浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

春日部共栄中学高等学校吹奏楽部 第26回定期演奏会

2012-05-01 13:43:34 | 吹奏楽

ブログ更新させて頂きます。
今年の2月以来ですので随分、間があいてしまいました…。
さて、今回は4月28日(土)に大宮ソニックシティ・大ホールで行われました「春日部共栄中学高等学校吹奏楽部第26回定期演奏会」について書かせて頂きます。
春日部共栄の定演は前回も足を運ばせて頂きました。
昨年は三出(さんしゅつ・全日本吹奏楽コンクール全国大会に3年連続出場すると4年目には参加出来ないという大会規定)のせいか、6月開催でしたが、今年はコンクールがあるので少し、早い時期のようです。
また、去年は東海大学付属第四高等学校と共同で開催した「全日本吹奏楽コンクール三年連続出場記念演奏会」(於サントリーホール)も聴かせて頂き、大いに感銘を受けました。
春日部共栄高校吹奏楽部は高校吹奏楽界では、全国トップレベルである事は言うに及ばず、ここ数年ではレベルの高いと言われる埼玉県や西関東支部でNO.1の高校バンドであることは間違いないでしょう。
個人の演奏技術が高く、洗練された演奏で私は非常に好みです。(上から目線でスミマセン。)

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埼玉県一の繁華街、大宮駅前はゴールデンウイークの初日ということもあり、大変な人手です。
その上、昨日の雨天とうってかわって、よく晴れた、しかも蒸し暑いくらいの陽気なのです。
人ごみをかき分けながら、腹の出たオヤジはと大宮ソニックシティへと急ぐのでした。
昨年は千葉公演と埼玉公演に別れた定演でしたが、今年は埼玉での開催のみで、然も昼夜2回公演です。
私は今回、仕事の関係で夜の公演を見させて頂きました。
本音で言うと昨年末の某高校の昼夜2回公演の夜の部を聴かせて頂いて、バテバテの演奏にガッカリした経験あったので、少し夜公演に不安がありました。
しかし、それは杞憂におわりました。
そこには圧倒的な春日部共栄ワールドが待っていたのでした。

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さあ、余計なおしゃべりは切り上げて「春日部共栄中学高等学校吹奏楽部第26回定期演奏会」の開演です。
最初の曲は、「丘の上の古城」(堀田庸元)。
指揮の都賀城太郎先生の丁寧すぎるお辞儀のあとに奏でられた音楽は優しい気持ちにさせてくれました。
初めて聴く曲でしたが、ホルストの組曲のように上品な曲で、コンサート最初の曲としてはベストです。
2番目の曲は、待ってました「交響的断章」(V.ネリベル)、オジサンにはたまらない曲です。
私が若い頃は、高校を中心に、この曲を自由曲にする団体が腐るほどありました。
そして同時に下手くそな演奏を死ぬほど聴かされてきました。
その私から言わしてもらいますと春日部共栄の演奏は素晴らしい。
都会的でスマートで正確です。
でも…。
勝手な持論ですが、もっと泥臭い音楽にして欲しかった。
オーバーな演出の方が、この曲が映えるような気がするのです。
3曲目は「リヴァーダンス」(B.ウィーラン/C.ストロメン)です。
この曲は演奏メンバーが代わって、(今迄3年中心だったのが)2年と中学生の演奏になりました。
出だしこそ、音程に疑問を持つ場面もありましたが、様々な舞踏の音楽を華麗に演奏し、非常に好感が持てました。
次は1年だけの演奏で「飛行の幻想」(R.シェルドン)です。
この曲は毎年の定演で必ず、1年だけで演奏する恒例の曲だとの事です。(たしかに昨年のプログラムでも演奏していました。)
昨年の1年生だけの演奏を明確に覚えているわけではないのですが、上級生に比べて未熟だったのは何となく記憶にあります。
ところが、今年は少しばかり、趣が違いました。
音程や細かいアンサンブルにミスはあります。
去年に比べて技術力が高いというわけでもない。が、とにかく元気で音色が明るい。
これは、時間が経てば、とんでもないことになるぞと感じた次第。
前半最後の曲は、「谺響(こだま)する時の峡谷~吹奏楽のための交唱的序曲」(中橋愛生)です。
演奏会プログラムの〈解説〉によると関西大学吹奏楽部のOB会設立50周年記念の委嘱作品だそうです。
打楽器等のバンダを用いた非常にセンスのよい曲だと思いました。
(何でも、あの人気曲「科戸の鵲巣」の続編にあたる曲の様です。)
春日部共栄の演奏は、技術はもちろん、非常にメッセージ性のある難曲であるのにもかかわらず、見事に「音楽」を表現していました。
大人の演奏です。
今回の演奏会の中で、これが一番イイ曲だと思いましたし、一番イイ演奏でした。(個人的な意見です。)

