浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

武蔵野音楽大学 ウインドアンサンブル演奏会2012

2012-07-19 01:06:11 | 吹奏楽

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前日に訪れた文京シビックホールも初めてでしたが、その日、2012年7月13日(金)の東京オペラシティコンサートホールも初体験のホールでした。
この日は、ここ一週間に集中していた在京音大の吹奏楽団の演奏会、3校目である武蔵野音楽大学ウインドアンサンブル演奏会のためにここにやってまいりました。
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それにしても、「東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル」は素晴らしいホールですね。
ホール内に入ると正面にパイプオルガンが鎮座ましましており、天井が三角のピラミッド型になっていて壮観です。
ホールの形式は、ウィーン楽友協会に代表されるシューボックスタイプです。
コンサート専用ホールとしてかなりのグレードが高いものと思われますし、驚いた事に壁、天井が木で出来ている。
しかも、天井は音響のことを考えて、天然木を使用しているとのこと。また、座席が半分ずつ、ずれており、前の人の頭に邪魔されることなくステージを見ることが出来ます。
至れりつくせりですなあ。
ホワイエも、高級感ただよい、こんなホールで演奏できる方々がうらやましい限りです。
愛称に「タケミツメモリアル」とあるのは、かの有名な故・武満徹先生が企画段階から参加し、オープニングを芸術監督として監修していたらしいのですが、残念なことにその前に他界されたとのこと。
そういった武満先生への感謝の思いを込めての愛称だそうです。

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本日の演奏会はプログラムを見ますと7月7日の熊本、7月8日の長崎と続いたツアーの最終日のようです。
この素晴らしいホールでどんなパフォーマンスをみせてくれるか、ワクワクします。
指揮は、ミネソタ州立セントクラウド大学教授のリチャード・K・ハンセン氏です。
この日のプログラムは休憩をはさんで以下の曲が演奏されました。

1.リオズ・コンバージェンス (J.フリアー)
2.2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
3.ウィリアム・バード組曲 (W.バード/G.ジェイコブ)
4.歌劇「サムソンとデリラ」より ダンス・バッカナール (C.サン=サーンス)
5.トッカータ・マルツィアーレ (R.ヴォーン=ウィリアムズ)
6.愛の力 (P.A.グレインジャー)
7.スプーン・リヴァー (P.A.グレインジャー)
8.おお、大いなる神秘 (M.ローリゼン)
9.2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
10.「ザ・ウエスト・シンフォニー」より 第4楽章-地平線に沈む日輪は紅に燃え- (八木澤教司)

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さあ、いよいよ開演です。
気合いを入れて聴くことにします。
最初の曲は、「リオズ・コンバージェンス」。
1980年生まれの新進気鋭の作曲家、J.フリアーの作品で日本初演のようです。
アメリカ的で、リズミカルな明るい曲です。
まだ、出来たばかりの曲(2011年初演)ですが、出版予定もあるようなので日本でも取り上げてみたら面白いと思います。
それにしても、武蔵野音大のサウンドの何と、やわらかい事!
耳にやさしいサウンドです。
プログラムでは2曲目は課題曲の演奏としか書いてありませんが、課題曲Ⅱの「よろこびへ歩きだせ」(土井康司)を演奏してくれました。
今年は、様々な演奏会でこの課題曲Ⅱを聴きましたが、個人的にはイチバンの演奏でした。
やわらかで上品なサウンド。
そして、メリハリの効いたリズムが曲全体を支配しています。
マーチなのに舞踏曲の様な優雅さを感じました。
次は、「ウィリアム・バード組曲」。
プログラムの“解説”によりますと16世紀から17世紀初頭にかけて存命し、王室音楽堂のオルガン奏者として務めながら、作曲家としてもたくさんの曲を残したウィリアム・バードの曲を英国人作曲家ゴードン・ジェイコブ(1895~1984)が吹奏楽に編曲した組曲なのだそうです。
私は、エルガー、ヴォーン=ウィリアムズ,ホルストといったイギリスの作曲家が大好きですが、この曲も彼らの曲と同じように心を落ち着かせてくれる、とても素晴らしいものでした。
(「オックスフォード伯爵の行進曲」「ジョン、いまキスして」「少女の歌」「ウルジーの荒れ地」「鐘」、組曲の中から以上5曲を演奏して頂きました。)
演奏も聴き入ってしまうほどのパフォーマンスでした。
まるで、自分たちの音を知っているかのようなニクい選曲ですね。
4曲目はサン=サーンスのオペラですか。
もちろん、素晴らしい演奏だったのですが、素人なりにひとつ感じた事があります。
世の中に数多ある吹奏楽団といえどもオーケストラに対しての向きあい方がおのおの違うと思います。
それは、パリ・ギャルドに代表される弦の響きを意識した音作りをするか、しないかと言う事です。
武蔵野音大に関して、私が感じたところを申し上げるならば、100%意識してないとは言えないけれども、それよりも管楽器の最高の演奏を目指しているような気がします。
だから、オケの編曲モノでも何か新しい吹奏楽曲のような新鮮さで聴けるのです。
(生意気言ってスミマセン…)

