11月4日に告示となって、熊本市長選挙が行われています。
「熊本市をよくする市民の会」のしげまつ孝文候補のマニフェストが発表されています。
以下に、全文をご紹介します。
2018年熊本市長選挙・しげまつ孝文マニフェスト
2018年11月
熊本市をよくする市民の会
【しげまつ孝文が提案する市政の転換】
はじめに
安倍政権が、地方自治体に不要不急の大型事業・大規模開発を押し付ける一方で、医療・介護など福祉を後退させているために、深刻な事態を生み出しています。とりわけ、安倍政権が強行した「国保の都道府県化」は国保料のさらなる大幅引き上げの危険を作り出しています。安倍自公政権がやっていることは、「地方創生」どころか、「住民の福祉のための機関」としての自治体の機能を破壊する“地方壊し”の政治になっています。大西市政は、「安倍政権の地方創生の第1走者」と高く評価されているようですが、このことが熊本市政に様々な困難を持ち込んでいます。
安倍自公政権は、沖縄県民の民意を踏みにじり辺野古新基地建設押し付け、総理自ら改憲を推進し、消費税10%増税に乗り出しています。それだけに今回の市長選挙は、大西市政の転換とともに、安倍自公政権の暴走に「ノー」の審判を下す絶好のチャンスです。
1、被災者泣かせの市政は転換を
熊本地震被災者を泣かせる市政をこのまま続けさせるわけにはいきません。大西市長は「期限を過ぎたから」と仮設住宅から追い出し、各種調査で多くの被災者が健康不安を抱えている現実を知りながら、医療費免除を打ち切りました。東日本では、いまでも医療費免除を続けている自治体があります。それだけでなく、熊本地震の最大の特徴である「一部損壊」世帯(家屋被災の8割)の3分の2に対して何らの支援をせずに放置したままにしています。宅地被害、マンション被害の回復も見通せないでいます。今のままでは震災を機会にますます「格差と貧困」が広がってしまいます。被災者の生活再建を最後の一人まで果たしてこそ復興したと言えます。すべての一部損壊世帯への支援を行うことや、医療費減免の復活など、熊本城ホール整備を復興計画の柱に位置付け、被災者を切り捨てる熊本地震復興から、市民の暮らし・住い・生業の再建を最後までやりきる復興支援を行います。
2、開発優先から、福祉、子育て優先へ
安倍政権のアベノミクスの下で、全国どこでも、きらびやかな「まちなか」をつくるために、国と地方の莫大な税金を大型開発につぎ込んでいます。熊本市でも、桜町再開発とMICE(熊本城ホール)に450億円もの税金をつぎ込み、今後さらに「花畑別館跡」「JT跡」「NHK跡」を利用した施設建設に加え、400億円前後といわれる市役所庁舎建設に乗り出そうとしています。「公共施設等総合管理計画」における学校・住宅・道路等の公共施設・インフラの更新・長寿命化には、1年あたり約489億円が必要です。それに上乗せして大型箱モノをつくれば財政破たんは目に見えています。
一方で、安倍政権の下、毎年、年金が削減され、市民の所得は減り、国保・介護・子育て・教育の負担が増大し、お年寄りから若者まで市民の生活は厳しくなっています。
大西市政の「自己責任」「自己負担が原則」の子どもの医療費助成の窓口自己負担増、国保料、介護保険料の引き上げ、さくらカード制度改悪をやめ、暮らし・福祉・子育てを応援します。
今こそ、「住民の福祉を守る」という自治体の本来の役割を果たす立場に立つことが求められています。
3、「熊本市のまちづくり」は、市民とともに
政令市熊本市の「まちづくり」について、改めて徹底議論して、方向性を明らかにしたいと考えています。大西市長は「上質な都市」をかかげ、中心市街地をきらびやかにすることを最優先にしていますが、本来のまちづくりと全く逆さまの考え方です。
世界の流れは「持続可能な社会」の探求です。国連が決めた2019年から10年間の「家族農業年」を具体化し、家族経営に支えられた熊本の農業を基幹産業として守り、発展させます。また、従業員5人前後の「小規模事業、個人事業者」の役割を再評価して、その安定的な発展を促進させます。「家族農業」と「小規模事業者」を存続発展させることこそ、熊本市の地域経済、市民生活向上につながる方向であると考え、地域に根付いた商店や小規模事業所が元気になるまちづくりをすすめます。そして、市内周辺部の農村地帯が一体となって活性化するまちづくりをすすめていきます。
4、災害に強い熊本市へ ― 危険な立野ダムは中止して、河川改修を
