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哲学の科学

science of philosophy

理論を語る人々(12)

2023-02-04 | yy87理論を語る人々


日本人特別理論
日本人は特別優れている、あるいは、特に劣った人々だ、と叫ぶ主張。理論も伴なって熱心に展開する。拙稿でも挙げましたが(拙稿78章「日本人論の理論の理論」)、昔からちまたにあふれています。このような国民性理論、特に日本では好まれるらしく江戸末期以来、いつの時代も、何度でも出回る理論です。 
最近は議論が科学風に精緻になってきて、グラフなどデータを図示する記事が目立ちます。つまり日本を示すドットが群集する諸国のドットから隔たっているような図が好まれて引用されています。たとえば寿命世界一、健康保険世界一、相続税世界一、長寿企業世界一など国勢の優秀性がよく引用されます。
逆に低経済成長率、低出産率、高未婚率、高自殺率、低幸福度率、低自己肯定率、低開放気質率など、日本人ダメ理論に使われるグラフも多く示されます。
日本特によし、あるいは特にダメ、という極論が好まれるのは、インターネット世界の常ですが、マスメディアも昔からイデオロギー好きの伝統が残っているらしく日本人論談義は実態の必要以上に話が弾むことはよく知られています。
拙稿の見解では、残念ながら水を差すようですが、日本人は今や特別な人々ではない(拙稿78章「日本人論の理論の理論」)と言わざるを得ない。
高度成長期を終えたこの国は、成熟期の先進国の常として、資本と技術を外国に移し金融の収入で豊かさを維持しています。現代の日本人は間違いなく平和で富裕な生活を享受しています。
マスメディアは、もともと感情に訴えるビジネスですから、平安な事象に言及せず怖い予測を強調し、豊かに平和を楽しむ幸福感を否定します。安心ですか不安ですかのアンケートを繰り返せばふつう不安が多数派になります。
しかし実際、体制を覆す気はない。変化は嫌いです。国民はデモもせず選挙では与党に投票します。
テレビを見れば暗い話題が多い。明るい話は自分の周りにもありません。つまらない毎日に思える。差し当たって困るということはないが先行きは不安。それでもささやかな楽しみはあります。それで毎日を過ごしています。
これは特別な人々の態度とはいえない。他国の人々と比べて特におかしいところはありません。豊かで平和になれば当然だれもそうなるでしょう。そういう時代に達した国です。













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