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ここで休憩が入りました。
後半も楽しみです。
しかし、指揮者のハンセン氏は素晴らしい!

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後半1曲目は「トッカータ・マルツィアーレ」。
私は、初めて聴く曲でしたが、まさにヴォーン=ウィリアムズってカンジの曲でした。
実に丁寧な演奏に魅了されてしまいました。
グレインジャーと言えば吹奏楽を愛する者にとっては「リンカンシャーの花束」が有名ですが、本日演奏の「愛の力」「スプーン・リヴァー」も良い曲でした。
この日のプログラムは全体的に似たような曲が多いのだけれど、それでも飽きさせないサウンドが武蔵野音大の魅力ですね。
次は「おお、大いなる神秘」。
この曲は、作曲者ローリゼンが、弁護士マーシャル・ルッターの追悼曲として夫人から委嘱されたものです。
ホルンの出だしのミスや途中のクラリネットのリードミスはご愛嬌として、荘厳な曲をまとめあげており、個人の技量の高さを感じました。
2曲目のコンクール課題曲はⅢの「吹奏楽のための綺想曲“じゅげむ”」 (足立 正)。
リズムにのった素敵な演奏でしたが、個人的にもう少し躍動感があったら、私好みだったのにと思った次第。
さて、トリの曲は武蔵野音大OBの作曲家、八木澤教司氏の作品です。
この曲は何でも千葉県の高校からの委嘱作品で4年計画で1年ごとに1楽章ずつ作曲された大曲です。
今回は、最終の第4楽章の演奏でした。
この楽章の“地平線に沈む日輪は紅に燃え”というサブタイトルが表わすように壮大な曲でした。
それまでの曲とは違い、今様の吹奏楽曲は聴く者にとっては非常に新鮮です。
しかし、武蔵野音楽大学ウインドアンサンブルは、“別の顔”でこの曲を見事に演奏していました。
ブラボーです。(会場に作曲者の八木澤先生がお見えになっており、舞台に上がってご挨拶されました。)

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このあと、上記のアンコール演奏がありました。
特に1曲目に演奏したコンクール課題曲Ⅳの「行進曲“希望の空”」 (和田 信)は素晴らしかった。
今まで聴いた演奏で、(私の中では)ダントツ1位です。
会場に来ていた中高生の皆さんも大いに参考になったことでしょう。
そして、大盛り上がりのうちに演奏会は終了しました。

近い期間の中で、在京3校の音大の演奏を聴かせて頂きました。
期待はしていましたが、それ以上の満足感をどの大学も与えてくれました。
ノーブルで透明感のある国立音大。
パワーと躍動感の東京音大。
やわらかく、温かみのあるサウンドを持つ武蔵野音大。
どれも甲乙つけがたい団体ですが、一つだけ共通するのは、私のような路傍のオヤジにもわかるように吹奏楽の魅力を伝えてくれていると言う事です。

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本当に吹奏楽ってイイものですね。
ますます、好きになってしまいました。

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