毎年ゴールデンウィークに全国のオーケストラ団員を中心としたプロの管打楽器奏者が一同に会し、大阪と東京で吹奏楽のコンサートをやります。
そのスペシャルバンドの名称が「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」。
大阪フィルハーモニー交響楽団の第1クラリネット奏者、金井信之氏を中心に集まった“精鋭”の皆さんの演奏は、それはもう、身震いするほどのパフォーマンスの連続です。
私もこの日で東京公演を聴かせて頂くのは3回目となりました。
吹奏楽のコンサートで自分自身、最も行きたい演奏会のひとつです。
「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」には、いわゆる“正指揮者”というものは存在しません。
そのかわり、客演指揮者として、毎年2人の高校吹奏楽部指導者が棒を振ります。
ひとりは、“固定”されていて、いわゆる“レギュラー客演指揮者”の大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部顧問で全日本吹奏楽連盟の理事長でもある丸谷明夫氏。
今年の“もうひとり”は、ここのところの活躍が目覚ましい玉名女子高等学校吹奏楽部顧問の米田真一氏です。
米田先生は、1969年生まれ、熊本県出身。
武蔵野音楽大学でホルンを学ばれ、1992年より玉名女子高の吹奏楽部顧問として赴任なさったようですね。
高校吹奏楽部、ましてや有名校ともなりますと、日々、様々な活動をしていると思いますが、やっぱりコンクールでの活躍がイチバン目立つので少し、玉名女子高の“履歴”をひも解いてみたいと思います。
全国大会の初出場は、米田先生が赴任以前の1989年ですね。(結果は、「銅賞」。)
2回目は、米田先生が顧問就任後、わずか2年の1994年に「ローマの祭り」で出場されております。(こちらも結果は「銅賞」。)
そして、ここからは、“トンネル”に入っちゃいましたねぇ。
1995年から2009年までの15年間、九州大会では上位に入るものの全国大会とは無縁のバンドになってしまったのでした…。
ですが、2010年、奇しくも同じ「ローマの祭り」で全国大会「復活」を果たす!
この時は、たまたま普門館で生演奏を聴かせて頂きました。
課題曲の“汐風のマーチ”は、勢いが良すぎて“軍楽隊”みたいだし、自由曲に至っては“力でねじ伏せる”ようなパワーしか感じられない演奏のように思えたのを覚えています。(「銅賞」)
これじゃ来年はないなと思っていましたら、2年連続の全国出場。(ここからは、“生演奏”ではなく、“CD”で聴いたものの感想です。)
そうです。
去年とは「何かが違った」。
具体的に言うとサウンドに丸みが出て来たような…。
課題曲の「南風のマーチ」も自由曲の「ラッキードラゴン」も、まだまだ荒々しさを感じましたが着実に“進化”しているのがわかりました。(「銅賞」)
翌年、私の予想に反して、3年連続で九州代表です。
そして、またまた“進化”を遂げていたのです…。
より洗練された演奏を聴かせて頂いたような気がします。
結果は、初の「全国金賞」の獲得!(本音で言うとこの年の「金賞」は微妙な感じがしましたが…。特に課題曲が…、個人的感想です。)
3年連続で全国大会に出場したのですから、2013年は、「3出(さんしゅつ。吹奏楽全国大会に3年連続出場すると4年目は出られないという大会規定。現在は廃止。)」でコンクールはお休み。
せっかく登り調子の団体が、こういうふうに強制的にインターバルを入れられるとポシャってしまう場合が多いのでどうなる事かと…。
…、と思っておりましたら、「3出」なんぞ関係ないよと言わんばかりに昨年も全国大会の舞台に立ったのでした。
それにしても、昨年の全日本吹奏楽コンクール、高校の部での玉名女子高の演奏は素晴らしかった。
もちろん、生演奏で聴いたわけではないのですが、ソフトで温かいサウンドは課題曲の「コンサートマーチ“青葉の街で”」をこの上のない上品な演奏にしていました。
これが自由曲の「森の贈り物」に入るとますますサウンドに磨きが掛かってきたんです。
ソロパートは、極上に上手だし、マシュマロのようなふわふわしたサウンドは、全体的に見事に融合していて、この曲のメルヘンチックな世界を完璧に現出していました。
龍谷大学の委嘱、2003年全国大会で演奏され、根強い人気を誇る曲ですが、どちらかと言えば地味な感じなのに何ときらびやかでありながら、ソフトに演奏する事か。
あくまでも私個人の意見ですが、昨年の全国大会高校の部でナンバーワンの演奏であったと確信しています。(同じ、九州の某有名女子高吹奏楽部をはるかに凌駕していましたね。蛇足ながら、私はこの某女子高のサウンドがとても苦手なのです…。)
言い過ぎかもしれませんが、ここ数年のコンクールの演奏の中でも“名演”と言えるのではないでしょうか?!
