今日の「お気に入り」は、昨日の続き。
「 『 試験って、どんな問題が出るの? 』
と息子に聞いてみると、彼は答えた。
『 めっちゃ簡単。期末試験の最初の問題が『エンパシーとは何か』だった。で、次が
『子どもの権利を三つ挙げよ』っていうやつ。全部そんな感じで楽勝だったから、余
裕で満点とれたもん 』
得意そうに言っている息子の脇で、配偶者が言った。
『 ええっ。いきなり『エンパシーとは何か』とか言われても俺はわからねえぞ。それ、
めっちゃディープっていうか、難しくね?で、お前、何て答えを書いたんだ?』
『 自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた 』
自分で誰かの靴を履いてみること、というのは英語の定型表現であり、他人の立場に
立ってみるという意味だ。日本語にすれば、empathy は『 共感 』、『 感情移入 』
または『 自己移入 』と訳されている言葉だが、確かに、誰かの靴を履いてみると
いうのはすこぶる的確な表現だ。
『 教育を受ける権利、保護される権利、声を聞いてもらう権利。まだほかにもあ
るよ。遊ぶ権利とか、経済的に搾取(さくしゅ)されない権利とか。国連の児童の
権利に関する条約で制定されてるんだよね 』」
(ブレイディみかこ著 「 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 」 新潮社刊 所収)
「『自分で誰かの靴を履いてみること』という英語の定型表現 」にも、色々な言い回しが
あるようです。" Try putting on someone's shoes " とか " Stand in someone's shoes "とか
" Put oneself in someone's shoes " といった表現の他に、意味から入って " Put yourself in
their position " とか、あるいは端的に " Think in their shoes " といった表現もあるようです。