「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2005・04・23

2005-04-23 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 「自分の失敗に同情してくれるのは本当の友ではなく、自分の成功を喜んでくれてこそ真の友だという西諺がある。失敗を聞いてかけつける友の目にはかすかに喜びの色がある。その悲運を見舞うと称してのこのこやって来るのは、この目で確かめたいからである。こういう友に限って、オレだのキサマだのとなれなれしい言葉を使う。肩をたたきあえば友になれるなら、友はいくらでもできる。」

  (山本夏彦著「おじゃま虫」所収)

 「利のないひととはつき合わないでいたのに、晩年になると同じ学校にいたから友だって言いだすんですよ。死に目が近くなると旧交を温めたがる。それが同窓会です。」

 「筒井筒の友が死ぬのは、そのひとの記憶にある幼いころの自分が死んだのです。それを惜しんで嘆いているのを、私たちはそのひとの死を嘆いていると好んで取りちがえるんです。」

  (山本夏彦著「意地悪は死なず」所収)
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