僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

クローズド・ノート

2008-09-27 22:20:42 | 映画
日本映画専門チャンネルで「クローズド・ノート」を見ました。

 小学校教員志望の大学生・堀井香恵(沢尻エリカ)は、アルバイト先の「今井文具堂」で万年筆を買いに来たイラストレーター・石飛隆作(伊勢谷友介)と出会います。香恵は絵を描くのに最適な万年筆を探す石飛に、次第に惹かれていきます。

 香恵の家には、その家の前の住人の忘れ物と思われる一冊のノートがありました。初めは読むつもりはありませんでしたが、友人の葉菜が留学したこともあり、ふと寂しさに襲われた香恵はそのノートを読んでしまいます。

 そこには、そのノートを置き忘れた前の住人で小学校教師・真野伊吹(竹内結子)と生徒達との交流の日々、そして最愛の人“隆”への溢れる想いが綴られていました。

 ノートを読み進めていく内に香恵は、伊吹の考え方・生き方に共感するようになっていきます。

 不思議なことにノートの最後の1ページが切り取られていました。
そのページはお別れ会の後、伊吹が紙飛行機にして教室から飛ばしていたのです。

 そのページに綴られていた文章を紹介します。

大げさなことかもしれないけど、出逢いというのは、運命の糸でつながれているからあるんだと思う。限りあるめぐり合いのなかで出逢うのだから、それは奇跡だと言ってもいい・・・あなたと出逢うずっとまえの私は、この教え子たちと同じ夢見る少女でした。でもこんなに幸せな今の自分は想像できなかった。夢なら永遠に覚めないで欲しい。でも是が現実なら一瞬でも構わない。私は生きてきてよかったって言える・・・こうやってあなたのことを考えると何だかあたたかい気持ちなれる。・・・・あなたは私にとって陽だまりです。一見冷たそうで、でも本当は心の芯が太陽のように温かい。そう思うのはきっと私だけじゃなくてあなたにはそんな魅力があります。それはあなたの絵にも感じること。あなたのその才能と魅力をわかってくれる人たちがこれからもきっと沢山現れて、その中であなたが光り輝く。それを隣で見守ることができたら最高に幸せ。ねえ、隆・・・私はあなたに出逢えて本当に良かった。



秋の月

2008-09-27 20:43:56 | Weblog
秋の月は、限りなくめでたきものなり。いつとても月はかくこそあれとて、思ひ分かざらん人は、無下に心うかるべき事なり。(徒然草 第212段)

訳  秋の月は、この上もなくすばらしいものである。いつであろうとも月とはこんなものだと思って、ほかの季節と違う思いで月を見分けられないような人は、ひどく情けない心をしているに違いない。

古代の人は、自然に対する感性を「風流のわかる人」とか「情趣を解する心」などと呼んで何よりも美徳としたのです。特に月は秋の月が最高とされ、団子、薄、里芋を供えて月を愛でる十五夜と枝豆、栗などを供えて月をまつる十三夜が重んじられてきました。