
18日の都議会財政委員会で、旧こどもの城について質問を行いました。
こどもの城は、1979年の国際児童年を記念して1985年に開館したもので、こどもの城の存続を求める声が、国会はもちろん、都議会にも寄せられる中で、二〇一五年に閉館されました。こどもの城を守れと、「万引き家族」など映画界の第一線で活躍をされている是枝裕和監督、俳優の八嶋智人さん、「ワンピース」のルフィを初めとして数多くのアニメの声優をされている田中真弓さんを初め、ここで紹介することはできないほどの多くの方々がその存続の声を上げました。
こうした中で、旧こどもの城の土地と建物を都が購入をし、解体せず、リノベーションして活用するという方向性が打ち出されたことは重要です。
旧こどもの城が果たしてきた役割を考えるならば、子どものための機能を重視することが必要です。東京都に認識を聞いたところ、
「かつてのこどもの城におきましては、次代を担う子どもたちが、心身ともに健やかに成長するための、多彩な遊びのプログラムなどを実践してきたと聞いております。こうしたことを旧こどもの城のレガシーと捉えまして、都民の城においても、子どもの遊び、表現、学びの場や芸術文化活動の場などを提供していくことを検討」
と答弁がありました。
こどもの城でスタッフをされていた方が次のように紹介しています。
「『こどもの城』の活動プログラムの基本は、子どもたちに〝本物〟を提供すること。〝本物〟というのは〝子ども騙し〟で一時的な満足や楽しさ、おもしろさを与えるだけのものではなく、子どもが心の底から感動できるプログラムを提供すること。〝子どもだから〟この程度でよいだろうという妥協をしないこと」 「体を動かす活動でも、音楽部門ではリズムに合わせて動くことに重点があるが、体育部門が担当すると身体を大きく動かすことに焦点があたる。〈あそび〉にも、さまざまな切り口があり、何を意図するかによって異なった展開になる。いろいろな分野の専門家が集まった『こどもの城』だからこそ、多面的に〈あそび〉が深められた」
こどもの城が担ってきた機能を端的に、わかりやすく伝えている一文だと思います。
また、『からすのパンやさん』などの作品で知られる、絵本作家のかこさとしさんは、『どろぼうがっこう』という作品のあとがきで次のように述べています。
わたしは、「子どもたちに与えるものは、子どもたちだから最高ですぐれた水準のものであるべきだ」という主張をいただいていました。しかし、極度に時間のない毎日を送っていた上、ちょうど学位審査があったので、一種の「笑劇(ファース)」としてまとめたこの作品を、こんな乱暴な絵によって子どもたちに見せることになったことを、残念に思っていたのです。
ところが、わたしのこんなおそれを裏切って、子ども会でみせた最初から、この紙芝居は圧倒的に子どもたちに迎えられました。単色に近い彩色の、しかもデッサンも構図もいいかげんなこの紙芝居を、何かことあるごとに子どもたちは〝みせて〟とねだり〝演じろ〟とせまりました。 何度となく、そのアンコールにこたえながら、わたしはかれらが表面上のきらびやかなケバケバした豪華さにひかれるのではなく、もりこまれた内容の高いおもしろさを求めているのだということを、子どもたちに教えられたのです。
この一文から、私たちは多くのことを学びとることができます。ぜひ「もりこまれた内容の高いおもしろさ」を追及して、今後の計画を進めていってほしいと思います。
