浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

川越奏和奏友会吹奏楽団 第37回定期演奏会

2013-05-22 20:36:51 | 吹奏楽

久し振りに川越の地に降り立ちました。
2013年5月19日(日)。
目的地の川越市市民会館に行くために川越駅東口からバスに乗りましたが、これがまた満員電車のような混みようです。
どうしてなんだろうと考えてみますと、これが殆ど観光客なんですね。
そうなんですよ。
「小江戸」の別名をもつ日曜日の川越は観光客だらけだったのです。

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川越は川越藩の城下町として発展し、その歴代当主は数多く老中などの徳川幕府の要職につきました。
そういった歴史ある川越は先の戦災も逃れ、関東では鎌倉、日光に続く文化財の多い街なのだそうです。
したがって、この風情ある神社仏閣、古い建造物は魅力あるのでしょうね。
街を散策してみたくなる気持ちもわかるような気がします。

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と、そんな感傷にひたる間もなく、私は川越市市民会館へと急いだのでした。
楽しみにしていた川越奏和奏友会吹奏楽団の第37回定期演奏会のためです。
会場に着きました。
川越市市民会館大ホールは座席数1,261席、典型的な地方都市の市民会館といった感じです。(内部も外観も。)
しかし、音楽を聴くホールですから、響きが重要ですよね。
どうなんでしょう?
私が色々な事を考えているうちに開演時間となりました。

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[演奏]川越奏和奏友会吹奏楽団
[指揮]佐藤 正人(音楽監督・常任指揮者)

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【第1部】

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● 行進曲「理想の海へ」  (清水 大輔)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅴ“流沙”  (広瀬 正憲)
● 交響曲第四番より第四楽章  (P.I.チャイコフスキー/arr.佐藤正人)

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(休憩)

【第2部】 ♪西部地区の中学生と共に♪

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● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ“勇者のマズルカ”  (三澤 慶)
 [共演]飯能市立飯能第一中学校
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ“祝典行進曲「ライジングサン」”  (白岩優拓)
 [共演]川越市立野田中学校
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ“エンターテイメント・マーチ”  (川北栄樹)
● トランペット吹きのバカンス  (小長谷 宗一)
[トランペット]渡邉 美月(川越市立城南中学校) 小高 まりな 木村 莉子(飯能市立加治中学校) 菊池 麻衣子 渡邉 恵利華 飯田 美佳
● シックス・スティックス  (小長谷 宗一)
[パーカッション]細渕 舞 稲垣 茉帆(川越市立城南中学校) 海老名 亜紀 石澤 衛 江口 博昭
● フォー・クラリネッターズ  (小長谷 宗一)
[クラリネット]関谷 祐子 只野 直光 原 みどり 関根 隆夫

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(休憩)

【第3部】

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● 沈黙の地球(ほし)~レイチェル・カーソンに捧ぐ~  (阿部 勇一)
Ⅰ.風が嘆いている
Ⅱ.センス・オブ・ワンダー
Ⅲ.海は語らない
Ⅳ.閑却の地上より
Ⅴ.沈黙の春~自然崇拝
[ソプラノ独唱]森 有美子

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コンサートの始まり、第1部は3曲。
最初の曲は海上自衛隊横須賀音楽隊の委嘱作品です。
(作曲者の清水大輔先生も会場にお見えになっておられました。)
初めて聴く曲ですので、よくはわからないのですが、初っ端のリズムがモヤモヤした感じに聴こえました。
私の耳が悪いのか…、自信がありません。
2曲目は今年の課題曲Ⅴです。
やはり、こういう難しい曲の演奏はさすがですね。
水を得た魚のように生き生きとした表現力に脱帽です。
第1部、最後の曲は、ガラッと雰囲気が変わりまして、チャイコフスキーの4番終楽章です。
私の中学生の時、コンクール自由曲として、ものすごく流行った曲です。(北九州の響南中、豊島十中、沖縄の石田中、出雲一中などの名演を思い出します。)
それにしても、全体のプログラムを見渡して、この選曲だけ違和感を感じるのはわたしだけでしょうか?
演奏は素晴らしいものでした。
乱れのないアンサンブルで安定した演奏を披露して頂きました。
ただ…、少しだけでも弦の音を意識した演奏だと私の好みだったのかな。(上から目線ですね。スミマセン。)
“管楽器の集団”がチャイコフスキーの交響曲を演奏しているということを強く意識させられたような…。(あくまでも個人的な意見です。)
浦和のオヤジが考えた結論。
奏和にはチャイコフスキーは合わないなと思いました。(これも、私の勝手な個人の意見です。私の無知さを笑い飛ばして下さい!)