あまりにも玉名女子高の演奏が素晴らしかったので熱くなってしまいました…。(ちなみに私は、玉名女子高の関係者ではありません。一切、縁のない人間です。)
話を「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」にもどしましょう。
開演前にステージ上では木管楽器を中心としたアンサンブルをやっています。
さすがプロですね。
ほんの数秒で自分たちの世界を作ってしまいました…。
2015年5月6日、15:00、東京芸術劇場。
そして、間もなく始まるようです。
[演奏]
なにわ《オーケストラル》ウィンズ
(Flutes)
上野 博昭 大阪フィルハーモニー交響楽団
榎田 雅祥 元大阪フィルハーモニー交響楽団
中村 淳二 NHK交響楽団契約団員
中村 めぐみ 広島交響楽団
三上 麻結 フリーランス
(Oboes)
浦 丈彦 読売日本交響楽団
大島 弥州夫 大阪フィルハーモニー交響楽団
加瀬 孝宏 東京フィルハーモニー交響楽団
(Bassoons)
岩佐 雅美 読売日本交響楽団
藤崎 俊久 大阪交響楽団
山田 知史 東京都交響楽団
(Clarinets)
梅本 貴子 関西フィルハーモニー管弦楽団
加藤 明久 NHK交響楽団
金井 信之 大阪フィルハーモニー交響楽団
近藤 千花子 東京交響楽団
品川 秀世 広島交響楽団
白子 正樹 札幌交響楽団
芹澤 美帆 フリーランス
田本 摂理 大阪フィルハーモニー交響楽団
橋本 眞介 広島交響楽団
原田 美英子 大阪交響楽団
船隈 慶 大阪フィルハーモニー交響楽団
松尾 依子 オペラハウス管弦楽団
(Saxophones)
岩田 瑞和子 ミ・ベモルサクソフォンアンサンブル
雲井 雅人 雲井雅人サックス四重奏団
佐藤 渉 雲井雅人サックス四重奏団
陣内 亜紀子 ミ・ベモルサクソフォンアンサンブル
西尾 貴浩 雲井雅人サックス四重奏団
林田 和之 雲井雅人サックス四重奏団
平田 洋子 ミ・ベモルサクソフォンアンサンブル
前田 幸弘 ミ・ベモルサクソフォンアンサンブル
(Trumpets)
岡崎 耕二 東京都交響楽団
亀島 克敏 広島交響楽団
白水 大介 関西フィルハーモニー管弦楽団
茶屋 淳子 オペラハウス管弦楽団
橋爪 伴之 大阪フィルハーモニー交響楽団
長谷川 智之 東京フィルハーモニー交響楽団
松田 貴之 大阪交響楽団
横田 健徳 日本テレマン室内管弦楽団
(Horns)
上間 善之 東京交響楽団
倉持 幸朋 広島交響楽団
濱地 宗 群馬交響楽団
久永 重明 読売日本交響楽団
日高 剛 元NHK交響楽団
丸山 勉 日本フィルハーモニー交響楽団
向井 和久 日本センチュリー交響楽団
村上 哲 元大阪フィルハーモニー交響楽団
(Trombones&Euphoniums)
笠野 望 日本センチュリー交響楽団
風早 宏隆 関西フィルハーモニー管弦楽団
清澄 貴之 広島交響楽団
桑田 晃 読売日本交響楽団
ロイド 高本 大阪フィルハーモニー交響楽団
田中 宏史 名古屋フィルハーモニー交響楽団
山口 尚人 新日本フィルハーモニー交響楽団
吉田 勝博 大阪フィルハーモニー交響楽団
(Tubas)
大塚 哲也 東京フィルハーモニー交響楽団
林 裕人 名古屋フィルハーモニー交響楽団
渡辺 功 東京交響楽団
(Contrabasses)
市川 哲郎 群馬交響楽団
内藤 謙一 日本センチュリー交響楽団
長谷川 順子 神戸市室内合奏団
(Harp)
高野 麗音 フリーランス
(Piano&Celesta)
沼光 絵理佳 フリーランス
(Organs)
