映画とライフデザイン

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映画「激戦 ハート・オブ・ファイト」

2015-07-20 21:50:00 | 映画(アジア)
映画「激戦 ハート・オブ・ファイト」は2015年日本公開の香港映画だ。


これはおもしろい!
映画館で公開中の時にいこうと思っていたが、行けずDVDスル―だった。もともとスポーツ系映画特に格闘技が絡むのは好きな方だ。昨年の日本の映画で一番好きなのはボクシングだけど、「百円の恋」だ。
スポーツ系映画でランキングをつくると、最高峰はいつ見ても気分が高揚する「ロッキー」だね。プロレスではアルドリッチ監督の遺作「カリフォルニア・ドールズ」がムチャクチャ面白い。これがランキング2位だな。落ちぶれたレスラーを描いたミッキーローク主演「レスラー」もいい映画だけど、どちらかというとドラマ仕立てで、格闘にかなりのウェイトを置いている方がいい。格闘技系でいうと「イップマン」は好みだ。
総合格闘技の映画って記憶にない。ここでは何でもありの真剣勝負をする戦いを映しだすけど、なかなかリアルだし、主人公それぞれの苦境にスポットをあてたストーリーづくりにも評価すべきところが多い。いい感じだ。格闘技映画好きにはおすすめだ。


ボクシング王者だったファイ(ニック・チョン)は、八百長事件に関わったことで王座をはく奪、ボクシング界を追放されてしまう。すでに40代半ば、博打好きがたたって借金取りに追われる毎日の彼は、香港からマカオに渡り、知り合いが働くジムの雑用係の職を得る。下宿先でシングルマザーのクワン(メイ・ティン)とその娘シウタン(クリスタル・リー)と知り合う。クワンは夫に見捨てられ、酒浸りになっていたために、不慮の事故で愛する息子を失った心をふさいでいた。今はしっかり者の長女で10歳のシウタンに守られながら暮らしていた。当初は、がさつで無遠慮なファイと反目するクワン母娘だったが、ファイの素朴な優しさを知るうちに、徐々に心を開いていく。


彼は、ジムに通うワケあり青年・スーチー(エディ・ポン)の切実な思いにもほだされ、スーチーのMMA挑戦をサポートすることに。スーチーは、バックパックで世界をめぐっていた裕福な御曹司だったが、実業家の父が破産し、今は生活費を稼ぐため、建設現場で働く毎日を送っていた。しかし、父は酒に溺れては、その都度息子に酒場に迎えに来てもらうという体たらくだった。そんなときスーチーの目に入ったのは、総合格闘技MMAの試合中継。自らの尊厳を取り戻し、そして強敵に果敢に立ち向かう姿を通して、父に生きる希望のメッセージを伝えるため、深夜のジムで強烈なパンチを放っていたファイに弟子入りを申し出る。


二人はタッグを組み、人生の再起を賭けて戦いの場に出る。
(作品情報より)

いい映画なので少しだけネタばれで語る。

1.ドツボな3人
「何かが欠けている」のが物語の主人公要件の基本とすると、何もかも欠けまくっている3人だ。その3人が立ち直ろうとする中で少しづつツキがまわってくる。このままうまく行ってしまうかと思うと、さすがに脚本はしっかり考えていて、再び3人を谷底に落とす。そしてもう一度あくせく頑張って上を目指すのだ。こういう紆余屈折まじりのストーリーは日本人好みかもしれない。


2.格闘技の実技と決め技
途中の格闘技試合の場面はどれもこれもリアリティにあふれているのでいい。主役2人は徹底的にトレーニングして鍛えたと思うけど、パンチっていくつかは本気で食らったりしているよね。もちろんキックも。こりゃ痛いよね。大変だ。技の出し方もいかにもショーを見るごとく、簡潔にまとめている。しかも、こちらをわくわくさせる。強敵の決め技は「バックドロップ」である。これを知っていてどう逃げるのか?昔プロレスの無敗王者ルー・テーズの必殺「バックドロップ」を力道山がかわすのに使ったのが相撲技の「河津掛け」というのはあまりにも有名だ。同じようにやるのかな?とおもってドキドキした。

ネタばれだけど、今回のキモはラストだよね。スーチーを半殺しにした強敵とファイとの対決で、相手の技をあえて肩を外すこと脱出して逆転するというパターンはいかにもスポーツ劇画的でいいなあ。そこで見せる逆転のアッパーがお見事、スーとするねえ。

3.マカオ
香港で借金取りに追われてマカオで身を隠すなんてみっともない主人公だ。この映画はマカオの街の中の猥雑な部分を思いっきり見せてくれるので、映像的にもムチャクチャ楽しめる。新しいグランドリスボアが割と全面に出てくると、また行きたいなあとワクワクしてしまう。

(参考作品)
カリフォルニア・ドールズ
アルドリッチ監督の遺作、スポーツ映画の最高峰


イップ・マン 葉問
ブルースリーの師匠の物語


レスラー
落ちぶれたプロレスラーの物語
コメント
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