徳ちゃん繁昌リポート

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【寄り道紀行】70歳から本領発揮の天才絵師展

2014年08月24日 | 出張先々
小倉に仕事で来た機会にリバーウォーク北九州5階の北九州市立美術館別館に足を運びました。「ボストン美術館北斎展」が今月31日まで開催されているのです。最近は日展で油絵を見たり、九州国立博物館のクリーブランド美術館展で水墨画を見て、そして今回は浮世絵と、見る目はかなり磨かれているはずなのに感性は未だ眠ったままのようですね。

日本の画家として世界一有名といってもいいほど、誰もが一度は名前を聞いたことがある葛飾北斎は宝暦10年(1760)年9月23日、江戸本所(現 東京都墨田区)に生まれました。当時の江戸は町人文化が円熟し、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽などの絵師による錦絵が黄金時代を迎えた頃です。町民として生まれ育った北斎は幕府や大名お抱えの御用絵師ではなく、90年にわたる長い生涯を町の一介の画師として生きたのでした。終生質素な暮らしを貫き、酒も飲まず、煙草も吸わず、高級なお茶も飲まず粗食に徹し、身なりにもかまわず破れた服で暮らしていたといわれており、生涯で93回も転居を重ねた引越し魔であったとも伝えられています。また、「勝川春朗」としてデビューしてから有名な「北斎」、「為一」等を経て「画狂 老人卍」として没するまで30以上の画号を使用したことでも知られ、死ぬまで自らの絵の革新のみをひたすらに追い求めた人生でした。世界中で広く愛されている浮世絵版画の中でも、北斎の作品は特に人気があり、日本のみならず欧米にも熱心なコレクターや研究者が多く、世界各国の美術館に作品が収蔵されています。北斎は、米国のライフ誌が選んだ「この千年で最も重要な出来事・人物」に、唯一名前の挙がった日本人でもあります。

多彩な作品を描き続けた北斎ですが、やはり何と言っても代表作は「冨嶽三十六景」で、出版当初から相当な評判を博し、表題が示すように当初予定されていた36図から増え、全46図が制作されたそうです。本展では選りすぐられた21図が出品されていますがやっぱり本物は違う!見る人誰もを魅了していましたね。質素な庶民暮らしの中で70歳を越えてから本領発揮した天才絵師、実年世代には正に勇気づけられる歴史上の人物でした。


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