映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ウォール街  マイケルダグラス

2011-04-09 19:53:12 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ウォール街」は続編がつくられたとあって久しぶりにみた。インサイダーの疑いで当局に逮捕される展開を覚えていたが、ストーリーはほぼ忘れていた。こうやって見ると、ビジネスの肝に通じるセリフがなかなか粋である。「経済小説」といういい方がある。まさに「ビジネス映画」の究極に位置されるものであろう。マイケルダグラスに若さを感じるし、当時絶頂のチャーリーシーンの動きもいい。
マイケルが使っている携帯電話のでかいことに思わず笑ってしまう。



若き証券セールスマンことチャーリー・シーンは、巨万の富を築いた投資家ゴードン・ゲッコーことマイケル・ダグラスに憧れていた。チャーリーはマイケルと5分間の面会時間をとるのに59回電話打ちをしていた。そしてアポがようやくとれたとき、マイケルは何か独自の情報はないかと聞いてきた。ネタはどれもマイケルが知る内容だ。焦ったチャーリーはとっさにブルースター航空を推奨。父ことマーティン・シーンが勤めていて、会社の経営状況に関する情報を聞いていたのを思い出したのだ。
やっとの思いのアポなのに成果なしで帰社した。そこに思いがけなくマイケルからの多額の口座入金の電話が来る。取引ですぐには儲けされられなかったが、次第にうまく好転。実績をあげて期待に応えた。そして莫大な報酬を手に入れたチャーリーの生活は変わっていく。マイケルの家で行なわれたパーティーで、チャーリーは素敵な女性ことダリル・ハンナと知り合った。実はダリルはマイケルのオンナだった。彼は2人を結びつけ同棲させた。チャーリーはマンハッタンに豪華なマンションを購入した。一方マイケルはブルースター航空を乗っ取るべく画策していったが。。。。

この映画が放映されたとき、アメリカの証券監視委員会の取り扱いが気になった。
当時の日本は株式市場は連日活況が続いていた。シナリオ営業で、証券マンが電話にかじりついて対面営業を繰り広げていた。本社がすすめる推奨株を徹底的に顧客に売り込んでいた。それを考えるとネット取引の現状は信じられない世界だ。そんな中インサイダーすれすれの取引がまだ横行していた。当局の監視も緩かったと思う。映画を見て、アメリカは進んでいるんだなあと思ったものだ。

最近若い証券会社のバリバリの営業マンって接する機会がないのでわからない。この当時はアメリカも日本もまだ営業ありきの対面取引の絶頂期だ。受話器を持つ手にガムテープを貼って、朝から晩まで電話打ちをしまくる。夜討ち朝駆けで顧客宅を訪問するなんて話はよく聞いた。そういう営業マンをチャーリーシーンが演じる。
マイケルダグラスを知り、彼からそんな安物スーツで仕事をするなといわれる。もともと金に困って、航空会社に勤める父親にいつも金の無尽ばかりしているチャーリーが変身する。そんな姿はおもしろい。この映画はビジネス界に大きな影響力をもった。営業マンの服装がアカぬけていった気もする。そしてバブル絶頂を迎える。



マイケルダグラス演じる投資家にも当時憧れたものだ。自分のオフィスにコンピューターをいくつも持ち込み、法務財務のプロのスタッフを従えて投資判断をする。現在ほどインデックス売買が主流ではない。個別銘柄のインサイダーすれすれの貴重な情報に群がった。情報を得るために金を使う。そしてもっと儲ける。そんな世界だ。でも20年以上たって見ると、コンピューター室のパソコンはいわゆる旧型オフコン、出始めの携帯はバカでかい。少し前の映画と思っていたら、完全に旧態然しているその装備を見ると時代の流れを感じる。
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17歳の肖像  キャリーマリガン

2011-04-07 04:42:31 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「17歳の肖像」は若手のホープ、キャリーマリガン主演の青春ものである。ある女性ジャーナリストの回想がベースになっている。自分の倍以上の年齢の男性と恋をする女性の物語だ。



1961年主人公ジェニーことキャリー・マリガンはロンドン郊外の高校に通う16歳の少女だ。楽団でチェロを弾き、フランスに憧れる。父母は娘がオックスフォード大学に進学することを期待している。ボーイフレンドの同級生がいるが、どことなく頼りない彼は両親に気に入られていない。


ある日帰り道、彼女はどしゃぶりの雨に見舞われた。バス停で高級車を運転する見知らぬ大人の男性から「君のチェロが心配だ」と声をかけられる。自宅までのほんの僅かな距離を行く間に会話が弾んだ。感じが良かった。それがデイヴィッドことピーター・サースガードだった。数日後、キャリーは街角で彼を見かけて声をかける。彼は彼女を弦楽の演奏会と夕食に誘った。しかも、彼女の両親の心配を心配して自宅に直談判もした。音楽会で彼の仕事仲間とその恋人を紹介された。そのあと彼らが足を運ぶナイトクラブや絵画のオークションにも同行した。大人の世界にすっかり魅了されていくのであるが。。。。



