映画とライフデザイン

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映画「薄氷の殺人」グイ・ルンメイ(桂綸鎂)

2015-01-20 20:45:14 | 映画(アジア)
映画「薄氷の殺人」を映画館で見てきました。


予告編を見て、冬景色の中国が妙に印象に残り公開されたら行こうと思っていました。しかも、昨年のベルリン映画祭で金熊賞(作品賞)と主演男優賞を受賞している。この映画祭では「小さいおうち」で黒木華が主演女優賞となり日本でも話題になった。しかも、今回のアカデミー賞でノミネートされまくっている「6才のぼくが大人になるまで」が監督賞で「グランドブタペストホテル」が審査員特別賞ということで、両作品を抑えての作品賞受賞というのもすごい。期待して見に行きました。

しかし、始まってからストーリーの展開がよくわからない。余分な説明を省いているせいか、話の主旨を理解するのに時間がかかる。会話でストーリーをなかなか把握できない。それでも、途中から冬景色の中国のある都市を映しだしたあたりから映像美も感じられてくる。徐々にサスペンスの色彩が強くなり、おもしろくなる。
夫が殺人事件で殺された被害者の未亡人の周辺の動きがおかしいのを元刑事が執拗に追う話である。ヒロインとなる若き未亡人役のグイ・ルンメイがかわいい。『藍色夏恋』から12年、もう30代に突入したが、きつい女が多い中国人らしからぬ優しい雰囲気にこちらはノックダウンだ。彼女のスケーティング姿が素敵だった。


(1999年夏)
中国の華北地方の6都市にまたがる15ヵ所の石炭工場で、バラバラに切断された男の死体のパーツが相次いで発見された。なぜか頭部の所在は不明の怪事件だった。
捜査に駆り出された刑事ジャン(リャオ・ファン)は、妻から離婚話を突きつけられて上の空の状態だったが、彼が訪れた工場で血まみれの洋服と身分証明書が見つかり、被害者はリアン・ジージュンと判明。さらに聞き込みの結果、トラック運転手のリウ兄弟が有力な容疑者として浮上する。
すかさずジャンを含む刑事4人は美容室に踏み込み、激しく抵抗するリウ兄弟を拘束。ところが思わぬ銃撃戦が勃発し、兄弟とふたりの刑事が死亡。ジャンも銃弾を浴びて病院送りになった。


(2004年冬)
妻に捨てられ、ケガのせいで警察を辞したジャンは、しがない警備員として生計を立てていた。


酒浸りの日々を送る彼は、元同僚のワン(ユー・アイレイ)と偶然再会し、聞き捨てならない情報を耳にする。5年前の異様なバラバラ殺人に似たふたつの事件が発生したというのだ。しかも奇妙なことに、殺されたふたりの男はスケート靴を履いた足を切断されており、どちらも5年前の被害者リアンの若き未亡人ウー・ジージェン(グイ・ルンメイ)と親密な関係にあった。これは単なる偶然なのか、それともウーは男を破滅に導く悪女なのか。そしてジャンもまた、はからずも“疑惑の女”に心を奪われていく……。 (作品情報より)


元刑事のジャンが未亡人ウ―に近づいていく。
2人が一緒にスケートへ行く。スケートが不得手なジャンもたどたどしく滑る。ウィンナーワルツが流れる中、ウ―がコースを外れて滑っていく。それを手持ちカメラが追う。同時にジャンも追っていく。一体どこに行くのか?ジャンのあとは元同僚の刑事ワンも追っているのだ。
緊迫する場面だ。中国の映画でここまで凍りつく様な寒さを感じさせるものは少ない。そういう緊張させる場面がいくつか続いていく。


1.中国の寒々しい光景
まわりのネオンがさみしげだ。中国へ行ったことある人で、観光コースからちょっと離れて裏さみしい場所を夜1人歩いたことがある人ならば、独特の薄気味悪い情感がわかるかもしれない。ここではそのネオンを効果的に使っている。赤のネオン、鉄橋の黄色いネオンいずれも映画のムードにあっている。建っている建物が古い。たぶん戦前の満州国の一角なのかとも思ったが、ロケ地はハルビンという説もある。伊藤博文安重根に暗殺された場所だ。ハルビンというと波風が日本では立ちそうなので、あえて架空の都市としているのかもしれない。

2.観覧車に一緒に乗る二人
最終場面、ジャンとウ―が観覧車に乗る。このシーンを見て、オーソンウェルズ「第三の男」を連想した。この映画における「謎の男」の使い方はまさにあの映画を意識しているといえる。しかも、謎の男が強い!ちょっとビックリさせるようなパフォーマンスが用意されている。あとは夜総会のネオンだ。いかにも日本のパチンコ屋のネオンを倍くらい派手にしたような中国の夜総会らしいネオンをこの映画のキーポイントにしている。ネオンの使い方がムチャクチャうまい。



3.題名
原題は「白日焰火」である。「白昼の花火」の意味だ。それって何なの?という感じだ。英題が「black coal thin ice」である。これから薄氷という言葉がでたのかと最初思ったが、実は「白昼の花火」というのはとんでもないキーワードだった。でも、この映画の最後への展開には「いったい何?」とビックリさせられた。まさに花火が町の中で破裂しまくる奇妙な終わり方はちょっとどうかな?

この監督なかなかやりそうだ。
久々に「第三の男」を見てみたくなった。


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