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芥川賞受賞、「苦役列車、きことわ」を文芸春秋で読む

2011年02月23日 | 辛口ひとりごと
 
テレビで芥川賞、直木賞の受賞発表がありそれぞれ2人ずつ受賞。そもそも両賞はどう違うのか、芥川賞は純文学で直木賞は大衆文学らしいがいづれも主宰する文芸春秋社員が文学界や新潮ほかの雑誌に掲載された作品から候補作を絞り、該当作家に候補に選ばれました、受領しますかとはがきを送り、返信があった作品のみ候補作となり選考委員により選ばれる仕組みで、芥川賞の場合、正賞は時計、副賞は100万円らしい。賞品はたいしたことはない。
 月刊誌「文芸春秋」は860円で結構ボリューム、中身が濃いのでよく購読する。とくに今回のように芥川賞受賞作2作が全文紹介される号はいつも買うことにしている。2作をハードカバーで買うと3000円を超すからコストパーフォーマンスもよいから。
今回の受賞作家は対照的。「中卒、逮捕歴あり」こそわが財産と称する西村賢太氏44歳の「苦役列車」、かたや文学の名門に生まれた慶応大学大学院生の朝吹真理子さん27歳の「きことわ」。小説の内容も作家のプロフィールも全く違う。
 最近どうも寝不足で、夜なかにまったくトイレに起きない日はそう多くはない、晩酌で焼酎の湯割りをやると食後は眠くなり、読書もあまり進まない。ぐっすり眠れれば昼に読めるがそうでないと読み始めるとすぐに眠気に襲われる。400字づめ原稿150枚ほどの作品を夢中で読めるかどうかが作品のおもしろさと比例する。

 西村氏いわくの私小説とは自らの日雇いフリーター体験をおもしろおかしく読ませるということ。フリーターの星とかいわれ10数万部読まれているらしいが要するに日雇いで稼いだ金を酒とおんなに費やし、3畳一間に住み、家賃をふみたおし、ダメ人間とわかりながらも無為にすごす姿を赤裸々にしているだけ。まさに中卒、逮捕歴、まともな職につけないが財産になっている小説。結局何がいいたいか?。世の中不条理だが生きていくしかないということが言いたいのだろう。

 一方、「きことわ」。貴子8歳、永遠子15歳の別荘での体験、それから25年後のとりこわされる別荘での再会。女としてそれぞれの人生体験をへての再会。なにが言いたいのかよくわからず、読むのに苦役列車より数倍時間がかかった。すぐに眠くなった。村上龍氏(撰者の一人)いわく、失われた時間は取り戻せないがそれはそれで美しいし、現在とつながっているということを言いたいのか。文章表現は多彩だがひきこまれるということなく非常にかったるい印象をうけた。読解力に問題があるのかもしれないが・・・
 確かに400字詰原稿用紙150枚を書くのは大変と思うが私小説なら自己体験をおもしろおかしく書けそうな気もしないではないね。

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