「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

一日と一世紀 2013・07・06

2013-07-06 07:20:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。

 「 どうしたら我々はこの不安(あと人生の残りの時間がどれだけあるかという不安)から逃れることが

 できるか? それはただ一つ、人生を未来に目標を置いて運んでゆくのでなく、ただいま自分自身に

 集中させることによってだ。未来に依存する者には、現在は無意味になってしまうからです。

  しかし、僕が自分自身に課したことが為し遂げられ、心が一日と一世紀のあいだに何の違いもない

 ことを確かに知るとき、たとえ将来何が起ろうとも心はそれを超越した高みから眺め、非常な上機嫌

 で時のつながりを考えることができるようになる。君がそのように強い自信をもって予測すべからざ

 るものに対するなら、偶然事の転変なぞによって不安になるわけがありますか? だから、わがルキ

 リウス君、急いで今の君の人生を生きるがいい、そしてどの一日もが自分の全人生であると思いなさ

 い。このような心構えで生きる者、毎日を全部自分の全人生としてとして使いこなす者は、あらゆる

 不安から自由です。
                               『手紙』101-9・10」

   (中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)


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