立野ダム建設は、「白川流域の水害を防ぐ」ことを最大の目的に進められていますが、熊本地震でダム建設予定地周辺が大規模な被害を受け、予定通り立野にダムを建設していいのかが問われました。その後の西日本豪雨災害でも許容量を超える雨が降れば、ダムは洪水調節が不可能となり、異常時緊急放水により、下流域住民の被害が何倍にもなることが明らかになりました。多くの市民がダムに対し不安を持っている今、流域の住民が納得できる機会を提供する責任が市長にはあります。熊本市民が危険にさらされる可能性がある立野ダムの建設については、徹底して市民に情報を開示し、市民とともに考えていきます。
5、市長と議会が本来の緊張関係を持ち、開かれた市役所に
議会と市長の本来の緊張関係をつくるために、公の場での議論を大切にし、議会が単なるセレモニーの場とはならないように、真剣な論議の場として活発な議論を交わしていきます。また、口利き・しがらみを徹底して排除します。現在の市長室は、これまでになく閉鎖的で、監視員まで配置しています。市長室は、いつでも市民が来やすい、入りやすい場所にして、議会や市民の声をしっかり受け止めていきます。
【重点政策】
1、 被災者に寄り添った熊本地震の復興支援に取り組みます
⓵すべての「一部損壊」に市独自の支援を行い、政府に対し、「全会」を500万円に引き上げ、支援対象を「半壊」「一部損壊」にも広げるように、生活再建支援法の改正を求めます。
⓶被災者の医療費減免・免除を復活します。
2、 暮らし・福祉・教育最優先の市政に取り組みます
① 国民健康保険料については、大西市政の下で2回引き上げた分、12億円を元に戻し、1世帯1万円引き下げます。
② 「さくらカード」は、高齢者の現行制度を守り、障がい者は無料パス券を復活します。
③ 子ども医療費助成制度は、中学校3年まで窓口負担完全無料化を実現します
④ 小中学校の給食費無償化へ一歩踏み出します。
⑤ 児童育成クラブの無料化をすすめます。
⑥ 政令市で2番目に高い介護保険料を引き下げ、介護職員の処遇改善で、介護の充実をすすめます。
⑦ 「公契約条例」をつくり、地元中小零細企業を応援し、後継者づくりを支援します。
⑧ 若者が地元で働けるような雇用の場の確保、ブラック企業の改善に取り組み、正社員化をすすめます。
3、 立野ダムの危険性を情報開示し、住民説明会を開きます
4、 パートナーシップ条例を制定し、LGBTをはじめ性的少数者が安心して暮らせるまちづくりをすすめます
5、 安倍政権の暴走にはっきりものを言い、市民のいのち暮らしを守る立場で頑張ります
① 憲法を守り、平和な社会をつくります。
② 消費税10%への増税は中止を求めます。
③ TPPと日米FTAの中止を求め、所得補償・価格補償で後継者が安心して取り組める農業・漁業にしていきます。
【各分野の政策】
1、 いのちを守る社会保障制度の充実
① 誰もが安心して医療にかかれる国民健康保険制度にします
・国庫負担引き上げを国に要望します。
・一般会計繰入れを増やし、保険料引き下げるとともに、減免制度の拡充に取り組みます。
・国保料滞納者への差し押さえを止め、丁寧な収納相談を行い、健康悪化や受診抑制につながる資格証明書・短期保険証発行を中止します。
・人間ドック助成を復活し、特定検診自己負担の無料化を実施します。
・鍼灸・マッサージの助成回数は、年60回までに拡充します。
・無料・定額診療制度を周知します。
② 再建される市民病院を「子どものいのちを守る」拠点にふさわしく充実させ、要望の強い小児循環器内科を存続します。
③ 後期高齢者医療制度の改善に取り組みます
・速やかな制度廃止、70歳から74歳の高齢者の医療費2割負担の中止、現役並み所得者の3割負担をやめ1割負担にするよう国に要望します。
・短期保険証は発行をやめ、75歳以上の健康診断を無料化します。
・後期高齢者検診の受診票を全ての対象者に送付します。
④ 高齢者が安心して利用できる介護保険制度にします
・特別養護老人ホームなどの介護施設の抜本的整備をすすめます。
・自治体独自に介護保険料・利用料の減免制度をつくります。
・在宅介護を応援する介護手当てや在宅給食サービスを実施します。
⑤ 障がい者福祉を充実します
・切れ目のない障がい者福祉を拡充します。
・重度心身障がい者医療の医療費現物支給を実施します。
⑥ 憲法25条の精神を生かした生活保護制度の運用を行います
・夏期・年末・年始の見舞金を復活させます。
