映画「17歳の瞳に映る世界」を映画館で観てきました。
同じ青春ものでも、日本では見たことないテイストの青春映画である。
一見の価値がある良く出来た作品だ。
2020年のベルリン国際映画祭の銀熊賞作品で、評価は極めて高い。ロッテン・トマトでも99%の超高評価というのも凄い。その評価自体は映画を見てみると納得できる。17歳の望まれない妊娠をしたペンシルバニアの女子高校生オータム(シドニー・フラニガン)が仲の良いイトコのスカイラー(タリア・ライダー)と共にニューヨークに中絶手術に向かう顛末を描く。
当然フィクションであるが、まるでドキュメンタリーと思しき映画の流れをくむ。妊娠してしまった女の子は泣いたりわめいたりしない。どうしてこうなってしまったか?ということを含めて説明は少ない。数少ないセリフと映像描写で説明する手法にエリザ・ヒットマン監督の力量を感じる。
こういう映画の内容だからか、女性スタッフ中心でできている映画である。一般に相手に共感を求める度合いが高いのは女性の方だ。だからといって女性だけに受ける映画ではない。ただ、男性に強い警鐘を与えているのも事実、われわれ男性は謙虚に受け止めなければならない。
主人公の名前は、オータム・キャラハン。意識しているかどうかわからないが、ダーティハリーのハリー・キャラハン刑事を連想して思わず唸る。
⒈普通の17歳
両親が普通にいる家庭である。母親の方が仲が良く父親とはギクシャクしているが、それ自体は思春期では別におかしくもない。妊娠が分かり、思いっきり泣いたりはしない。でも、自虐的にお腹を叩いて、流れてしまえばいいのにとなり気がつくとアザができる。
いとこで友人のスカイラーもスーパーのレジをやっている。スカイラーはスーパーのマネジャーに好意をもたれている。それもあってか、ちょっとした隙に売上のお金をさっと持ち去って、中絶のための資金に充てる。ペンシルバニアから長距離バスに乗ってニューヨークへ2人で向かうのだ。
普通は、この世代の女の子だとおしゃべりし放題という感じだが、しゃべりは極めて少ない。この辺りが日本青春映画で見るタッチと若干違う。
⒉妊娠中絶にあたって
望まれない妊娠というのは診断した初老の女医にもすぐわかる。中絶はペンシルバニア州では親の同意がいる。女医は中絶というのは小さな命を殺すことだとビデオをオータムに見せて養子縁組を勧める。こういったディテールには細かい映画だ。
昨年の日本映画の傑作「朝が来る」では若すぎる妊娠をした高校生が産んで養子縁組で子供を授ける話であった。同じように女医には勧められたが、そうしていない。
親になんて言えるわけがない。ネットで調べて、ニューヨークでの中絶を決意して、一緒のスーパーで働くいとこに付き添いを頼む。地元の診断では、10週目ということであった。ところが、ニューヨークで診断すると、18週目になっているという。これだと、1日で処理することはできない。金銭面も含めてあらゆる予定が狂っていくのだが。。。
ここでは、中絶手術のためにカウンセラーから質問を受ける。これがしつこいくらいに執拗に続く。性交渉の頻度や初体験、体験した人数などそこでいろんなことがわかる。この映画の原題はNever Rarely Sometimes Always、これはその時の4択の質問をこの4つのどれかで答えるのである。
いくつかの質問でオータムが心を乱す場面がある。
映画の見せ場かもしれない。
⒊ニューヨークの片隅で
もともと金はない。バイトしているスーパーの売り上げの一部をネコババして旅費と中絶費に充てている。1日で終わらない処置となるため、帰りの旅費もピンチだ。治療で健康保険を使ったら親にバレるから使えない。まともにホテルには泊まれない。街のベンチで泊まってしまおうとしても、追い出される。都会の片隅でたたずむ姿に哀愁が漂う。
美少女の2人を舐めるようにカメラが追う。大画面にアップで映る2人は初々しいところを持ちながら美しい。撮影の腕前も光る。当然フィクションであるが、そう思えないほどのリアル感が漂う。好演である。
