お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

トリクチス幼生

2022年05月27日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え、市場で選別作業をしていると、お隣の定置網の方が小さな魚を持って来る。見るとチョウチョウウオ科のトリクチス幼生の様に見え、吻が尖っているのでハタタテダイの稚魚かなと思う。だが、いつも見るハタタテダイとは違い何だか全体的に黒っぽい感じである。鮮度の問題かもしれないが折角持って来て頂いたので確保し持ち帰る。家に帰り虫眼鏡でよく見ると鮮度的には問題なく、ただ体色が黒っぽいだけである。ハタタテダイのトリクチス幼生は今までにたくさん見ているが、このサイズだと既に体色が黒と白のストライプであるが、この個体に白い部分はない。更に臀鰭も後半のみ黒いがこの個体は臀鰭全体が黒い。となると、この体型から見てハタタテダイ属の別種ではないだろうか。体側や臀鰭が黒いとなると、以前に採集したこともあるツノハタタテダイ(ブログ2011 11.4)くらいである。今までにハタタテダイ属でハタタテダイやムレハタタテダイ以外のトリクチス幼生は見たことは無く、ネットや図鑑で探しても見つからず、容姿はわからない。一応、背鰭は12棘で背鰭軟条は透明であり腹鰭、臀鰭が黒く一致する。だが、決め手がないうえ、ひょっとしたらハタタテダイ属ですらない可能性も考えられ、結局は同定出来ず諦め、いつもの魚ボラ任せとする。


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