映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ブラックレイン  松田優作

2009-11-21 22:22:01 | 映画(洋画 89年以前)
マイケルダグラス全盛時の大阪を舞台にした89年の作品。マイケルダグラス、アンディガルシアと当代きっての役者が揃い、日本側も高倉健、松田優作、若山富三郎と対抗する。遺作になると意識したのか?松田優作の狂気の演技が実に光る。

マイケルダグラスはニューヨーク市警の刑事。強引な捜査で評判の悪いオートバイ狂である。その彼がたまたま昼食時レストランで松田優作が日本人ヤクザを懲らしめ殺すところに出くわす。それを見たマイケルダグラスは決死の思いで松田を捕らえる。しかし、日本大使館の意向で日本へ護送することとなり、マイケルダグラスとアンディガルシアは日本への引渡しに同行する。飛行機が着き内田裕也とガッツ石松の刑事たちが出迎え、松田優作を引き渡す。さてこれから遊びに行くかと思ったところで、本物の刑事が現れる。騙されたことに気がついたら逃げ去られていた。
大阪府警にマイケルとアンディが向かい、捜査を担当することになった日本人が高倉健である。言葉が通じない、地理がわからない場所でマイケルたちは松田優作を追うことになる。。。。。

この映画も久しぶりに見る気になった。ちょうど89年、大阪のバブルの絶頂に私も大阪へ異動になった。細かいところは覚えていなかったが、日本に到着したときに、松田優作が仲間に連れ出されるシーンが非常に印象的でそれだけはよく覚えていた。

こうやって久しぶりに見ると、いくつか気になるところがある。リドリー・スコット監督は近未来映画「ブレードランナー」を作るときに、日本人街を登場させている。あの映画と若干ダブる場面が多い。しかし、「ブレードランナー」の不自然さと比較すると、大阪で撮られているだけあって、よりリアルな感じがする。
大阪の道頓堀のナンパ橋の近くで撮ったシーン、梅田駅の阪急デパートの横で撮ったシーンは良くぞここでロケしたなあという印象。自転車がわっさわっさ行き交う工場のシーンもなかなか難しいロケである。

あとは暴走族がたびたび登場する。いまでこそかなり減ったが、89年の日本では暴走族はまだまだたくさんいた。リドリースコットは何かのきっかけで暴走族をみて、映画に取り入れようとしたのであろう。ある意味ヤクザイコール暴走族のような感覚である。十三の街中やモータープールの中でのシーンでは彼らを思いっきり走らせる。

マイケルダグラスは「危険な情事」「ウォール街」の後、「氷の微笑」の前で人気絶頂のときである。今よりも若く、動きもよくかっこいい。高倉健は格で出演しているが、普通かな?でもクラブでアンディガルシアとレイチャールズの「ホワット・アイ・セイ」を歌うのは日本映画では観られない光景かもしれない。ご愛嬌だ。

何よりもすごいのは松田優作である。ここにはオーディションで選ばれ出演したようだ。そこで見せる狂気の表情がいかにもすごい。「ぞくっ」とする。その昔ジーパン刑事で見せた大胆な演技が、子供心に強い印象を与えたが、ここで見せる表情もそれに劣らない。ある意味死期を察した演技なのかもしれない。脱帽だ。


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