桑山 彩子(大阪)フリーランス
川越 聡子(東京)フリーランス
(Guitar)
佐野 健二 フリーランス
(Percussion)
安藤 芳広 東京都交響楽団
窪田 健志 名古屋フィルハーモニー交響楽団
小林 巨明 東京都交響楽団
高橋 篤史 フリーランス
西久保 友広 読売日本交響楽団
武藤 厚志 札幌交響楽団
安永 早絵子 オペラハウス管弦楽団
安永 友昭 日本センチュリー交響楽団
山下 雅雄 フリーランス
(Stage managers)
小倉 康平 東京都交響楽団
清水 直行 大阪フィルハーモニー交響楽団
冨永 誠二 広島交響楽団
山野 克朗 東京都交響楽団
[客演指揮]
丸谷 明夫
米田 真一
グレイアム*大学祝典ファンファーレ
Peter Graham/Akademishe Festfanfare
ネリベル*交響的断章
Vaclav Nelhybel/Symphonic Movement
石原 勇太郎*天空の旅-吹奏楽のための譚詩-(課題曲Ⅰ)
Yutarou Ishihara/Pilgrimage-Ballade for wind orchestra
田坂 直樹*マーチ「プロヴァンスの風」(課題曲Ⅳ)
Naoki Tasaka/March “Wind of Provence”
西村 朗*秘儀Ⅲ-旋回舞踏のためのヘテロフォニー(課題曲Ⅲ)
Akira Nishimura/Heterophony for Whirl Dance
オリヴァドーティ*序曲「林檎の谷」
Joseph Olivadoti/Apple Valley Overture
ヘス*シェイクスピア・ピクチャーズ
Ⅰ 空騒ぎ
Ⅱ 冬物語‐彫像
Ⅲ ジュリアス・シーザー‐元老院への入場
Nigel Hess/Shakespeare Pictures
Ⅰ Much Ado about Nothing
Ⅱ A winter’s Tale – The Statue
Ⅲ Julius Caesar – The Entry to the Senate
【休憩】
酒井 格*森の贈り物
Itaru Sakai/Legacy of the Woods
佐藤 邦宏*マーチ「春の道を歩こう」(課題曲Ⅱ)
Kunihiro Sato/Walk down the Spring Path March
朴 守賢*暁闇の宴(課題曲Ⅴ)
Soo-Hyun Park/The Scintillating Dawn
リード*アルメニアン・ダンス・パートⅡ
Ⅰ 農民の訴え
Ⅱ 婚礼の踊り
Ⅲ ロリ地方の農耕歌
Alfred Reed/Armenian Dances PartⅡ
Ⅰ Hov Arek (The Peasant’s Plea)
Ⅱ Khoomar (Wedding Dance)
Ⅲ Lorva Horovel (Songs from Lori)
アッペルモント*交響詩「エグモント」
Ⅰ 婚礼
Ⅱ フェリペⅡ世とエグモント
Ⅲ 処刑
Ⅳ ネーデルランド諸州対スペイン
Bert Appermont/Egmont
Ⅰ The Wedding
Ⅱ Filips&Egmont
Ⅲ Fato Prudentia Minor
Ⅳ United against Spain
《アンコール曲》
バーンズ*交響曲第3番〔抜粋〕
James Barnes/Third Symphony Op.89〔extracts〕
最初の曲は、お馴染みの作曲家グレイアムの「大学祝典ファンファーレ」。
金管主体の華やかで明るい曲調はコンサートの幕開けに相応しい雰囲気。
とても素晴らしい演奏でした!
