映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

愛を読むひと ケイト・ウィンスレット

2010-04-30 20:50:29 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
ケイトウィンスレットがオスカー主演女優賞を受賞した作品である。映画を観れば受賞は当然と思わせる熱演である。彼女と15歳の少年との性的かかわりの前半戦には、渡辺淳一の小説のような激しさがある。後半はシリアス劇に転換して重い話となってくる。
クリスメンデスの撮影映像は美しく、ショーン・ペンの「プレッジ」のあの美しいコンテを撮影した同一人物ということがよくわかる。

1958年のドイツ15歳の少年である主人公は大雨にうたれているところを、ケイトウィンスレットに助けられる。彼女は路面電車の車掌である。少年の症状は重く3ヶ月の隔離生活を余儀なくされた。その後病状が弱まったあとで、助けてくれたケイトの家にお礼に伺う。ケイトの家に入り浸るうちに二人は男女の関係になる。少年は20歳以上年上の彼女との情事に毎日のように狂う。ケイトに少年の好きな本を読んで聞かせてあげる。ホメロスの「オデュッセイア」や「チャタレー夫人の恋人」などである。
車掌をしているケイトは勤務態度がよく、事務に職種転換をするようにいわれる。しかし、彼女はそれに落胆し、少年に当り散らしていくのであるが。。。。



ケイトウィンスレットはタイタニックから10年以上たち30代半ばに近づいている。2度結婚して子供も生んでいるせいか熟女の域に達している身体である。それをあらわにして大胆に少年と交わる。同時期に作られた「レボリューショナルロード」でもディカプリオと絡みを見せる。でも今回の映画ほど大胆ではない。まさに体当たり演技だ。そのあとの展開にしてもキズのある女性をうまく演じていた。
レイフファインズは大人になったあとの少年主人公を演じる。今回は存在感はない。でも彼の映画は不思議と相性が良く、外れたことはない。

途中からドイツナチスの残党が裁判を受ける場面になってくる。これは逆の意味で悲惨だ。戦争裁判というのは、本質的な首謀者でない人物までが裁かれる。しかも裁かれている人間は責任のなすりあいである。首謀者一味に指令を受けてそれに逆らえば、自分がやられてしまう。これはつらいなあ!戦争の時代に、それにかかわった国に生まれたことをうらむしかないのである。でも彼女は。。。。。
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入学式の奇妙な写真 朱川湊人

2010-04-30 06:00:41 | 
毎日見ている日経新聞の裏面は文化欄になっていて、私の履歴書とエッセイが連載されている。今月の私の履歴書は有馬稲子さんで、月中一瞬ドキッとさせられたけれど、途中からは割りと普通であった。それを見ている時に何げなくエッセイに目をやったら、すごく素敵なエッセイで一気に引きずりこまれてしまった。4月18日にでていた。

入学式の奇妙な写真 朱川湊人である。

作者のプロフィルをみると、自分よりすこし年下で同じ大学の出身のようだ。直木賞をとっているらしい。顔写真は非常に温和な顔をしている。そんな印象だった。
読み始めて文面のもつやさしさに感銘を受けた。

内容としては、
両親が離婚して男ばかりの3兄弟の末っ子で父親に育てられた筆者である。見栄っ張りで宵越しの金を持たない出来の悪い親父であった。筆者が実力以上の第一志望の大学に受かってしまったときにその親父が歓喜して入学式についてきた時の話である。そもそも高校と中学校の写真を一枚のフィルムに収めるような親父なのに、入学式で写真を撮りまくる。そうして撮った写真の中に2枚ほど奇妙な写真があった。それは見ず知らずの他の新入生と一緒に撮った写真である。親父さんが勢いで横を歩いている人をつかまえて、写真を撮ったというのだ。結局2度とあわなかった人になったようだ。でもその2人とも満面の笑みをたたえている。入学が嬉しかったからそういうノリのいいこともしてくれたんだ。でもいい写真だと思っている。
という話である。読んでさわやかな気持ちになった。

すごく素敵な文章を書く人だと思って、会社の行き帰りに朱川湊人さんの本を読むようになった。期待にそぐわない素敵なタッチの文面である。また別の機会に詳細は伝えたいが、ストーリーの大半は自分が生まれた昭和30年代に時間をタイムスリップさせている。ノスタルジックでいい。
昨日「超魔球スッポぬけ」というエッセイを読んでいたら、その中にこのエッセイの原型となる文面が載っていた。そして古新聞を引っ張り出してもう一度よんだ。
しばらく彼を追いかけてみよう。
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