広告料、購読料として人々はメディアの維持費を賄い、その月額が維持される分だけニュースは報道され解説され、量産され、サイクルは安定して回転します。
メディアから離れる。テレビを見ない、新聞を読まない、という生活をするとどうなるでしょうか?インターネットも見ないことにします。そうすると現実が分からなくなるのでしょうか?
しかし人と付き合わないわけにはいきません。人と話せばその背景にはテレビの語る現実がある。インターネットを見てもその背景にはマスメディアの語りばかりが見えます。結局、現代人である限りマスメディアの作る現実の中で生きることになります。
漫画やアニメ、SFには異世界があります。しかしこれもなかなかこの世の現実から離れられない。傑作はあります。ジョージ・オーウェルの1984(一九四九年 George Orwell 「Nineteen Eighty-Four」)などまさに現代のデジタル権威主義社会を予言したようなディストピアを描いています。
これは現実と乖離した絵空事を描いた傑作なのか?逆に当時の現実(スターリン体制の拡大)を切実に表現したからこそ傑作になったのではないでしょうか?
現実とまったく独立した幻想の夢物語は傑作になれるのでしょうか?RPGゲーム・ドラゴンクエスト(一九八六年 堀井 雄二他「ドラゴンクエスト」)は魔物と戦う異世界の物語です。これも仲間と協力して経験値を積み上げ階層をよじ登っていく青年期の願望を絵にしたものといえます。
現代の現実の中でどうすれば確実にステップアップできるのか?現代青年の悩みが映されているとみればこれも現実を語っているこの世の声の一つなのでしょう。
