「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

Long Good-bye 2020・01・12

2020-01-12 05:00:00 | Weblog

                                                  



   今日の「お気に入り」は、昨日の続き。


    「 『 試験って、どんな問題が出るの? 』

     と息子に聞いてみると、彼は答えた。

     『 めっちゃ簡単。期末試験の最初の問題が『エンパシーとは何か』だった。で、次が

     『子どもの権利を三つ挙げよ』っていうやつ。全部そんな感じで楽勝だったから、余

     裕で満点とれたもん 』

      得意そうに言っている息子の脇で、配偶者が言った。

     『 ええっ。いきなり『エンパシーとは何か』とか言われても俺はわからねえぞ。それ、

     めっちゃディープっていうか、難しくね?で、お前、何て答えを書いたんだ?』

     『 自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた 』

      自分で誰かの靴を履いてみること、というのは英語の定型表現であり、他人の立場に

     立ってみるという意味だ。日本語にすれば、empathy は『 共感 』、『 感情移入 』

     または『 自己移入 』と訳されている言葉だが、確かに、誰かの靴を履いてみると

     いうのはすこぶる的確な表現だ。

     『 教育を受ける権利、保護される権利、声を聞いてもらう権利。まだほかにもあ

     るよ。遊ぶ権利とか、経済的に搾取(さくしゅ)されない権利とか。国連の児童の

     権利に関する条約で制定されてるんだよね 』」


    (ブレイディみかこ著 「 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 」 新潮社刊 所収)





     「『自分で誰かの靴を履いてみること』という英語の定型表現 」にも、色々な言い回しが

     あるようです。" Try putting on someone's shoes " とか " Stand in someone's shoes "とか

     " Put oneself in someone's shoes " といった表現の他に、意味から入って " Put yourself in

    their position "
とか、あるいは端的に " Think in their shoes " といった表現もあるようです。
     
    





   
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