「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

日米の文化の違い Long Good-bye 2024・07・31

2024-07-31 04:59:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」。

  最近読んだ 村上春樹さん ( 1949 -   ) の随筆「 村上

 朝日堂はいかにして鍛えられたか 」( 新潮文庫 )

 の中に 「 新聞について 、情報について 、いろいろ 」

 というタイトルの小文がある 。

  その冒頭に ちょっと長い こんな一節がある 。

  「 この十年くらい新聞をとっていなかったのだが 、
  思い返してみても 、それでとくに不自由したと
  いう覚えはない 。テレビのニュースもほとんど
  見ない 。あるいはそのおかげで何か大事な情報
  を逃して 、実際には不自由しているのかもしれ
  ないが 、しかし不自由しているという意識が本
  人にないのだから 、それを『 不自由 』と呼べ
  るのかどうかは難しいところである 。情報とい
  うのは不思議なもので 、入ってくる情報のどこ
  までが必要でどこからが必要ではないのかと考
  えていくと 、だんだん境界線が不分明になって
  くる 。必要ないと思えばすべて必要ないみたい
  だし 、逆に一度情報の不足が不安になりだすと 、 
  きりなく不安になってくる 。だからこそ情報産
  業がかくのごとく栄えるのだろう 。
   たとえば僕はコンピューターのネットワーク・
  サービスを使っているが 、そこにある情報の大
  半は生活には不要な代物である 。 というか 、
  100パーセントなくたって 、今のところは実
  際には不自由しないみたいだ( あればあるで使
  っちゃうんだけど )。それをいかにも不自由な
  ように見せかけて 、本来ないはずのところにヴ
  ァーチャルな需要を作り出すのが 、実は現代の
  情報産業みたいである 。」

  四半世紀も前に書かれた文章だけど 、新聞や情報についての

 小説家の感想が 、2024年( 令和6年 )の 日本社会に 、

 色せず 、100% あてはまるところが 、面白い 。

  紙の新聞は オワコン である 。日本の団塊世代が死に絶える

 2050年頃には 姿を消しているだろう 。クロニクルの一

 形態として 、ネット空間にだけ残ってるんだろうか 。 

  ( ´_ゝ`)

  こういう真面目な小文がある一方で 、「 裸で家事をする主婦は

 正しいのか? 」なんてタイトルの小文もこの随筆には入ってる 。

 「 全裸家事主婦題 」について 、400字詰め原稿用紙5枚を

 費やして 、日米の文化の違い を論じておられる 。嫌いじゃない

 テーマではある 。

 

 

 

 

 

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