映画とライフデザイン

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映画「嗤う分身」 ジェシー・アイゼンバーグ&ミア・ワシコウスカ

2015-07-18 05:13:06 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「嗤う分身」は2014年のドストエフスキー原作を現代に当てはめた作品だ。


いつの間にか公開されていたようだけど、まったく知らなかった。大好きなミア・ワシコウスカちゃんが出演しているようだ。ジャケットの写真はかわいいので気になる。共演は映画「ソーシャル・ネットワーク」で圧倒的な早口言葉であっと言わせたジェシー・アイゼンバーグだという。これはDVD借りてみたくなる。ただし、映画の内容はちょっと変な感じ。存在感の薄い男の職場に、突如として顔が同じで性格が反対の男が現れて翻弄されるという話である。


解説に近未来とあるけど、雰囲気がいかにも60~70年代の欧州といった感じで少しレトロ、アキ・カウリマスキ監督の映画の背景に似た感じだ。そこに突如として坂本九やブル―コメッツの歌が流れる。これはなんじゃ?!

内気で要領が悪く、存在感の薄い男サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)。会社の上司にも同僚にもバカにされ、サエない毎日を送っている。コピー係のハナ(ミア・ワシコウスカ)に恋をしているが、まともに話しかけることもできない。

そんなある日、期待の新人ジェームズが入社してくる。驚くべきことに彼は、サイモンと全く同じ容姿を持つ男だった。何一つサエないサイモンに対し、要領がよくモテ男のジェームズ。容姿は同じでも性格は正反対の2人。サイモンは次第にジェームズのペースに翻弄され、やがて思いもよらぬ事態へと飲み込まれていく・・・。(作品情報より)

暗い!!
昼間の映像を映し出していないというより自然光が入っていない。いきなり地下鉄のシーンも出てくるが野外ではない。
OA機器やCPUも一時代前の設定であるが、近未来と考えてもおかしくない場面もある。監督が意識的に時代をある場所に設定していない感じだ。


そこにジェシー・アイゼンバーグが登場するが、会社の人間に無視されてかわいそう。これじゃむしろイジメだ。ミア・ワシコウスカが唯一安らぐ存在になっているだけだ。こういうヒーリングムードの役柄はうまい。そんなうちに突然主人公と同じ顔をした別人が現れるのだ。てきぱきしていて、会社の同僚も一目置く。でもこの男が同じ顔をした人間が2人いることで悪だくみを考えるのだ。


1.60年代の日本のポップス
監督のインタビューによると、1948年から1971年までアメリカで一世を風靡した「エドサリバンショー」坂本九やジャッキー吉川とブル―コメッツが出演していてそれで知ったという。もちろん若い監督はリアルで見たわけでなくソフトで見たのであろうが、こういうファンっているんだよね。ちょっとビックリだ。この間「インヒアレント・ヴァイス」でも坂本九の「スキヤキ」が流れていて、これは日本人唯一の全米ヒットチャート一位の曲だけに不自然さは感じなかったけど、ブル―コメッツには驚いた。今聞くと昭和歌謡というジャンルに属すように言われるが、当時はバリバリのGSだった。長髪でないので紅白歌合戦に唯一出演していたなあ。

youtubeにその映像あり。英語の歌詞がちょっと不自然だけど一世一代の大舞台
司会のエドサリバンにいつもながらのふてくされたような司会で紹介されている。↓



2.ウォーレス・ショーン
冴えない男の上司役ででているのがウォーレスショーンだ。顔を見るとドキッとする。まだまだ健在だよね。my dinner with anndreという日本未公開の「死刑台のエレベーター」のルイマル監督による名作の主人公である。


ハーバード大やオックスフォード大で学んだインテリだけど、若ハゲで昔の顔はさえない。そのキャラそのままにmy dinner with anndreでアンドレグレゴリーといかにもインテリらしい対話をしているのが極めて印象的だ。「25年目の弦楽奏」にもでていたよね。若い時は冴えないけど、年をとった時の方がいいムードを醸し出す名脇役だ。


隣の住むミア・ワシコウスカを覗くシーンというのはヒッチコック「裏窓」に似た場面のようだし、レトロなムードとうらぶれたバンドに演奏させてるパターンはフィンランドのアキ・カウリマスキ監督の影響を強く感じさせる。数人の監督作品の強い影響も感じさせる。
コメント
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