続いては、ネリベルの「交響的断章」。
「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」(略してNOW)では、昨年は、「アンティフォナーレ」、一昨年は、「トリティコ」とネリベルの曲を取り上げています。(私も楽しく聴かせて頂きました。)
そして、今年はいよいよ「交響的断章」です。
これはもう、代表曲と言っても過言ではない。
それを『NOW』の演奏で聴けるなんて感激です!
また、この曲を丸谷先生が振ると言う。
この手の曲は、丸谷先生あまり『NOW』で、指揮しません。
演奏前の金井先生の“解説”によりますと丸谷先生の“挑戦”なのだそうですが…。
聴き慣れたというか、腐るほど聴いてきた(表現がキタナクてスミマセン)この曲をどのような演奏をして頂けるのか興味津々…。
やっぱり、この曲って“名曲”なんですね。
私の青春時代から聴いてきた“へっぽこ演奏”の数々の記憶を消し去ってしまうパフォーマンスに大感激!
特に鬼気迫る“音圧”が素晴らしい。
“迫力”とは、このようなものだと言うことを見せつけられた数分間でした。
続いては、今年の吹奏楽コンクール課題曲の演奏です。
まずは、コンサート前半は、Ⅰ、Ⅳ、Ⅲの3曲。
その前に丸谷先生が会場の中高生の皆さんに問いかけます。
「課題曲は、どの曲が好き?」
そして、課題曲の番号を言い、好きな曲のところで挙手。
結果は、課題曲Ⅳのマーチ「プロヴァンスの風」が圧倒的勝利。
ところが、丸谷先生、首をかしげます…。
この日の2日前、大阪でやった『NOW』のコンサートでは違った結果が…。
関西では、課題曲Ⅱマーチ「春の道を歩こう」が一番人気なのだそうです。
“地域性”があるのか非常に興味深い結果です。
さて、演奏です。
課題曲Ⅰから。
指揮は、米田先生にかわります。
演奏がステキなので何でも良く聴こえてしまうのですが、それにしても楽曲の雰囲気を良く掴んだまとまりを感じました。
この曲でコンクールを目指す学生の皆さんは、素晴らしいお手本となったことでしょう。
そして、『NOW』のコンサートでは“名物コーナー”、「実験的課題曲」。
通常の演奏が終わった後にその年の課題曲を様々な切り口で『料理』すると言う“お楽しみ”のコーナー。
課題曲Ⅰは、「やってはならないこと」をやりながら演奏するとのこと。
これがまた、会場の大きな笑いを誘っていました!!
無意味なベルアップ、過剰なスタンドプレー、ソロパートが勝手なリズムを取りながらの演奏、コテコテのジャズ風の演奏、米田先生までがしゃがんで指揮したり…、etc.
全てが面白く、会場が大いに盛り上がりました!
でもね、『NOW』の皆さんは、プロでしっかりとした技術を持っているからこそ出来るパフォーマンスなのでしょうね…。
続いての課題曲は、会場で最も人気の高かった課題曲Ⅳです。(指揮は再び、丸谷先生にもどります。)
大阪市音楽団(現・Osaka Shion Wind Orchestra)の模範演奏のCDに比べると出だしのテンポが若干、早いような…。
でも、軽快なリズムはステキです。
そして、実験。
この曲は、極少人数での演奏。
舞台上は、15人くらいでしょうか?
さすがに厚みはないものの、演奏は成立するんですね。
それと、あえて説明はしませんが、演奏中の打楽器の皆さんの“コント”には大爆笑?!
…、でした!!