・各区役所の福祉事務所は、ケースワーカー・査察指導員を増員し、精神保健福祉士及び社会福祉士等の専門性と経験のある職員を配置します。
・生活保護申請は、誰でも、どこでも、いつでも気軽にできるように、生活保護申請
用紙をカウンターに設置します。
⑦ 予防接種・健康診断の拡充・禁煙教育など健康づくりの推進
・新型インフルエンザワクチン接種への助成を、すべての市民を対象に実施します。
・特定健診は、検診の項目を充実し、無料にします。
・各種ガン検診の費用を無料にし、前立腺ガン検診も実施します。
・子宮がん・乳がん検診への助成は隔年でなく毎年受診できるようにします。
・40歳以上の歯科検診を実施します。
・小学・中学生段階からのタバコに対する健康被害・ニコチン依存の情報を伝え、禁煙教育を実施します。
・公共施設の敷地内禁煙を徹底します。
⑧ 「福祉金庫」融資を利用しやすくするため、拡充します
⑨ 市税、保険料、医療費窓口負担等の減免制度について、市民に周知徹底し、制度の利活用を促進します
2、 子育てや教育を応援します
① 保育を充実します
・第3子以降の保育園・幼稚園の利用料はすべて無料とします。
・公立保育園の民間委譲はしません。
・認可外保育園への助成を抜本的に拡充し、第2子・第3子の保育料減免を実施し
ます。
・保育士の待遇改善と育成に力を入れます。
② ひとり親家庭への支援を強化します
・ひとり親家庭の生活・就労支援の抜本的な対策を講じます。
③ 児童育成クラブを充実します
・各クラブに専任指導員の配置と待遇の改善、専門性向上のための研修を実施します。
・大規模化を解消し、保育環境を充実します。
・長期休暇時は、体制を整備し、8時から開設します。
④ 5歳児検診を実施します
⑤ 貧困世帯への支援を強め、児童虐待予防策の抜本的な拡充を図ります
⑥ 児童相談所の専門性を高め、職員体制の拡充を図ります
⑦ 助産師による新生児訪問の単価を引き上げ、必要な訪問回数を認め、第2子も希望があれば助産師による新生児訪問を実施します
⑧ 小学校給食の民間委託は中止します
⑨ 就学援助制度を充実し、援助項目にPTA会費・部活動陽・生徒会費も入れます
⑩ 教職員は正規雇用にし、少人数学級を拡充できるように増員します
⑪ すべての小中学校にスクールソーシャルワーカー・学級支援員を配置します
⑫ 肢体不自由学級ならびに病弱学級のバリアフリー化をすすめます
⑬ 学校図書司書は有資格者を配置し、処遇改善を図るとともに、図書購入予算の抜本的拡充を行います
⑭ 高校生・大学生への給付型奨学金制度をつくり、奨学金の抜本的拡充を行います
⑮ 歴史の真実をゆがめる教科書を推進しません
⑯ 「森都心プラザ」情報交流施設の図書館は、市外の人にも開放し、駐輪スペースを拡充し、利用者の利便を図ります
⑰ 市立図書館の蔵書予算を拡充します
⑱ 富合公民館図書館を市立図書館の分館とし、開館時間を延長します
⑲ 公民館図書館の開館時間を地域の実情に即し、必要なところは延長します
3、 働く人の雇用とくらしを守り、地域経済の活性化を
① 「中小企業振興基本条例」を発展させ、「中小零細企業振興基本条例」とし、市役所・区役所挙げて実態調査をして、具体的施策に反映させます
② 官公需の大企業発注は例外的なものに限り、地元発注を原則とします
③ 小規模修繕登録制度は、小規模工事も対象とし、発注金額を50万円までに引き上げます
④ 最低賃金時給1000円を実現します
⑤ 求職活動中で困窮している失業者への生活・居住支援を国・県とも連携し拡充します
⑥ 所得の少ない青年・子育て世帯への住宅家賃補助制度・生活資金貸付制度など、市独自の自立支援策を実施します
⑦ 労働者の雇用と権利を守る「働く若者のハンドブック」を作成します
⑧ 中小企業青年雇用助成金制度をつくります
⑨ 中小業者への緊急的な少額融資制度をつくり、融資相談を市でも受けます
⑩ 江津湖とともに藤崎台球場などでの花火大会を再開します
⑪ 市独自の失業対策を実施します
⑫ 政府に対し、コメをはじめとする農産物の価格保障や所得保障など農業経営を守り自給率向上に必要な制度の充実を求め、TPPと日米FTAにきっぱり反対を主張します
⑬ 農業の担い手を増やし、定着させる抜本策を講じます
⑭ 農業者と消費者の共同で「食の安全」を確保できるルール作りをすすめます
⑮ 新規就農者の参入・定着を支援するため、市独自に以下の点を取り組みます
・新規就農者に月15万円を一定期間支給する制度をつくります。
