浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

春日部共栄中学高等学校吹奏楽部 第27回定期演奏会

2013-05-06 22:58:47 | 吹奏楽

2013(平成25)年5月5日、日曜日。
場所は東京・池袋駅西口から、すぐの東京芸術劇場。(このところ、通いなれてしまった?ステキなホールです。今日〈5月6日)も行きましたよ!「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」を見に!)
春日部共栄中学高等学校吹奏楽部第27回定期演奏会にやってまいりました。
この学校の定期演奏会に伺わせて頂くのは実に3回目になります。
時が経つのは早いものですね。

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今まで、吹奏楽で有名な複数の高校の演奏会に何度か行かせて頂いたことがあります。
どの学校も工夫をこらし、素晴らしいパフォーマンスを見せて頂きました。
しかし、コンクールとは違い吹奏楽をあまりご存じない方がいらっしゃるせいか概ねエンターテイメント重視の構成になっている場合が多い。
それを単純に悪いとは申せませんが、私はコンサートにおいては“練習の成果”…即ち、演奏の技術や、それに伴った表現力を鑑賞したいというのが本音です。
どうしても、エンターテイメント重視(“音楽の質”以外で客を喜ばせること?)になると演奏が雑になる、そんな気がします。
ところが、春日部共栄は“音楽”と真面目に向き合っているように思います。
選曲も意欲的ですし、素晴らしい音を提供しようという意気込みが感じられますよ。
だから、毎年聴かせて頂いているのです。

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それにしても昨年のコンクールは残念でございました。
最近のコンクールはレベルがグッと上がり、私のような素人にはどこが金賞であってもおかしくない演奏ばかりだと思えました。
去年は福島弘和先生の作品が3回連続で自由曲(2011年度は「3出[3年連続全国大会に出場するとその次の年は1回だけコンクールに出場できないという大会規定。本年度より廃止。]」のため不出場)になり円熟の境地に達したかなと思っておりましたら、まさかの「銀賞」。
私は全国大会高校の部には聴きに行けませんでしたので、後日、CDで聴かせて頂きましたが、金賞の団体と比較しても遜色ない演奏だったように思います。
ただ、素人ながら、ひとつだけ思う事がありました。
課題曲Ⅴの「香り立つ刹那」ですね。
春日部共栄もこの曲を課題曲に選んでいました。
今、人気の長生淳先生の作品ですが非常に難しい。
やはり、不利だったのでは…。
昨年の全日本吹奏楽コンクール高校の部では課題曲の選択に偏りがありました。
出場29団体のうち、課題曲Ⅳ行進曲「希望の空」が12団体。
そして、課題曲Ⅴ「香り立つ刹那」13団体。
課題曲が5曲ある中、このふたつの曲が圧倒的に人気を集めました。
しかし、結果には大きな差がでました。
課題曲Ⅳは演奏12団体中、金賞が7団体。
なんと半分以上が金賞でした。
それに対して課題曲Ⅴは演奏13団体中、金賞は3団体のみ。
自由曲との“絡み”もありますので一概には言えませんが、やはり“表現力”不足だったのだと感じました。
やはり、全国レベルとはいえ、高校生のレベルでは課題曲Ⅴを“聴かせる”までの技術はないのだと痛感した次第。(作曲者の長生先生が某雑誌で「あえて一つというなら」と前置きを付けながらも伊予高校のことを誉めておられましたが、私には他の高校との違いがわかりませんでした。)
それが証拠に川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団やヤマハ吹奏楽団浜松の演奏した課題曲Ⅴを聴いてごらんなさい。
あきらかに高校生とはレベル(表現力)が違う演奏です。

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余計なことばかり、書きすぎてしまいました。
本題に入ります。
最初に生徒会長の挨拶に続いて、いよいよコンサートの始まりです。
当日のプログラムは以下のとおりです。

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[演奏] 春日部共栄中学高等学校吹奏楽部
[指揮] 都賀城太郎、折戸祥子

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● コンサートマーチ「風薫る五月に」  (保科 洋)
● 紺碧の波濤  (長生 淳)
● 優しい花たちへ  (高 昌帥)
● ミュージカル「レ・ミゼラブル」より  (C.M.シェーンベルク/arr.福島 弘和)
 プロローグ
 一日の終わりに
 オン・マイ・オウン
 心は愛に溢れて
 最後の戦い
 ワン・デイ・モア

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          《休憩》

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● SKY HIGH for Wind Orchestra and Solo Marimba  (竹島 悟史)
[マリンバ]藤井むつ子
● 2013年全日本吹奏楽コンクール課題曲より
Ⅲ 復興への序曲「夢の明日に」  (岩井 直溥)
Ⅳ エンターテイメント・マーチ  (川北 栄樹)
● 飛行の幻想  (R.シェルドン)
● UTA-HIME~歌姫〈美空ひばりメドレー〉  (arr.杉浦 邦弘)
● ポルカ「雷鳴と稲妻」  (J.シュトラウスⅡ/arr.A.リード)

