映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「罪の手ざわり」 ジャ・ジャンクー

2020-02-14 19:32:52 | 映画(アジア)
映画「罪の手ざわり」は2014年公開の中国映画だ。


昨年観た作品の中では、ジャ・ジャンクー監督の「帰れない二人」は年を代表する傑作である。スケール感がある。自分のブログで昔の作品をチェックすると、「罪の手ざわり」が下書きのままになっていることに気づく。 ジャ・ジャンクー監督 作品の常連チャオ・タオがナイフを振り回す流血シーンが印象的で凄みを感じた。ところが、4つの物語をどうまとめて書くか頭が混乱している形跡がある。もう一度再見してみると、現代中国の縮図になっている作品だ。改めてブログを清書してみる。

ダーハイは山西省・烏金山に暮らす炭鉱夫。彼は、村の共同所有だった炭鉱の利益が、同級生の実業家・ジャオによって独占され、村長はその口止めに賄賂をもらっているのではないかと疑い、大きな怒りを抱いている。
「お前を訴えてやる」とジャオに伝えたダーハイは、ジャオの手下たちによって暴行され、大けがを負う。街の広場で演じられていた古典演劇「水滸伝」の主人公、林冲の「憤怒により、剣を抜き……」という言葉に自らの思いを重ねるダーハイ。帰宅したダーハイは猟銃を持って、役人たちのもとへと向かうが。。。(作品情報より)


重慶に妻と子を残し出稼ぎのため村を出たチョウが、正月と母親の誕生祝いにあわせて帰省した。「三男が帰ってきた!」という村人の声とともにチョウが帰ってくると、チョウの妻と幼い息子は複雑な表情で彼を迎える。
「送金を受け取ったわ。13万人民元。最後のは山西からだった」「武漢で稼いで、山西から送ったんだ」
出稼ぎとはいえ、各地から大金を振り込んでくる夫を怪しむ妻は、そっと夫のデイパックを開き、銃の弾倉を見つけてしまう。さらにそれぞれ行き先の違う切符を発見した妻は、「広州に行くの? それとも宜昌? 南寧? この村にいたらいいじゃない」とつぶやく。彼女は夫が何の仕事をして大金を送ってくるのか、ただの出稼ぎではないことに気づいていた。翌日、身支度を済ませると、チョウは街へ向かい、バッグを預けた後、金持ちそうな女を追い銃を向ける。(作品情報より)


夜行バスで湖北省・宜昌(イーチャン)に到着した男、ヨウリャンがカフェへ向かうと、恋人のシャオユーが待っていた。二人はもう何年もの付き合いになるが、ヨウリャンには妻がいる。「奥さんをとるなら、私と別れて。お互いに考えて決めましょう」


話し終えて再び別れると、シャオユーは勤め先の風俗サウナに戻る。彼女はここで受付係をして働いていた。
ある日シャオユーが勤務を終えて、勤め先の未使用ルームで洗濯をしていると、二人の男が「マッサージしろ」と部屋に入ってくる。自分は娼婦ではない、と断るシャオユーに男たちは執拗に迫るが。。。(作品情報より)

シャオユーの恋人、ヨウリャンが工場長を務める広東省の縫製工場で働く青年シャオホイは、勤務中に別部署のスタッフに話しかけた時、スタッフはうっかり機械に手をはさみ大怪我をしてしまう。スタッフが休んでいるときの給料はお前が払えと言われたシャオホイは逃げ出すように仕事を辞めてしまう。彼が向かったのは、東莞(トングァン)。より高給な仕事に就くために、香港や台湾からの客を相手にしたナイトクラブ「中華娯楽城」で働くことにした。この店でシャオホイは、東莞に向かう列車の中で偶然乗り合わせたしっかり者のホステス、リェンロンと出会う。


彼女と休憩時間に話をしたり、休日一緒に出かけたりして親交を深めるうちに、リェンロンに恋をするシャオホイ。ついに彼女に思いを告げるが、彼女には誰にも告げていない秘密があった


1.印象深いシーン1(オンナの逆襲)
不倫をして略奪愛に燃えるシャオユーが勤めているのはサウナだ。受付と雑務をしている。サウナには虎視眈々とオンナを抱きに来ている男たちが来る。普通に指名すればいいものを、サウナの中で雑務をしているところを客に見染められる。素人がいいと。お金はいくら出してもいいという顧客2人に対して徹底的に拒否する。

そのうちに言うことを聞かないので、1人の男がシャオユーを引っ叩く。一回ならず何度も引っ叩く。これでもかと。その時、シャオユーはナイフを暴力振るう相手に向けて切りつける。血が噴き出す。初めて見たときこのシーンには本当に驚いた。今回も同じだ。


不倫をしている2人、女性が買われるサウナ、切りつけるオンナ
恐ろしさを感じる。

2.印象深いシーン2(中国版風俗で働く女)
最初見たときも4話が気になった。いわゆる中国式風俗営業が垣間見れたからである。繊維工場で人にけがさせて、その分働けと言われて飛び出した青年が、東莞市(トングァン)の夜總会で働き始める。そこでは若き美女たちが金持ちのオヤジたち相手にカラダのお付き合いをする。夜總会でお客への顔見せで、買われる美女連があでやかな服装を披露する姿などが映る。中国映画では意外と見たことない。

自分はマカオでサウナと夜總会は経験している。まさに男性天国だ。映画に映る夜總会の女の子はまだ若くてかわいい。化粧を落とした姿は芦田愛菜にそっくりである。そんな女の子に青年は恋する。ここを逃げだそうと。でも彼女には3才の子供がいるのだ。生活をしなければならない。よくある恋の話である。

東莞(トングァン)という街をここではじめて知った。あやしいネオンサインが娯楽天国マカオを連想させる。場所は香港、マカオから深圳を隔てて北側に位置して830万人も人口がいるそうだが、性都とも言われる売春天国だという。へー!こんなところがあったのか!でもここへの交通手段は知らず、観光目的の日本人にはなじみが少ないかもしれない。ここでのきわどさは現代中国を象徴する何かを感じる。

3. 節操のない暴力
第1話と第2話を見返しても、説明が少ない。解説にもっともらしいことが書いてあるが、よくわからない。中国映画の傑作は映像で何かを感じさせようとする傾向があり、比較的説明が少ない。気がつくと暴力を振るっている。第2話の主人公は山賊のようなチンピラ兄ちゃんに金を出せと脅かされ、所持している拳銃でチンピラ3人を撃つ。いきなりのこのシーンで度肝を抜かれる。

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