ちょっと思い出したので昔話です。
私が子供の頃に「大人って汚いなぁ…」と思ったのは、もれなく学会員さんでした。
ある意味いい社会勉強というか、簡単に人を信用してはならないと教えてくれた、反面教師的な存在といえるでしょうが。
私が一番最初に「大人って…」と思ったのは、まだ小学校に入る前、うら若き(笑)幼稚園生の頃です。
私と弟は小さな頃、お留守番が苦手な子供でした。というのも、母親が子連れで買い物など行きたがらない人で、子供を置いて行きたいけど子供はついていきたがる…。で、子供が寝ている間や遊びに夢中になっている間に置き去りにして出て行く、ということがよくありました。
私と上の弟(下の弟はまだ生まれていない)は気付くと母親がいないわけで、ただでさえ嫌なお留守番で軽くパニクって玄関を飛び出して家の前でわんわん泣いていました(当時一戸建てに居住)。それがしょっちゅうで、今思えばいいご近所迷惑ですね…。
ある時、また気付くと母親がいなくて弟と二人、玄関前の路上で泣き倒します。そこへ小学生のお兄ちゃんが下校で通りかかりました。私たちはお互い顔を見て「アッ!」と思いました。
そのお兄ちゃんは、前日母親に連れて行かれた座談会で会ったお兄ちゃんだったからです。
この頃は母親が出席する座談会などに、弟ともどもよく連れて行かれていました。その小学生のお兄ちゃん(確か小6)も母親に連れられて来ていて、「子供同士こっちで遊んどき」みたいな感じで一緒にされたのです。
そのお兄ちゃんは私たちに近づき、「どうしたん?」と聞いてきました。私は「お母さんおれへんねん」と言うと、「ウチついといで」と言って私たちを自分の家に連れて行ってくれました。
私はお兄ちゃんの後ろについて歩く道中、とても安心したのを覚えています。なぜなら前日、このお兄ちゃんのお母さんがとても優しくて、私たちを「いい子やねー、賢いねー」と、とても褒めてくれたからです。「もしかしたらお母さんを探してくれるかも」とさえ淡い期待を抱いたほどでした(子供だからね…)。
しかし現実はそう上手くいきませんでした。
お兄ちゃんは家に着くと、まず私たちを玄関前で待たせて自分だけ家に入りました。そして暫くしてお兄ちゃんのお母さんが出てきました。
私はそのお母さんの顔を見た途端、それまでの嬉しさや安堵感が一気に引くのを感じました。それは昨日の座談会とは打って変わった、迷惑そうな、冷たい顔でした。
その人は開口一番「どこの子?」と聞きました。昨日の今日で、私は「知らないはずがないのに」とうろたえながら「〇〇(苗字)です…」と答えました。するとその人は聞こえなかったのか、「え?誰って?」と威圧的に聞き返してきます。子供だったから威圧的に見えただけかも知れませんが…。
私は再度、ハッキリと「〇〇!」と答えると、その人はあさっての方を見ながら「あぁ…〇〇さんとこの…」と言いました。私はこの瞬間、「この人は私たちを子供だと思って騙そうとしている」と悟りました。
「◇◇君(お兄ちゃんの名前)これから勉強やから、遊ばれへんの。おうち帰ってくれる?」
私は頷いて、弟と手を繋ぎまたわんわん泣きながら、お兄ちゃんに連れられて来た道をとぼとぼ帰りました。このお母さんの言っている事は全部ウソだと分かってました。
本当だったら悪いですが、◇◇君はどー見ても学校から帰ってすぐ勉強するタイプの子供ではなく、このお母さんは私たちを追い返したくて仕方なかったのが子供の目から見ても丸分かりでした。
いや、いいんです。突然顔見知りの子供が泣きながら家に来たからと言って、家に招き入れて面倒見ろとは思っていません。当時からそんなことはしてもらえると思ってませんでした。
が、ただ、前日に座談会でとっても優しくしてくれて、母親同士でとっても仲良さそうにしていたので、持ってはいけない期待を持ってしまったのです。そしてそれを、予想以上の態度で裏切られてしまったということです。
私はこの経験で、「大人は信用できない」と学びました。
どれだけ親しそうにして笑顔で接していても、知らないふりもすれば泣いている子供を追い返しもする。
そして母親と仲良しなのも、表面的な「ウソ」だと直感しました。だって本当に親しくて仲良しさんの子供なら、家に上げないまでもあんな態度取らないでしょう。
私はその後、座談会でこのお兄ちゃんのお母さんに会っても、決して近づくことはしませんでした。でもそんなことを知らない(言ってはいけないと思った)私の母親は、当然のように親しげに笑顔で会話します。
向こうのお母さんも、私のことなど目に入らないように、母親とは「親友か!」とツッコミたくなるような仲良しぶりで接します。これを見て、私はまた「大人って汚な~…」と思ったものです。
これだけだったなら、これはたまたまこの人がそういう人だった、として済ませられる話かもしれません。
しかし小学生で私は引っ越して転校し、新たな地域で出会う母親の周りの学会員さんというのが、これがまた良く似た人たちばかりだったのです。
小学生1~2年生になる頃には、逆に慣れてお留守番が得意な子供になっていました。むしろ親なんて留守の方がいい、くらいの(笑)。
ですから状況はまた違うのですが、婦人部の学会員さんに共通するのが「大人(親)がいる前」と「相手が子供だけ」の時でまったく態度が違うということです。まぁ、ウチの母親が人望のあるような人じゃないというのも手伝っているでしょう。
子供の親が一緒にいるときは、まるで褒めなくてはいけない掟でもあるかのように子供を褒めて優しく親しげに接してきます。しかし、ひとたび親の目が離れれば「この子ダレ?」みたいに冷たく態度を豹変させたり、子供だから分からないと思ってか、平然とその子供の親の悪口(軽いグチ程度ですが)を言ったりします。
当時は学会員さんと一般人とで違いがあるなどと思っていませんから、「大人」でひとくくりにして「大人って…」という風に、大変冷めた感情を育ててくれる場でした。座談会。
こうして学会のことを調べた今、思い返せば母親と親しげに接していた婦人部の方たちは、母親の顔に「学会員」というレッテルを貼って接していたのでしょう。
そのレッテルを貼っていれば、どんなにお友達になれそうにないタイプの人でも「特別優遇」してもらえるという、ありがたーい魔法のレッテル。注意書きには、「必ずしも本当のお友達にはなれません」とどこかに小さく書かれていることでしょう。
そういえば置き去りにされて泣いている私を保護してくれた人が一人いました。その人は学会とは関係のない「こわもて」のオッチャンでした(隣の空き地の管理会社の人だと思う)。
ただプレハブの事務所でテレビ観せてくれただけでしたが、このオッチャンの時は「大人って見た目じゃ分からない」と勉強させてくれたものです(笑)。