・定年後に就農する場合の支援制度をつくります。
⑯ 環境保全型農業、地産地消、スローフードの取り組みや食文化の継承・発展を支援します
⑰ 学校給食へ米飯給食週3回を増やし、市内生産の野菜など地元食材の比率を高め、地産地消を推進します
4、 かけがえのない自然と環境を守る取り組み
① 諫早排水門を開き、有明海の再生を実現します
② 白川中流域などの涵養域の開発を規制し、涵水事業の拡充を図り、質・量ともに地下水を保全します
③ 地下水汲み上げ事業所から「協力金」を徴収し、涵養対策をすすめます
④ 有料家庭ごみ袋をやめます
⑤ 生ゴミの堆肥化やバイオマスなどによる資源化計画を策定し、ゴミ減量、リサイクル率の向上を図ります
⑥ 資源物持ち去り禁止条例を廃止します
⑦ 携帯電話中継塔やマンション、パチンコ店の建設に関する規制を強化します
⑧ 環境衛生事業所を復活させ、「ムシムシ相談」を拡充し、スズメバチ駆除の補助制度をつくります
⑨ CO2削減目標を掲げた「地球温暖化防止条例」を策定します
⑩ 屋上緑化・太陽光発電などへの助成拡充や、マイカーを規制し、ノーマイカーデーの推進など、公共交通への転換をすすめます
5、 防災と安全・安心のまちづくり
① 地域高齢者の避難場所として重要な役割を果たした公民館、老人憩いの家が老朽化しているので、改修・改築を急ぎます
② 教育現場での防災訓練を日常化し、防災教育に力を入れて、教育現場での具体的な災害への備えに取り組みます
③ 緊急時に起動できる情報発信の設備を市全域に整えます
④ 防災・備蓄倉庫を増やし、物資の配備についても拡充します
⑤ 「自主防災クラブ」への支援を拡充します
6、 地元応援の公共事業と、公共交通中心の環境に優しいまちづくり
① 花畑別館跡地やJT・NHK跡地へのハコモノ、花畑広場整備など、ムダなハコモノ整備は中止します
② カーブミラーや道路・橋梁等の新設・改修予算を拡充や、都市小河川の改修予算の増額や都市型水害対策を強化し、水害に強いまちづくりをすすめます
③ 市営住宅の建設と老朽化した住宅の改修・建替えや新規市営住宅の建設をすすめます
④ すべての市営住宅に風呂釜を早急に設置し、修繕予算を増やし、トイレ・風呂場・台所などのバリアフリー改修、畳替えや網戸・水周りの修繕などをすすめます
⑤ 市営住宅の家賃減免制度を拡充します
⑥ 民間住宅の低所得者に対する家賃補助制度をつくります
⑦ 市独自の住宅保証人制度を作り、ホームレスからの自立支援や身寄りのない高齢者の住宅確保を支援します
⑧ 個人住宅耐震化促進のための、診断・改修・補強の助成制度を拡充します
⑨ バス路線維持の補助を拡充し、公共交通空白地域をなくします
⑩ 市電の利用促進と、市電をいかしたまちづくりをすすめ、電停のバリアフリー化を実施します
⑪ 市営駐輪場を無料化します
7、 住民サービス向上につながる「区制」に
⓵地域経済活性化と防災・減災に役立つ区役所にするために、区への財源移譲を大幅に行います
⓶総合出張所を増やし、「福祉事務所」機能を置くなど、総合出張所・出張所の機能を拡充します
⓷均一運賃の区バスを走らせ、区役所への利便性を確保します
⓸地方自治の破壊につながる道州制には反対します
⓹土木センターを各区に設置します
8、 市民サービス向上につながる「行財政改革」を
①動植物園駐車場ならびに市外の子どもの入園料を無料にします
②水道料金の引き下げを実施します
③「集中改革プラン」による職員の削減を機械的に行わず、競争をあおる成果主義をやめ、「憲法と地方自治」を尊重する人材育成に努めます
④現代美術館など公募でない指定管理者制度の施設は直営にします
⑤市立図書館本館は直営を継続し、森都心ならびに城南分館については直営に戻します
⑥ 行政サービスの向上・専門職の育成の立場から、安易な民間委託はやめます
⑦税の徴収は、納税者の実情をきちんと把握し適切に行い、適税金滞納者への過度な差押えを中止します
⑦ 「官製ワーキングプア」一掃のため、以下の点に取り組みます
・臨時職員・非常勤職員・嘱託職員・アルバイト職員などの実態調査を行い、待遇の改善を図ります。
・「指定管理者」「委託業者」の従業員の給与実態や労働条件について把握します。
・臨時職員・非常勤職員・嘱託職員・アルバイト職員の交通費は実費を支給します。
・4年を期限とする有期雇用契約は、専門性確保の観点からやめます。
⑨ 談合防止・入札制度の改善、随意契約の見直しなど、契約制度改善をすすめます