恋人役のピーター・サースガードとはよくスクリーンで出くわす。
「エスター」「ナイト&デイ」と自分の取り上げる作品によく出てくる。顔なじみになってきた。女性を誘うのも両親の承諾を得てからとか、一線を越えたくない彼女の希望も受けたりと余裕あるふるまいが若い男性とは違う。そういう完成された男に惹かれる若い女性の気持ちというのもわかる気もする。
キャリーマリガンは普通かな?20歳過ぎてから16~17の役を演じるとなると多少無理が生じるかも?でもこのところの活躍は素晴らしい。メジャーへの道を一気に這い上がっていく印象だ。
自分お気に入りのエマトンプソンが校長役で出てくる。インテリ系は得意だ。でも彼女にしては存在感が薄い役。徐々に太めになっている印象。でも彼女の声は相変わらず魅力的だ。

美術の出来はいい。街並みのつくり、昔のナイトクラブのシーンのあでやかさなど全体に流れるムードは決して悪くはない。でもストーリーに起伏がたりない気がした。不自然さもある。あるジャーナリストの回想だけにフィクションが少ないのかな?そう感じたのかもしれない。
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地下鉄のザジ ルイマル

2011-04-06 20:13:17 | 映画(フランス映画 )
フランス・ヌーヴェルヴァーグの代表格ルイ・マル監督が『死刑台のエレベーター』、『恋人たち』に続いて撮り上げたのが『地下鉄のザジ』だ。前2作のイメージとは別人のタッチだ。戦前のコメディを意識した早回しやコマ落としなどの、映像トリックをふんだんに使っている。
ルイマルは1人の10歳の少女をパリの街の中に放つ。そして数多くの奇人変人と出くわさせる。カラー作品のこの映画では60年のパリの風景、風俗、ファッションが色つきで楽しめる。コメディ感覚は多少自分の感覚とずれるが、次から次へとパリの街を奥深く見ているのは楽しい。


十歳の少女ザジことカトリーヌ・ドモンジョは母とパリにやってきた。駅では母の弟が待っていた。母の恋人も待っていて、2日後にまた会おうと母はザジを預け恋人と消えてしまった。叔父さんはナイト・クラブの芸人だった。ザジは地下鉄に乗りたかった。でも地下鉄はストライキで動いていなかった。叔父さんの友達で運転手シャルルの車で家に向かった。家では美人の叔母さんが出迎えた。
翌朝もザジは地下鉄の乗り場に行った。門は閉っていた。落胆して泣き出したザジのそばに一人の得体の知れぬ男が近寄った。ザジは男とノミの市に行ったり、レストランに入ったりした。その男は一緒に叔父さんの家に向かう。美しい叔母さんに色目を使って叔父さんにつまみだされた。叔父さんはザジを連れてエッフェル塔に出かけたが。。。。。


このあとザジはパリの街を縦横無尽に走り回る。そして、奇人変人と次から次へと出くわす。
ロケが中心で、街の片隅からセーヌ川のほとり、エッフェル塔まで次から次へと映像が変わっていく。展開は早い。ザジは監督の無理のある指示に答えて、変態と思しき奇人たちと互角の演技をする。常に全力疾走だ。10歳に似あわぬ大人の会話もする。これはすごい。また、エッフェル塔の高所でのロケにも恐れ知らずに立ち向かっていく。エッフェル塔の非常階段でのロケは日本では到底無理なシーンだろう。あんな高いところで撮影したらたちまちストップが入るはずだ。見ている自分の方が肝を冷やす。

タッチとしてはチャップリンを思わせる。基本はドタバタコメディだ。最終に向かいその色彩をより強くする。ハチャメチャぶりには正直驚かさせる。

パリの映像では車に注目した。いわゆるクラッシックカーと思しき、40年代以前と思われる車が数多く走っていた。意外に思えた。フランスの代表車亀型シトロエンも走っているが、そうは目立たない。80年にパリに行ったことがある。その時は至る所に亀型シトロエンが目立った。もう型が変わりつつあったときだと思う。フランスは一つの車を大事にする傾向があるのであろうか?車ファンにも楽しめる映画だ。
あとはこの観光バスが傑作である。セーヌ川の遊覧船を思わせるそのスタイルが凄い。


余計なことだが、亀型シトロエンは私の大好きな車である。子供のころ、フランス映画で「ファントマ」というのを見た。これが実におもしろかった。ジャンマレー演じる主人公怪盗ファントマが乗っていたのがシトロエンである。追いかける警察を後ろに見ながら、手前のスウィッチを押して空に飛んでいく。ほくそ笑むファントマ。あの雄姿に憧れた。幼稚園から小学校にかけての親友の家にシトロエンがあった。彼の家でシトロエンをいつも舐めるように見ていた。凄いなあと思っていた。父にその話をしたら、その車は彼の家の車じゃないよと言っていた。そもそも普通のアパートに住む彼の家にあるわけないとの話であったが、実のところ彼の親はお偉いさんのお抱え運転手だったようだ。そんな身近にあった車が今でも好きだ。


コメディのセンスは合わないけど、パリの風俗研究家には必須の映画かな?
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