テングノムギメシ(天狗の麦飯)とは日本の中部地方の火山地帯に産生し、戸隠山、黒姫山、浅間山など比較的高地に分布している微生物の塊です。色や形はさまざまですが、弾力があり、乾燥すると味噌の塊のように見えます。
天狗の麦飯(テングノムギメシ)は1~2mmほどのゼラチン状の粒で、自生地では大きな固まりとなり、層をなしています。色は薄い褐色で、見たところ麦飯のように見えるので、天狗の麦飯と呼ばれるようになったようです。天狗の麦飯は不思議な生物ということで、いろいろな研究者が調査研究しています。
天狗の麦飯の正体は藍藻類(クロオコッカセー科のグロエオカプサ、グロエオテース)などであるといわれています。生育地では、地表に近いほど新しく下に行くほど古くなり、この古い部分にはいろいろな細菌やバクテリアが進入し、分解をしているようです。
天狗の麦飯を構成する藍藻類には葉緑素は無く、そのため緑色ではなく薄い褐色をしています。このため、光合成とは違う化学反応で炭酸ガスの同化をしているのではないかとされています。天狗の麦飯の自生地では安山岩が多く、この安山岩の酸化分解によるエネルギーを利用しているのではないかとする説もあります。