⑩女性の役職・幹部職員への起用をすすめます
以上
「熊本市をよくする市民の会」のしげまつ孝文候補のマニフェストが発表されています。
以下に、全文をご紹介します。
2018年熊本市長選挙・しげまつ孝文マニフェスト
2018年11月
熊本市をよくする市民の会
【しげまつ孝文が提案する市政の転換】
はじめに
安倍政権が、地方自治体に不要不急の大型事業・大規模開発を押し付ける一方で、医療・介護など福祉を後退させているために、深刻な事態を生み出しています。とりわけ、安倍政権が強行した「国保の都道府県化」は国保料のさらなる大幅引き上げの危険を作り出しています。安倍自公政権がやっていることは、「地方創生」どころか、「住民の福祉のための機関」としての自治体の機能を破壊する“地方壊し”の政治になっています。大西市政は、「安倍政権の地方創生の第1走者」と高く評価されているようですが、このことが熊本市政に様々な困難を持ち込んでいます。
安倍自公政権は、沖縄県民の民意を踏みにじり辺野古新基地建設押し付け、総理自ら改憲を推進し、消費税10%増税に乗り出しています。それだけに今回の市長選挙は、大西市政の転換とともに、安倍自公政権の暴走に「ノー」の審判を下す絶好のチャンスです。
1、被災者泣かせの市政は転換を
熊本地震被災者を泣かせる市政をこのまま続けさせるわけにはいきません。大西市長は「期限を過ぎたから」と仮設住宅から追い出し、各種調査で多くの被災者が健康不安を抱えている現実を知りながら、医療費免除を打ち切りました。東日本では、いまでも医療費免除を続けている自治体があります。それだけでなく、熊本地震の最大の特徴である「一部損壊」世帯(家屋被災の8割)の3分の2に対して何らの支援をせずに放置したままにしています。宅地被害、マンション被害の回復も見通せないでいます。今のままでは震災を機会にますます「格差と貧困」が広がってしまいます。被災者の生活再建を最後の一人まで果たしてこそ復興したと言えます。すべての一部損壊世帯への支援を行うことや、医療費減免の復活など、熊本城ホール整備を復興計画の柱に位置付け、被災者を切り捨てる熊本地震復興から、市民の暮らし・住い・生業の再建を最後までやりきる復興支援を行います。
2、開発優先から、福祉、子育て優先へ
安倍政権のアベノミクスの下で、全国どこでも、きらびやかな「まちなか」をつくるために、国と地方の莫大な税金を大型開発につぎ込んでいます。熊本市でも、桜町再開発とMICE(熊本城ホール)に450億円もの税金をつぎ込み、今後さらに「花畑別館跡」「JT跡」「NHK跡」を利用した施設建設に加え、400億円前後といわれる市役所庁舎建設に乗り出そうとしています。「公共施設等総合管理計画」における学校・住宅・道路等の公共施設・インフラの更新・長寿命化には、1年あたり約489億円が必要です。それに上乗せして大型箱モノをつくれば財政破たんは目に見えています。
一方で、安倍政権の下、毎年、年金が削減され、市民の所得は減り、国保・介護・子育て・教育の負担が増大し、お年寄りから若者まで市民の生活は厳しくなっています。
大西市政の「自己責任」「自己負担が原則」の子どもの医療費助成の窓口自己負担増、国保料、介護保険料の引き上げ、さくらカード制度改悪をやめ、暮らし・福祉・子育てを応援します。
今こそ、「住民の福祉を守る」という自治体の本来の役割を果たす立場に立つことが求められています。
3、「熊本市のまちづくり」は、市民とともに
政令市熊本市の「まちづくり」について、改めて徹底議論して、方向性を明らかにしたいと考えています。大西市長は「上質な都市」をかかげ、中心市街地をきらびやかにすることを最優先にしていますが、本来のまちづくりと全く逆さまの考え方です。
世界の流れは「持続可能な社会」の探求です。国連が決めた2019年から10年間の「家族農業年」を具体化し、家族経営に支えられた熊本の農業を基幹産業として守り、発展させます。また、従業員5人前後の「小規模事業、個人事業者」の役割を再評価して、その安定的な発展を促進させます。「家族農業」と「小規模事業者」を存続発展させることこそ、熊本市の地域経済、市民生活向上につながる方向であると考え、地域に根付いた商店や小規模事業所が元気になるまちづくりをすすめます。そして、市内周辺部の農村地帯が一体となって活性化するまちづくりをすすめていきます。
4、災害に強い熊本市へ ― 危険な立野ダムは中止して、河川改修を
