四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

アサギマダラの謎

2007-08-18 16:57:00 | 
アサギマダラは渡りをする蝶として有名です。
「アサギマダラ 海を渡る蝶の謎」によると、アサギマダラは、5月前後に、種子島、喜界島、南大東島に多数飛んでいますが、夏にはその姿を完全に消します。20度前後の気温を好むから移動をするのではないかと思われます。
喜界島で毎年数千頭の蝶の翅にマークを記入し追跡しているそうですが、本州で多数が捕獲されると期待されるにもかかわらず、捕獲例はほとんどないそうです。ということは、大海原に飛び出したものの、本州にたどり着く確率はきわめて少ないということです。
九州以北では5月から現れ、やがて北上し、羽化した新しい世代に交代しながら盛夏には近畿から東北の1,000m級の山や高原に見られます。秋になると、山を下り、東海から四国の太平洋側をとおり、9月下旬以降に喜界島や南大東島、石垣島などに渡るものもありますが、本土で越冬する個体もあるようです。本土内での春から秋までの移動はかなり把握でき、秋の渡りのルートも少しずつ事例が積み重なっています。
アメリカ大陸ではオオカバマダラという渡りをする蝶が有名ですが、カナダ(五大湖辺り)の東部個体群は集団をなしてメキシコの一地点に移動し越冬します。
それに比べてみると、アサギマダラは喜界島や南大東島に多数繁殖しているのに、夏に涼を求めて本土に移動するという方法論がまだ定着していない発展途上の蝶のようにも思えてきます。いわば試行錯誤での移動?海を渡るルートや技術が未確立ということなのでしょうか。
その美しい姿といい、謎の生態といい、魅力の尽きない蝶です。

佐藤栄治・写真と文,“アサギマダラ 海を渡る蝶の謎”、山と渓谷社(2006)
コメント (4)

スチールパンバンドの演奏

2007-08-13 10:15:00 | 音楽
8月10日、久しぶりにアークカラヤン広場に昼休みコンサートを聴きに行きました。PELEという12人編成のスチールパンの演奏。文字通りスチール製の大きなフライパンのような形の楽器の内側を、木の棒の先にゴムを取り付けたものでたたいて音を出す。



音の高い順にテナーパン(中央前列の4台)、セカンドパン(二列目、パンの深さが増大)、ギターパン(右端、ドラム缶の半分の深さ)、セロパン、ベースパンがあり、ベースパンはドラム缶の大きさだ。それらのスチールパン類のほかに、ドラムスとパーカッションが加わり、12人編成で演奏していました。カリブ海に浮かぶトリニダードトバコで生まれた楽器で、20世紀最大のアコースティック楽器発明と呼ばれているそうです。
演奏されたトリニダードトバコの民族音楽は、打楽器のリズムに合わせて金属音が激しく鳴りひびき、暑い夏を象徴するような情熱的な音楽でした。



バッハのG線上のアリアが演奏される。一番高音のテナーパン4台は、バイオリンの役割か。まったく新しいG線上のアリアのサウンドがかもし出される。スチール製の楽器だが、力をセーブして叩くと思いのほか柔らかい音色であのバッハの世界が広がっていました。

こんな楽器を見たことも聞いたこともなく、びっくりです。しかも、どこを叩くとよいのやら難しそう。楽譜を用いずに、すべて編曲者が教えたとおりに覚えこんで演奏していると紹介がありました。
興味深かったので、終演後に舞台に駆け寄り、一番高い音を出すテナーパンの内側を見せてもらう。29もの丸い平らな面があり、外側から半音階ずつ音階が上がって、なんと29もの音を出すことができ、1つのスチールパンで2オクターブ半も出すことができるとのことでした。
演奏の合間に、1年に一度、トリニダードトバコの楽器製作者にチューニングをしてもらうとの話がありました。パンの平らな面を叩きなおしてチューニングするのでしょうか。とにかく不思議な魅力を秘めた楽器演奏でした。

テナーパン
コメント (3)