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10分間の休憩のあとに後半が始まりました。
いよいよ、福島弘和氏の委嘱作品が演奏されます。楽しみです。
以前の2つの委嘱作(“ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶”“シンフォニエッタ第2番〈祈りの鐘〉”)は春日部共栄が自由曲として普門館で演奏し、全国金賞を勝ち取っています。
その後、この2作品はコンクールの自由曲として多くの団体が取り上げています。
それに続く第3弾の委嘱作となれば、俄然、注目が集まるのは当然でしょう。
そんなことを考えていますと何とステージ上に作曲をされた福島弘和氏がゲストとして登壇しているではありませんか。
司会のインタビューにより、この曲にまつわる楽しい話をして頂きました。
そして、いよいよ演奏が始まります。
ですが、福島氏の委嘱作品の前に1曲。
今年の課題曲Ⅱ「行進曲“よろこびへ歩き出せ”」です。
多分、この曲では春日部共栄はコンクールには出ないだろうけど、お手本のような演奏でした。
テンポの遅い、ドイツマーチというか、山場のない曲なのに飽きさせず聴かせてくれたと思います。
次にお待ちかね、委嘱作「吹奏楽のための協奏交響曲」(福島弘和)の始まりです。
なかなか難しい曲ですね。
出だしでほんの少し、音程が気になったり、途中でアンサンブルに僅かな乱れがあったりしましたが、非常に見事な演奏でした。
福島先生もおっしゃっておられますが、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」のような感じの曲です。
どのパートも目立つが故にミスも目立つという曲だと思いました。
前2作より難易度の高い曲のように感じましたし、以前の2作より私の好みです。
何れにせよ、この曲がコンクール自由曲になるのでしょうから、もっと完成度を高めれば、“名演”になるのは間違いありません。

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その興奮が冷めやらないうち、今度はサクソフォン奏者、須川展也氏をゲストに迎えてのステージです。
「ウードゥルズ オヴ ヌードゥルズ」(J.ドーシー)、「リベルタンゴ」(A.ピアソラ)と2曲、素晴らしい演奏をして頂いた後は、「シーガル~アルトサクソフォンと吹奏楽のためのバラード~」(真島俊夫)。
この曲は、もともと須川先生のために作曲された曲らしいですね。
そう言えば、去年の定演でもプログラムに入っていました。(サクソフォンの女生徒のソロが大変、素晴らしかったのを覚えています。)
都賀先生は、この曲が好きなんですかねぇ。確かにいい曲ですけど。
今年は、趣向も凝っていて、ソロの部分を2年生の三瓶琴乃さんと須川先生が交互に吹くというものでした。
さすがにプロの技術にはかないませんが、三瓶さんも精一杯の美しい音色を聴かせてくれました。ブラボーです。
須川先生、最後の曲は「グラナダ」(A.ララ/森田一浩)。
これは、僕の様な素人が聴いてもわかる超絶技巧を必要としている曲です。
須川先生は難なく、この曲をこなしていました。素晴らしい!
この後、観客の拍手に応えてアンコールにカーペンターズの「青春の輝き」を演奏されました。
それにしてもプロの音ってなんて素敵なんでしょう!
技術もそうですが、色気のある音色に魅了されます。
さて、春日部共栄中学高等学校吹奏楽部第26回定期演奏会も最後の曲となりました。
「喜歌劇“サーカスの女王”セレクション」です。
恥ずかしながら、私は知らない曲でしたが、演奏は十分堪能できました。
春日部共栄はオリジナル曲のイメージが強いですが、オケよりの編曲物、しかもオペレッタのような軽快な曲もこなすんだなあと思い感服いたしました。
アンコールは下記の写真のとおりです。

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特に合唱は好感がもてました。
合唱を取り入れることによって楽器演奏におけるハーモニーの鍛錬になってるんだろうなあと思いました。
最後に全体的な感想ですが、構成がよかった。
高校の吹奏楽部の定演にありがちな学園祭のりの雑然とした構成ではなく、じっくりと音楽を聴かせてくれる内容でした。
技術力は素晴らしい。
くだらないミスをしないし、特に基礎的な部分が秀逸で、常に安定的な音が供給される。
あと、色気のある音だけです。
でも、それは、高校生には無理でしょうが。
とにかく、音楽ホールでは埼玉県一の規模を誇る大宮ソニックシティ大ホール(客席数2,505)を昼夜2回、ほぼ満席にできるという彼らの実力は目を見張るものがあります。
そして、演奏を聴いて、ますます納得します。
もうすぐ、コンクールの季節です。
間違いなく、全国大会で金賞を獲ると思いますが、本当に活躍を期待しています。
(コンクールも地区大会から訪れたいと思っています。)

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次は、5/6(日)の東京都立片倉高校の定期演奏会に行ってまいります。
それでは。


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2 コメント

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昨日、富士山河口湖音楽祭にて春日部県立高校 吹... (amicizia)
2012-08-18 07:11:23
昨日、富士山河口湖音楽祭にて春日部県立高校 吹奏楽部の演奏を初めて聞きました 吹奏楽の為の協奏曲を演奏しておりました。 この曲なで検索したところ貴殿のサイトにたどり着きました なかなかすばらしい演奏だったと思います。
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ブログのヌシ、浦和河童です。 (浦和河童)
2012-08-18 17:06:03
ブログのヌシ、浦和河童です。
amiciziaさん、コメントありがとうございます。
とても良い環境の中で春日部共栄を聞かれたのですね。
羨ましい限りです。
春日部共栄は高校では日本トップクラスの吹奏楽団です。
吹奏楽ファンとしての立場から申し上げますとこれからも、あたたかく見守って頂ければと思います。
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