立野ダム建設は、「白川流域の水害を防ぐ」ことを最大の目的に進められていますが、熊本地震でダム建設予定地周辺が大規模な被害を受け、予定通り立野にダムを建設していいのかが問われました。その後の西日本豪雨災害でも許容量を超える雨が降れば、ダムは洪水調節が不可能となり、異常時緊急放水により、下流域住民の被害が何倍にもなることが明らかになりました。多くの市民がダムに対し不安を持っている今、流域の住民が納得できる機会を提供する責任が市長にはあります。熊本市民が危険にさらされる可能性がある立野ダムの建設については、徹底して市民に情報を開示し、市民とともに考えていきます。
5、市長と議会が本来の緊張関係を持ち、開かれた市役所に
議会と市長の本来の緊張関係をつくるために、公の場での議論を大切にし、議会が単なるセレモニーの場とはならないように、真剣な論議の場として活発な議論を交わしていきます。また、口利き・しがらみを徹底して排除します。現在の市長室は、これまでになく閉鎖的で、監視員まで配置しています。市長室は、いつでも市民が来やすい、入りやすい場所にして、議会や市民の声をしっかり受け止めていきます。
【重点政策】
1、 被災者に寄り添った熊本地震の復興支援に取り組みます
⓵すべての「一部損壊」に市独自の支援を行い、政府に対し、「全会」を500万円に引き上げ、支援対象を「半壊」「一部損壊」にも広げるように、生活再建支援法の改正を求めます。
⓶被災者の医療費減免・免除を復活します。
2、 暮らし・福祉・教育最優先の市政に取り組みます
① 国民健康保険料については、大西市政の下で2回引き上げた分、12億円を元に戻し、1世帯1万円引き下げます。
② 「さくらカード」は、高齢者の現行制度を守り、障がい者は無料パス券を復活します。
③ 子ども医療費助成制度は、中学校3年まで窓口負担完全無料化を実現します
④ 小中学校の給食費無償化へ一歩踏み出します。
⑤ 児童育成クラブの無料化をすすめます。
⑥ 政令市で2番目に高い介護保険料を引き下げ、介護職員の処遇改善で、介護の充実をすすめます。
⑦ 「公契約条例」をつくり、地元中小零細企業を応援し、後継者づくりを支援します。
⑧ 若者が地元で働けるような雇用の場の確保、ブラック企業の改善に取り組み、正社員化をすすめます。
3、 立野ダムの危険性を情報開示し、住民説明会を開きます
4、 パートナーシップ条例を制定し、LGBTをはじめ性的少数者が安心して暮らせるまちづくりをすすめます
5、 安倍政権の暴走にはっきりものを言い、市民のいのち暮らしを守る立場で頑張ります
① 憲法を守り、平和な社会をつくります。
② 消費税10%への増税は中止を求めます。
③ TPPと日米FTAの中止を求め、所得補償・価格補償で後継者が安心して取り組める農業・漁業にしていきます。
【各分野の政策】
1、 いのちを守る社会保障制度の充実
① 誰もが安心して医療にかかれる国民健康保険制度にします
・国庫負担引き上げを国に要望します。
・一般会計繰入れを増やし、保険料引き下げるとともに、減免制度の拡充に取り組みます。
・国保料滞納者への差し押さえを止め、丁寧な収納相談を行い、健康悪化や受診抑制につながる資格証明書・短期保険証発行を中止します。
・人間ドック助成を復活し、特定検診自己負担の無料化を実施します。
・鍼灸・マッサージの助成回数は、年60回までに拡充します。
・無料・定額診療制度を周知します。
② 再建される市民病院を「子どものいのちを守る」拠点にふさわしく充実させ、要望の強い小児循環器内科を存続します。
③ 後期高齢者医療制度の改善に取り組みます
・速やかな制度廃止、70歳から74歳の高齢者の医療費2割負担の中止、現役並み所得者の3割負担をやめ1割負担にするよう国に要望します。
・短期保険証は発行をやめ、75歳以上の健康診断を無料化します。
・後期高齢者検診の受診票を全ての対象者に送付します。
④ 高齢者が安心して利用できる介護保険制度にします
・特別養護老人ホームなどの介護施設の抜本的整備をすすめます。
・自治体独自に介護保険料・利用料の減免制度をつくります。
・在宅介護を応援する介護手当てや在宅給食サービスを実施します。
⑤ 障がい者福祉を充実します
・切れ目のない障がい者福祉を拡充します。
・重度心身障がい者医療の医療費現物支給を実施します。
⑥ 憲法25条の精神を生かした生活保護制度の運用を行います
・夏期・年末・年始の見舞金を復活させます。
・各区役所の福祉事務所は、ケースワーカー・査察指導員を増員し、精神保健福祉士及び社会福祉士等の専門性と経験のある職員を配置します。