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最初の休憩中に思ったこと。
ホールがやっぱり、響かないのでしょうか?
音は聴こえるんだけれども、個々の楽器が共鳴しあわないというか、融け合わない感じがありました。
それがために、ダイナミクスの効果が薄れているように思いました。

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第2部は埼玉県西部地区の中学生の皆さんとの共演です。
アンサンブルリベルテの演奏会でも中学生の皆さんと同じステージで演奏する機会を設けていますが、こうした実力ある団体が若い世代と交流していくのは、非常によいことだと思います。
身近な地域の吹奏楽の発展がひいては埼玉県のレベルの底上げになると思うからです。
また、先頭をきって地域に根差した活動をしていくことがトップバンドの使命なのではないでしょうか?
偉そうなことを言ってしまいました。
本題にもどります。
第2部は前半が3曲続けて課題曲、後半が小長谷宗一氏特集?といった構成です。
1曲目は課題曲Ⅰで飯能一中、2曲目は課題曲Ⅱで野田中との合同演奏でした。
時折、“若々しい”音が聴こえてくるのもご愛敬でしたが、真剣で一生懸命、演奏している中学生の皆さんには好感が持てました。
これからの活躍に期待したいと思います。(埼玉県の吹奏楽の未来はキミたちにかかっている!)
3曲目は奏和だけの演奏で課題曲Ⅳです。(この曲が多分、今年の課題曲一番人気?)
もし明日、全国大会があって演奏したとしたら、“金賞”。
そんな演奏でした。パーフェクト。
4曲目、5曲目は小長谷宗一氏の作品です。
「トランペット吹きのバカンス」は6人のトランペット奏者がメインになっての演奏です。
その中でも奏和の皆さんに混ざって、城南中の渡邉美月さん、加治中の小高まりなさん、木村莉子さんが精一杯の頑張りを見せてくれました。
素晴らしかったです。
次は楽器が代わって、スネアドラムがスポットライトをあびる曲、「シックス・スティックス」。
こちらも城南中の細淵舞さん、稲垣茉帆さんが演奏に加わり見事なパフォーマンスにオジサン、ジーンとしちゃいましたね。
第2部最後の曲は、同じく小長谷氏の「フォー・クラリネッターズ」。
4本のクラリネットが中心となったポピュラー音楽のクラリネット協奏曲のような曲です。
この曲を奏和の演奏で聴かせて頂いたのは、今年3月の“饗宴”以来ですね。
その時も見事なアンサンブルに感銘を受けましたが、この日も技術力の高さをまざまざと見せつけられた演奏でした。ブラヴォー!(作曲者の小長谷先生も客席にいらっしゃいました!)

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10分間の休憩をはさんで、第3部の開演です。
いよいよ、メインディッシュです。
阿部勇一氏の作による「沈黙の地球(ほし)」。
この曲は実を言いますと初めて聴く曲ではありません。
3月31日に府中の森劇場で行われたJWECC(日本管楽合奏指揮者会議:Japan Wind Ensemble Conductors Conference)で奏和の演奏を聴かせて頂きました。(その時はソプラノ独奏の森有美子氏だけではなく、松伏高校合唱部の皆さんもこの曲に参加されていた記憶があります。)
好みの曲でしたので、定期演奏会でのパフォーマンスにも期待大です。

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この曲についてプログラムに書いてあります解説によりますと、秋田吹奏楽団の第30回定期演奏会のために委嘱された曲なのだそうです。(初演は2008年)
作曲者が生物学者レイチェル・カーソンの環境保護運動に関する著作を読んで感銘を受け、吹奏楽曲として表現したのが、この曲。
見事な演奏でした。
こういう現代曲を表現力する力は、すごいレベルだと思います、川越奏和奏友会!
タテヨコ揃った正確な演奏。
変拍子の難しい曲でも、われわれ素人にさえ“音楽の流れ”を感じさせてくれます。
大人の知的な演奏です。(サウンドに少しだけ“色気”があれば、もっと私の好みだったかも。)
素晴らしかった!!(作曲者の阿部先生も来館されておられました。)
ところで、奏和の今年のコンクール自由曲は何なんだろう?
この曲か“饗宴”等で演奏しているファイヴ・コンビネーション(鹿野草平)ですかね…。

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アンコールは、岩井先生作曲の課題曲Ⅲ。
大曲演奏のあと、肩の力が抜けたのかノリノリの演奏でした。
そして、楽しいコンサートは終わりました。

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終演後、川越散策でもしてみようかと思いましたが、天気予報では夕方から雨。
会館の外に出てみると厚い雲が空を覆っています。
後ろ髪を引かれる思いながら、そそくさと川越をあとにする浦和のオヤジでした…。

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有意義な時間を過ごすことができました。
ただ、欲を言えば、この素晴らしい演奏会を東京芸術劇場あたりで聴いてみたかった…。