映画とライフデザイン

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県警対組織暴力  菅原文太

2011-06-04 05:36:22 | 映画(日本 昭和49~63年)
県警対組織暴力「仁義なき戦い」の好評をうけ、深作欣二監督、笠原和夫脚本、菅原文太主演と同じコンビで昭和50年につくられた作品だ。日本映画史上最高のスピード感を持つ「仁義なき戦い」のスタッフがつくっただけに期待を裏切らない。今回は視点を警察側におき、暴力団に接近する刑事と暴力団同士の抗争を描く。架空の町倉島市としているが、中国地方が舞台だ。主演同様松方弘樹も脂が乗り切っていて、金子信雄、成田三喜夫が個性を出し切る。川谷拓三のチンピラぶりも笑える。実におもしろい映画だ。


時は昭和38年、中国地方の倉島署の刑事久能こと菅原文太は暴力団担当の叩き上げの刑事だ。文太は、大原組の若衆頭・広谷こと松方弘樹と癒着している。広谷は、対立する勢力の川手組長こと成田三樹夫と土地がらみの利権を争っている。文太は6年前、対立する暴力団組長を射殺した松方の犯行を見逃してやった。それ以来二人は固い絆で結ばれている。文太は川手組の縄張り拡張のために職権乱用した事をつきとめ叩きつぶした。混乱がつづく倉島地区を取り締まるため、県警主導で暴力取締り本部が再編成されることになり、県警本部からエリート警部補・海田こと梅宮辰夫が赴任した。梅宮は、法に厳正、組織に忠実、やくざとの私的関係を断つと三点をモットーに本部風を吹かせたが。。。。

警察側からの視点と見る目は異なるが、手持ちカメラ中心の躍動感ある映像は「仁義なき戦い」と同じである。今は暴力団との関係に対して、かなり厳しい目がある。昭和30年代から40年代にかけては実際にこういう癒着はあったかもしれない。自分が癒着する組の対抗勢力に対して厳しい取り調べをしたり、警察の手入れがある時は、事前に情報を組関係者にもらしておいたりする場面などはここでも出てくる。


菅原文太の一番いい時期だ。いきなりチンピラを脅して高価なライターを取り上げたり、川手の子分こと川谷拓三を取り調べるときなどは、全裸にひん剥いたあとで殴る蹴るの暴行を加え、マル秘情報をすっかり吐かせる。このシーンは凄い。一世を風靡した川谷拓三の名をあげたシーンともいえる。みっちり川谷を絞りあげた後で、川谷の女を署内に呼ぶ。川谷はたまっているものを吐き出すかのように女をトイレの中に連れ込みコトをいたす。平然とする文太。痛快だ。
松方弘樹の若衆頭も迫力がある。ホステス役の池玲子を手篭めにするシーンはいかにもヤクザの匂いをぷんぷんさせる。池玲子はなつかしい。東映ピンク路線の代表的存在だ。少年だった自分も当時どきどきしながら彼女を追いかけたものだ。

梅宮辰夫の警部役はそののちの貫禄と比較すると、まだまだという気もする。この時期はまだ組関係者の役が似合っていたのかもしれない。プレイボーイで有名だったころだ。彼のお父さんは私の家の近くで開業していた。内科医院でお世話になった。小学校の校医だった記憶がある。母に言わせると、お父さんの方が息子より男前だ。梅宮先生は腰が低いといつも言っていた。子供心に梅宮医院の看護婦は美人だらけだなあと思っていた。
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