・生活保護申請は、誰でも、どこでも、いつでも気軽にできるように、生活保護申請
用紙をカウンターに設置します。
⑦ 予防接種・健康診断の拡充・禁煙教育など健康づくりの推進
・新型インフルエンザワクチン接種への助成を、すべての市民を対象に実施します。
・特定健診は、検診の項目を充実し、無料にします。
・各種ガン検診の費用を無料にし、前立腺ガン検診も実施します。
・子宮がん・乳がん検診への助成は隔年でなく毎年受診できるようにします。
・40歳以上の歯科検診を実施します。
・小学・中学生段階からのタバコに対する健康被害・ニコチン依存の情報を伝え、禁煙教育を実施します。
・公共施設の敷地内禁煙を徹底します。
⑧ 「福祉金庫」融資を利用しやすくするため、拡充します
⑨ 市税、保険料、医療費窓口負担等の減免制度について、市民に周知徹底し、制度の利活用を促進します
2、 子育てや教育を応援します
① 保育を充実します
・第3子以降の保育園・幼稚園の利用料はすべて無料とします。
・公立保育園の民間委譲はしません。
・認可外保育園への助成を抜本的に拡充し、第2子・第3子の保育料減免を実施し
ます。
・保育士の待遇改善と育成に力を入れます。
② ひとり親家庭への支援を強化します
・ひとり親家庭の生活・就労支援の抜本的な対策を講じます。
③ 児童育成クラブを充実します
・各クラブに専任指導員の配置と待遇の改善、専門性向上のための研修を実施します。
・大規模化を解消し、保育環境を充実します。
・長期休暇時は、体制を整備し、8時から開設します。
④ 5歳児検診を実施します
⑤ 貧困世帯への支援を強め、児童虐待予防策の抜本的な拡充を図ります
⑥ 児童相談所の専門性を高め、職員体制の拡充を図ります
⑦ 助産師による新生児訪問の単価を引き上げ、必要な訪問回数を認め、第2子も希望があれば助産師による新生児訪問を実施します
⑧ 小学校給食の民間委託は中止します
⑨ 就学援助制度を充実し、援助項目にPTA会費・部活動陽・生徒会費も入れます
⑩ 教職員は正規雇用にし、少人数学級を拡充できるように増員します
⑪ すべての小中学校にスクールソーシャルワーカー・学級支援員を配置します
⑫ 肢体不自由学級ならびに病弱学級のバリアフリー化をすすめます
⑬ 学校図書司書は有資格者を配置し、処遇改善を図るとともに、図書購入予算の抜本的拡充を行います
⑭ 高校生・大学生への給付型奨学金制度をつくり、奨学金の抜本的拡充を行います
⑮ 歴史の真実をゆがめる教科書を推進しません
⑯ 「森都心プラザ」情報交流施設の図書館は、市外の人にも開放し、駐輪スペースを拡充し、利用者の利便を図ります
⑰ 市立図書館の蔵書予算を拡充します
⑱ 富合公民館図書館を市立図書館の分館とし、開館時間を延長します
⑲ 公民館図書館の開館時間を地域の実情に即し、必要なところは延長します
3、 働く人の雇用とくらしを守り、地域経済の活性化を
① 「中小企業振興基本条例」を発展させ、「中小零細企業振興基本条例」とし、市役所・区役所挙げて実態調査をして、具体的施策に反映させます
② 官公需の大企業発注は例外的なものに限り、地元発注を原則とします
③ 小規模修繕登録制度は、小規模工事も対象とし、発注金額を50万円までに引き上げます
④ 最低賃金時給1000円を実現します
⑤ 求職活動中で困窮している失業者への生活・居住支援を国・県とも連携し拡充します
⑥ 所得の少ない青年・子育て世帯への住宅家賃補助制度・生活資金貸付制度など、市独自の自立支援策を実施します
⑦ 労働者の雇用と権利を守る「働く若者のハンドブック」を作成します
⑧ 中小企業青年雇用助成金制度をつくります
⑨ 中小業者への緊急的な少額融資制度をつくり、融資相談を市でも受けます
⑩ 江津湖とともに藤崎台球場などでの花火大会を再開します
⑪ 市独自の失業対策を実施します
⑫ 政府に対し、コメをはじめとする農産物の価格保障や所得保障など農業経営を守り自給率向上に必要な制度の充実を求め、TPPと日米FTAにきっぱり反対を主張します
⑬ 農業の担い手を増やし、定着させる抜本策を講じます
⑭ 農業者と消費者の共同で「食の安全」を確保できるルール作りをすすめます
⑮ 新規就農者の参入・定着を支援するため、市独自に以下の点を取り組みます
・新規就農者に月15万円を一定期間支給する制度をつくります。
・定年後に就農する場合の支援制度をつくります。