さて、前半で披露して頂く最後の課題曲は、Ⅲ。(指揮は、米田先生。)
個人的にですが、私が今年の課題曲中でイチバン好きな曲です。(“熱狂的”といっても良いでしょう。)
いやあ、感動しました。
もう、多くを語りたくありません。
課題曲と言う枠を越えて、ただただ、ひとつの優れた楽曲として演奏を楽しませて頂きました…。(ちなみにⅢに関しては“実験”はありませんでした…。)
ここで、いったん課題曲の演奏は終了。
次は、ガラッと気分を変えて、懐かしの“オリヴァドーティ”です。(丸谷先生指揮)
私にとってオリヴァドーティといえば、「薔薇の謝肉祭」です。
それに比べて、この「林檎の谷」は、馴染みが薄い。
もちろん、曲は知っていますがね。
きっと、自分自身で演奏したことがないからでしょう。
いずれにせよ、とても懐かしく聴かせて頂きました。
ここで、米田先生と丸谷先生によるトーク。
色々な話をして下さいましたが、興味深かったのが、玉名女子高校吹奏楽部の話。
部員、100名の内、95名が寮生活なのだそうな。
すごいですねぇ。
前半、最後の曲は、ヘスの「シェイクスピア・ピクチャーズ」。(米田先生指揮)
パイプオルガンも加わった“大合奏”です。
この曲の成り立ちは、“プログラム・ノーツ”に詳しく載っており、分かりやすいので転記させて頂きます。(いいのかしら…。)
『バーミンガム市交響楽団委嘱で、2008年の作品。英国王立シェイクスピア劇団のために書いた原曲を、作曲者自身で補筆しながら3つの楽章に組み直し、吹奏楽の編成に直したもの。』
とても華麗な演奏でした…。
休憩です。
その間も舞台上では、ホルン8重奏+打楽器のアンサンブルをやって頂きました。(曲は、多分、“アフリカン・シンフォニー”?間違っていたら、ゴメンナサイ。)
何とサービス精神旺盛なことでしょう!
ここで、話は少し脱線しますが、客席の私の両側には男子高校生が座っていました。
一生懸命、全ての楽曲の演奏を聴いていましたが、特に課題曲、その中でもマーチであるⅡとⅣの時には身を乗り出して“没頭”している姿を非常に微笑ましく感じました。
今、この文章を表しながら、ふと、そんな光景を思い出してしまいました…。
後半最初の曲は、米田先生の指揮で「森の贈り物」です。
このブログの最初の方でも書きましたが、玉名女子高の演奏は素晴らしかった!
米田先生によると、この曲をコンクール自由曲として選んだ理由は、「サウンドに合っていたから」とのこと。
まさに絶妙な選曲でした。
さあ、『NOW』の演奏にも期待しましょう!
イメージどおりの演奏でした。
そして、清らかな演奏でした。
この曲、少し前の曲だけど、再ブレークします、きっと。
次は、前半に引き続いて課題曲の演奏。
最初は、課題曲Ⅱ。(丸谷先生指揮)
“ザ・マーチ”という感じで軽やかだし、リズミカルだし、言う事のない演奏でした。
続いて、“恒例”実験のコーナーです。
Ⅱに関しては、金管楽器を抜いた木管楽器&打楽器のみによる演奏。
マーチの花形である金管楽器がいないと、どのような事になるのでしょう?
やっぱり、さすがに華やかさには欠けますか。
でも、ある部分では上品に聴こえます。
まあ最大の弱点は、リズムの要である低音が響かないことでしょうな。
最後の課題曲の演奏は、Ⅴ。
毎年、課題曲Ⅴの演奏は、“指揮者なし”のパフォーマンスが多いのですが、今年は、“指揮者あり”でした。
結局、『NOW』の中心者である金井信之先生の指揮で(“実験コーナー”を兼ねて)、演奏されました。
課題曲の演奏が全て終わり、いよいよコンサートも佳境です。
巨匠、アルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス・パートⅡ」。(丸谷先生指揮)
吹奏楽を好きな人間なら知らない人はいないと言う大名曲です。
選曲の理由は、“リード没後10年”ということと、丸谷先生が提唱する“アルメニアン・ダンスを吹奏楽の第九に”というプロジェクトとの兼ね合いから決まったようです。(パートⅠは、既に2006年に取り上げているようですね。また、丸谷先生は上記のプロジェクトを行っているものの、パートⅡは、滅多にやらないようです…。)
明るく、表現力豊かな演奏でした!
