムまでつながり、欅平という所までは一般の観光客を受け入れています。深い深い峡谷を行くこのトロッコの出発点である宇奈月町はもともと桃の木が自生していた何もない台地(桃原と呼ばれていた。)でしたが、温泉の町としても発展してきました。
黒部峡谷鉄道宇奈月駅のすぐ近くに「うなジオ」という所があり、ちょっと寄ってみることにしました。何といろんな石が展示されているではないですか。
石には知識がなく初心者ですが、少し引き込まれてしまいました。
・十字石

赤いテープの所が十字の箇所

宇奈月地域は地質学的に日本では非常に珍しい「中温中圧型変成岩」が分布しているようです。それは十字石の発見がきっかけになっています。
十字石は1949年に発見され、世界各地の造山帯で発見される岩石が日本でも見つかったと学会で報告され注目を集めました。その後この地域の研究が進み、2010年2013年とさらに珍しい石が発見され世界的にも注目されているようです。
どのようにしてできたのか?
もともと約3億年前に大陸で風化した泥が海でたまった堆積岩があった。その頃はまだ南中国大陸と北中国大陸に分かれていた。しかし、南中国大陸が北中国大陸に潜り込む形で接近し、約2億5千万年前に衝突した。この時、堆積岩が地下に沈み込み、衝突の際の大きな圧力を受けて変成岩に生まれ変わった。
もとの堆積岩にはアルミニウムの成分が含まれていたためそれが十字型の結晶になり姿を現したとされている。目に見えるほど大きな十字石(約10mm)は日本では宇奈月だけにしかない。「県の天然記念物」「富山県の鉱物」に指定されている。
では、何故南北中国大陸の衝突でできた石が今の日本のこの地域にあるのかということですが・・・。
実は、衝突してから約1億5千万年前頃には南北中国は一つになり、衝突したあたりのどちらかの大陸の付加体として現在の日本列島が形成されていたと考えられている。そして、2500万年前頃、大陸の端に裂け目ができて一部が分裂し離れていく(この時南北二つの島として分かれていた。)。海水が入り込み激しい火山活動が起こり日本海が広がっていく。300万年前頃には日本列島の姿が見えてくる。北アルプスはマグマの上昇によってこの頃から高く隆起する。温かい日本海と高い山脈が大雪や大雨をもたらし急流河川や豊富な地下水をもたらし、黒部峡谷を深く削り込んだ。
この地域にはまだ氷河が残っているほどだ。
現在の石の分布は?
宇奈月町深谷の他、小谷、イシワ谷一帯が天然記念物として場所指定されており採取は禁止です。宇奈月市民サービスセンターの前に大きな石が置かれています。これは良く見えます。


・その他の石
十字石と同じように大陸衝突によってできた石として「レプタイト」がある。
もともとは石英や長石を多く含む火山岩が変成岩となった。

結晶質石灰岩は、北中国大陸と南中国大陸の間の海にたまった生物の殻によってできた石が高い温度と圧力により変成岩となったもの。

たかが石ではあるけど、大きな激しい地殻変動が長く続いて変形してできた石であることが分かりました。人間の人生にも自分自身を根本から変えなければならない大きな決断と実行の時が一度はあると思います。その時、うまく生まれ変われるのか?人生のかけです。
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