⑯ 環境保全型農業、地産地消、スローフードの取り組みや食文化の継承・発展を支援します
⑰ 学校給食へ米飯給食週3回を増やし、市内生産の野菜など地元食材の比率を高め、地産地消を推進します
4、 かけがえのない自然と環境を守る取り組み
① 諫早排水門を開き、有明海の再生を実現します
② 白川中流域などの涵養域の開発を規制し、涵水事業の拡充を図り、質・量ともに地下水を保全します
③ 地下水汲み上げ事業所から「協力金」を徴収し、涵養対策をすすめます
④ 有料家庭ごみ袋をやめます
⑤ 生ゴミの堆肥化やバイオマスなどによる資源化計画を策定し、ゴミ減量、リサイクル率の向上を図ります
⑥ 資源物持ち去り禁止条例を廃止します
⑦ 携帯電話中継塔やマンション、パチンコ店の建設に関する規制を強化します
⑧ 環境衛生事業所を復活させ、「ムシムシ相談」を拡充し、スズメバチ駆除の補助制度をつくります
⑨ CO2削減目標を掲げた「地球温暖化防止条例」を策定します
⑩ 屋上緑化・太陽光発電などへの助成拡充や、マイカーを規制し、ノーマイカーデーの推進など、公共交通への転換をすすめます
5、 防災と安全・安心のまちづくり
① 地域高齢者の避難場所として重要な役割を果たした公民館、老人憩いの家が老朽化しているので、改修・改築を急ぎます
② 教育現場での防災訓練を日常化し、防災教育に力を入れて、教育現場での具体的な災害への備えに取り組みます
③ 緊急時に起動できる情報発信の設備を市全域に整えます
④ 防災・備蓄倉庫を増やし、物資の配備についても拡充します
⑤ 「自主防災クラブ」への支援を拡充します
6、 地元応援の公共事業と、公共交通中心の環境に優しいまちづくり
① 花畑別館跡地やJT・NHK跡地へのハコモノ、花畑広場整備など、ムダなハコモノ整備は中止します
② カーブミラーや道路・橋梁等の新設・改修予算を拡充や、都市小河川の改修予算の増額や都市型水害対策を強化し、水害に強いまちづくりをすすめます
③ 市営住宅の建設と老朽化した住宅の改修・建替えや新規市営住宅の建設をすすめます
④ すべての市営住宅に風呂釜を早急に設置し、修繕予算を増やし、トイレ・風呂場・台所などのバリアフリー改修、畳替えや網戸・水周りの修繕などをすすめます
⑤ 市営住宅の家賃減免制度を拡充します
⑥ 民間住宅の低所得者に対する家賃補助制度をつくります
⑦ 市独自の住宅保証人制度を作り、ホームレスからの自立支援や身寄りのない高齢者の住宅確保を支援します
⑧ 個人住宅耐震化促進のための、診断・改修・補強の助成制度を拡充します
⑨ バス路線維持の補助を拡充し、公共交通空白地域をなくします
⑩ 市電の利用促進と、市電をいかしたまちづくりをすすめ、電停のバリアフリー化を実施します
⑪ 市営駐輪場を無料化します
7、 住民サービス向上につながる「区制」に
⓵地域経済活性化と防災・減災に役立つ区役所にするために、区への財源移譲を大幅に行います
⓶総合出張所を増やし、「福祉事務所」機能を置くなど、総合出張所・出張所の機能を拡充します
⓷均一運賃の区バスを走らせ、区役所への利便性を確保します
⓸地方自治の破壊につながる道州制には反対します
⓹土木センターを各区に設置します
8、 市民サービス向上につながる「行財政改革」を
①動植物園駐車場ならびに市外の子どもの入園料を無料にします
②水道料金の引き下げを実施します
③「集中改革プラン」による職員の削減を機械的に行わず、競争をあおる成果主義をやめ、「憲法と地方自治」を尊重する人材育成に努めます
④現代美術館など公募でない指定管理者制度の施設は直営にします
⑤市立図書館本館は直営を継続し、森都心ならびに城南分館については直営に戻します
⑥ 行政サービスの向上・専門職の育成の立場から、安易な民間委託はやめます
⑦税の徴収は、納税者の実情をきちんと把握し適切に行い、適税金滞納者への過度な差押えを中止します
⑦ 「官製ワーキングプア」一掃のため、以下の点に取り組みます
・臨時職員・非常勤職員・嘱託職員・アルバイト職員などの実態調査を行い、待遇の改善を図ります。
・「指定管理者」「委託業者」の従業員の給与実態や労働条件について把握します。
・臨時職員・非常勤職員・嘱託職員・アルバイト職員の交通費は実費を支給します。
・4年を期限とする有期雇用契約は、専門性確保の観点からやめます。
⑨ 談合防止・入札制度の改善、随意契約の見直しなど、契約制度改善をすすめます
⑩女性の役職・幹部職員への起用をすすめます
以上