いよいよプログラム、最後の曲。
アッペルモントの交響詩「エグモント」です。(米田先生指揮)
『「エグモント」はオランダ独立の「80年戦争」時代に実在した人物』で、スペインからの独立の『英雄』なのだそうです。
作曲者のアッペルモントは、あのヤン・ヴァン=デル=ローストのお弟子さんのベルギー人です。(近年、演奏会などでは、よく名前を耳にする作曲家ですね。)
この曲は、作曲者30歳の時の作品。
表題音楽だけあって、ドラマチックで奥深い曲調は傾聴に値する内容です。
それをまた、『NOW』の皆さんが“料理する”のがうまいこと…。
演奏者の技量が曲のグレードを引き上げる…、その典型例だと思いました。
いやぁ、堪能しました。
これで、プログラム上の曲は終了です。
ここで、丸谷先生がおもむろに口を開きます…。
「やらんわけには、いかんのや…。」
という事でアンコールとして、バーンズの「交響曲第3番」を演奏したのでした。
この曲は、まともに演奏すれば40分かかる吹奏楽の曲としては大曲です。
さすがにこれでは、長すぎるのか、この日は“抜粋”の演奏となりましたが。(と言っても20分以上の演奏でした。)
「交響曲第3番」は、バーンズが愛娘ナタリーを亡くした時期に書かれたもの。
特に第3楽章“幻想曲”は、『ナタリーのために』とわざわざ記載されているように愛にあふれた曲調です。(この楽章があまりに有名なために単独で演奏されることも多々あります。人の死や災害、不幸な出来事があった場合に、その傾向が強いです。)
この日の演奏も、この第3楽章を中心とした“カット”でした。
私が伺った5月6日の東京芸術劇場での“東京公演”の2日前、5月4日に大阪のザ・シンフォニーホールで“大阪公演”が行われました。
しかも、昼夜2回公演。(うらやましい…。)
『NOW』の演奏会は、非常に学生さんの観客が多い。
そこで大阪公演では、「大人の部」として夜公演が位置付けられているようですが、そのメイン曲として用意されたのが、この「交響曲第3番」。(つまり、大阪昼公演に行った方は、この曲は聴けなかったわけですね。東京公演ってお得かな…。)
そして、この曲は、日本との関わりも深い。
バーンズ作曲「交響曲第3番」は、もともとアメリカ空軍軍楽隊の委嘱により1994年に作曲されました。
1995年12月に同軍楽隊の初演予定でしたが、諸事情のために中止。
そして、翌年の1996年6月13日、木村吉宏指揮、大阪市音楽団(現・Osaka Shion Wind Orchestra)の第72回定期演奏会で“世界初演”となったのでした。
しかも、『NOW』の大阪公演があったザ・シンフォニーホールで。
また、大阪市音楽団(現・Osaka Shion Wind Orchestra)は、1997年の東京公演でも、この曲を取り上げています。
コンサートの場所は…、そう、ご推察どおり、東京芸術劇場なんです…。
ここまで来ると何か因縁を感じますね…。
演奏は…。
私の未熟な文章力では書いても書いても、表現しきれないくらい見所満載の演奏でした。
残念ながらこの日の演奏会に行けなかった方は、出来るならば、間もなく発売されるであろうCDを聴いて頂きたい。(ちなみに私は、ブレーンの回し者ではありません。悪しからず。)
そうすれば、わかります!!
比較的、吹奏楽のコンサートを聴かせて頂いて私ですが、100%満足できる時は、なかなか、ありません。
その数少ない“満足感”を得られるコンサートが、この「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」です。
今年で3回目の『NOW』ですが、いつも期待以上のパフォーマンスを見せて頂いております。
もちろん、来年も東京芸術劇場に通いたいですし、この演奏会が“永遠に”続いていってくれることを切に希望する次第です。
でも、“あんまり人気が出過ぎるとチケットが取りづらくなっちゃうなぁ”と埼京線の中で心配しながら家路に着く、“浦和のオヤジ”でした…。
また、ブログを書くのに時間がかかってしまいました。
スミマセンm(_ _)m