同じ青春ものでも、日本では見たことないテイストの青春映画である。
一見の価値がある良く出来た作品だ。
2020年のベルリン国際映画祭の銀熊賞作品で、評価は極めて高い。ロッテン・トマトでも99%の超高評価というのも凄い。その評価自体は映画を見てみると納得できる。17歳の望まれない妊娠をしたペンシルバニアの女子高校生オータム(シドニー・フラニガン)が仲の良いイトコのスカイラー(タリア・ライダー)と共にニューヨークに中絶手術に向かう顛末を描く。
当然フィクションであるが、まるでドキュメンタリーと思しき映画の流れをくむ。妊娠してしまった女の子は泣いたりわめいたりしない。どうしてこうなってしまったか?ということを含めて説明は少ない。数少ないセリフと映像描写で説明する手法にエリザ・ヒットマン監督の力量を感じる。
こういう映画の内容だからか、女性スタッフ中心でできている映画である。一般に相手に共感を求める度合いが高いのは女性の方だ。だからといって女性だけに受ける映画ではない。ただ、男性に強い警鐘を与えているのも事実、われわれ男性は謙虚に受け止めなければならない。
主人公の名前は、オータム・キャラハン。意識しているかどうかわからないが、ダーティハリーのハリー・キャラハン刑事を連想して思わず唸る。
⒈普通の17歳
両親が普通にいる家庭である。母親の方が仲が良く父親とはギクシャクしているが、それ自体は思春期では別におかしくもない。妊娠が分かり、思いっきり泣いたりはしない。でも、自虐的にお腹を叩いて、流れてしまえばいいのにとなり気がつくとアザができる。
いとこで友人のスカイラーもスーパーのレジをやっている。スカイラーはスーパーのマネジャーに好意をもたれている。それもあってか、ちょっとした隙に売上のお金をさっと持ち去って、中絶のための資金に充てる。ペンシルバニアから長距離バスに乗ってニューヨークへ2人で向かうのだ。
普通は、この世代の女の子だとおしゃべりし放題という感じだが、しゃべりは極めて少ない。この辺りが日本青春映画で見るタッチと若干違う。
⒉妊娠中絶にあたって
望まれない妊娠というのは診断した初老の女医にもすぐわかる。中絶はペンシルバニア州では親の同意がいる。女医は中絶というのは小さな命を殺すことだとビデオをオータムに見せて養子縁組を勧める。こういったディテールには細かい映画だ。
昨年の日本映画の傑作「朝が来る」では若すぎる妊娠をした高校生が産んで養子縁組で子供を授ける話であった。同じように女医には勧められたが、そうしていない。
親になんて言えるわけがない。ネットで調べて、ニューヨークでの中絶を決意して、一緒のスーパーで働くいとこに付き添いを頼む。地元の診断では、10週目ということであった。ところが、ニューヨークで診断すると、18週目になっているという。これだと、1日で処理することはできない。金銭面も含めてあらゆる予定が狂っていくのだが。。。
ここでは、中絶手術のためにカウンセラーから質問を受ける。これがしつこいくらいに執拗に続く。性交渉の頻度や初体験、体験した人数などそこでいろんなことがわかる。この映画の原題はNever Rarely Sometimes Always、これはその時の4択の質問をこの4つのどれかで答えるのである。
いくつかの質問でオータムが心を乱す場面がある。
映画の見せ場かもしれない。
⒊ニューヨークの片隅で
もともと金はない。バイトしているスーパーの売り上げの一部をネコババして旅費と中絶費に充てている。1日で終わらない処置となるため、帰りの旅費もピンチだ。治療で健康保険を使ったら親にバレるから使えない。まともにホテルには泊まれない。街のベンチで泊まってしまおうとしても、追い出される。都会の片隅でたたずむ姿に哀愁が漂う。
美少女の2人を舐めるようにカメラが追う。大画面にアップで映る2人は初々しいところを持ちながら美しい。撮影の腕前も光る。当然フィクションであるが、そう思えないほどのリアル感が漂う。好演である。