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会場は、ほぼ満員です。
1曲めは保科先生のマーチですね。
コンサートは1曲目が肝心と私は常々、思っているのですが今日の春日部共栄は、どうかなあ?と注目しながら聞き始めました。
一音目から、東京芸術劇場という立派なホールにも負けないクリアなサウンドが響き渡りました。
春日部共栄はサウンドには「頭脳明晰さ」が感じられます。
ただ、少しだけ…、コンサートマーチとはいえ、マーチ独特の低音楽器によるリズムの刻みに弱さを感じました。(だから、ほんの僅かに躍動感に欠けた。)
2曲目は大人気の「紺碧の波濤」。(作曲者の長生先生も会場にお見えになっておられました。)
私にとって“本日のメインイベント”ですね。
この日の演奏曲の中でイチバン楽しみにしていた楽曲です。
生演奏で聴いたのは、多分、昨年のコンクール東関東大会の職場一般の部、千葉の“光ウインドオーケストラ”以来でしょうか?
曲が始まりました。
出だしの低音部のピッチ&不安定感が気になりました。
中間部では盛り返し、それなりの演奏になっていましたが私の“素人目”でみても何かシックリこない演奏だったように感じました。(うまく、言い表せませんけど…。)
次は「優しい花たちへ」。
この曲は、とても美しい曲で、今年の初めに神奈川大学の演奏会で素敵な演奏を聴いたことがあります。
作曲者の高先生がご自分自身を取り巻く“全ての女性的なるものへの、愛と感謝を込めた讃歌”なのだそうで、その思いがヒシヒシと感じとれる名曲です。
この曲だけは高校2年生と中学生の演奏だということでした。
ミスや未熟さはあるもののサウンドがとても良かった。
基礎がしっかり出来ているという印象を受けました。
前半最後の曲は、ミュージカルや今年は映画でも有名になった「レ・ミゼラブル」ですね。
しかも、福島弘和先生のアレンジだというではありませんか。
期待大ですね。
聴き終っての感想。
見事な演奏でした。
特に表現力は際立っており、実力を存分に発揮した素晴らしいパフォーマンスでした。(埼玉栄のお株を奪ったかのようです…。)
ただ、最後の方でトランペット、バテましたかね。
それにしても、プログラムを見るとこの曲が今年のコンクール自由曲っぽいんですが、春日部共栄は路線変更でしょうか?
ここ数年の吹奏楽オリジナル曲の、しかも委嘱作品っていう路線は結構好きだったのですが…。

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さて、15分の休憩の後、後半です。
最初は、打楽器奏者の藤井むつ子氏を迎えての楽曲です。(解説によりますと藤井先生がN響打楽器奏者の竹島悟史氏に委嘱された作品のようです。)
内外で活躍されている藤井先生の演奏は、あたり前とは言え感情が指先から放たれたような表現力は見事なものでした。
また、春日部共栄も、多少のミスはあったとはいえ、ソロ楽器を盛りたてているパフォーマンスでした。
とてもヨカッタ!
次は今年のコンクール課題曲を続けて2曲。
まずは課題曲Ⅲ。
私のようなオヤジの吹奏楽ファンにしてみれば神様のような存在の岩井先生の作品です。
先日、テレビ朝日の「題名のない音楽会」で元気なお姿を拝見してうれしかった。
今年で90歳になろうというのに吹奏楽のことを熱く語っておられる様子は昔のままでした。(数十年前学生の頃、先生ご自身の作曲による課題曲を指導された音声テープを聴いたことがありますが、その頃と全くお変わりのない声だと感じました。)
蛇足が長くなりましたが、春日部共栄の演奏も素晴らしかった。
明日、コンクールに出てもOKってカンジですか!
ただ、この曲はコンクールでは、パフォーマンスに対してどう評価していくのでしょうか?(素人考えだとポップス調の曲だと採点しづらい…?)
そういう意味で難しい曲だと思います。
続いては課題曲Ⅳ。
個人的に申し上げますと昨年の「希望の空」が大好きだったので今年の課題曲のマーチは物足りなく感じてしまいます…。
聴きこめば、慣れてくるのでしょうか?
春日部共栄のみなさんは素晴らしい演奏でしたね。
ただ、あと少しだけ強弱にメリハリがあると私の好みかなあ。
後半4曲目は、新1年生の演奏だそうです。
毎年、新人演奏恒例の曲、「飛行の幻想」。
指揮は春日部共栄OBで本年度より吹奏楽部顧問として母校にもどってこられた折戸祥子先生です。
初々しい方々の演奏は好感が持てました。
初心者も多いでしょうから技術的なことはさておき、その明るいサウンドにこの学校の“未来”を感じました。
次は何故だか、美空ひばりのメドレー。
神奈川大学の演奏会では定番ですが、最近、いろんな団体の演奏会で美空ひばりの曲を聴く機会が多いような…。
流行っているのでしょうか?
トリはヨハン・シュトラウスですか。
華やかで躍動感のある演奏で締めくくりの曲として大いに盛り上がりました。

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アンコールは以下の曲です。

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私は毎年、定期演奏会に伺わせて頂いております。(言っときますが、春日部共栄の関係者でもなく、いわば縁もゆかりもありません。)
そして、最後まで音楽と真剣に向かい合っている春日部共栄高校吹奏楽部の姿を今年も見せて頂きました。
その姿は年を経てもゆるぎなく、これからも守っていってほしいと武蔵浦和の素人のオヤジは切に願うばかりです。

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実は、この日、コンサートのハシゴをしました。
東海大学付属高輪台高校と岡山学芸館高校のジョイントコンサートがあったのです。
高輪台は在京の高校ですから、いつでも聴けますが岡山学芸館はそうおいそれと演奏を聴くことは出来ません。(私は岡山学芸館のサウンドがとても好きなのです。)
このあと、江東区住吉の「ティアラこうとう」までいざ出陣です!
池袋駅へ急げ!!

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