映画とライフデザイン

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映画「1917 命をかけた伝令」 サム・メンデス

2020-02-19 06:43:54 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「1917 命をかけた伝令」を映画館で観てきました。


映画「1917 命をかけた伝令」はゴールデングローブ賞作品賞を受賞してアカデミー賞の本命と言われた作品である。「アメリカン・ビューティ」「007スカイフォール」「007スペクターサム・メンデス監督が祖父から聞いた話をもとに脚本を作り自ら監督をした。第一次世界大戦中に最重要伝令を伝えるために敵の陣地を抜けて味方部隊がいる最前線に進む英国軍の2人の兵士を追う。

映画を観ていて主人公にシミュレーションゲームのように数々の難関が押し寄せる様子は太宰治の「走れメロス」を連想した。一筆書きのように連続してワンカットで主人公を追っていく。ワンカット作品では「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が有名である。

カメラワークが実に素晴らしく、緊迫感のある中でさまよいながら進んでいく主人公を捉える。撮影監督ロジャー・ディーキンスのアカデミー賞撮影賞の受賞は当然とも言うべきカメラ捌きといえる。

第一次世界大戦中の1917年、欧州西部戦線ではドイツ軍と連合国軍の消耗戦が続いていた。4月6日、イギリス軍のマッケンジー大佐の部隊は撤退したドイツ軍を追撃していたが、敵軍は退却したと見せかけて、要塞化された陣地に最新兵器を揃えて待ち構えていることが判明する。明朝の突撃を中止しなければ、1600人の友軍の全滅は避けられない。伝えるための電話線が切れている。

英国軍の兵士スコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は、大佐の部隊に戦闘中止を伝達する命をエリンモア将軍から受ける。

ドイツ軍の占領地に分け入る2人に、敵が仕掛けたトラップが襲いかかかるが。。。

1.押し寄せる難関
相手の砲撃から身を守るための塹壕(ざんごう)が延々と続いている。その中を伝令を受けた二人は延々と歩く。それをカメラが連続的に追う。そのあとで敵の陣地だったエリアを歩く。たしかに相手は撤退しているように見える。しかし、洞窟のような場所をさまようとトラップに引っかかる。爆破でスコフィールドは埋まってしまう。それをブレイクが助ける。スコフィールドは目が見えない。なんとか立ち上がり目的地に向かう。

数軒の空き家が見える。誰もいない。上を見上げると、ドイツ軍と自国軍の空中戦がおこなわれている。ドイツ軍機が墜落してきて空き家にぶつかる。思わず敵のパイロットを助けようとしたら、ブレイクがうずくまっているのであるが。。。


このような形で、シミュレーションゲームのように難関が2人に襲いかかる。味方の部隊の車に助けられるが、車が泥沼に埋まったり橋が爆破されて車がこれ以上行けない。一人で潰された橋を渡って向かおうとすると、ドイツ軍の兵士の銃撃を受ける。こうして戦場の中、常に殺されるかもしれない緊張感の中で進んでいくのだ。


2.走れメロス
メロスは自分を処刑するなら、3日待ってくれといい、親友を人質にして妹の結婚式に向かう。ちゃんと帰らないと友人が処刑される。結婚式を終え戻ろうとすると、山賊に襲われたり、激流の川に流されたりする。やっとの思いで帰還するストーリーを連想してしまう。

主人公は敵の射撃から逃げるために川に飛び込む。一気に流される。このあたりもカメラがずっと追っている。セットなのか、実際の川なのかわからないが、主人公は大変な目に遭う。

流されて死んでもおかしくない。死体も川にはたくさん岸に積んである。

戦争映画と言っても、相手との攻撃を映すというわけではない。伝令をうけたまま、なんとか伝えようと懸命に陣地へ向かう兵士に押し寄せる難関をどう乗り越えていくのかをみせる映画である。それにしてもロジャー・ディーキンスの腕前には承服した。次に彼の映すカメラワークをみるのが楽しみである。
コメント
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