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日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

英語をめぐる冒険@カンヌ国際広告祭

2010年09月08日 | 広告とか
カンヌ国際広告祭が終わり、少し情報が整理される1、2ヵ月後、あちこちで「報告会」的なセミナーや講演会が開かれる。入場料を取って商業用ホールを借りて行われるものから、どこかの会社やサークルなどでの「カンヌレポート」など、装いはさまざまだ。

ここ数年は主なジャンルの審査に日本人が加わっていることも多く、審査の状況など臨場感を持って聞かせてもらえることはありがたい。選ぶ側の雰囲気(冷房の効いた薄暗い部屋で朝から晩までひたすらモニターを見る、とか)や応募の対策なども分かってくるのは収穫だ。

ただ、ときどき気になる話も聞く。審査員たちの国籍はさまざまで、むしろ英語ネイティブは少ない。それにクリエイターという職種柄(部門によってはよりビジネスよりの人選がなされている場合もあるけれど)、基本的な英語でかなり通じあうものがあるようだ(ぼくもそういう経験あります)。とはいえ、基本的なやりとりはおさえておこうよ、と思うのは、ときたまこんな話を聞くことがあるからだ。

「英語があまり分からないから、こうやって乗り切りましたよ、はっはっは」

例えば普通に会話の流れに入っていくのではなく、必ずキーワード的なひと言を発して(アイ・シンク・シンプリシティ・イズ・モースト・インポータント!とか)自分で流れを作っていく、などというのもやり方のひとつ。賢いやり方である、とは思う。

大昔、はじめてアメリカ(ニューヨークでした)に行ったとき、うっかり旅の英会話なんか見て道でも訊こうものなら(中央駅にはどう行けばいいですか?みたいな)、相手はぺらぺらと普通のスピードで答えてくれるのでこっちはさっぱりわからない。エクスキューズミー?を返し続けるわけにもいかず、曖昧な笑顔でサンキューと言うしかない。わかるまで訊ねなさい、なんて言う人もいるけれど、最初のひと言からわからないんじゃ無理だよ。きっと変な東洋人だと思われただろうな……。

で、困ったあげくに編みだしたのが「二進法英会話」。つまり右か左かとかイエスかノーかとか、二者選択で答えられる質問をするわけだ。これなら時間はかかるけど、ひとつひとつ疑問を詰めていけば求める答えにたどり着けるはず。コンピューターだって原理は同じだし……ただこの方法は恐ろしく面倒くさい。相手が気が短いと、何が聞きたいんだ、みたいな顔になる。という顛末ではあったけれど、思いつきとしては悪く……なくなくない(汗)?

えーっと、話しずれちゃってすみません。「英語が(あまり)わからなくてもOK!」武勇伝はなかなか面白い。審査員に選ばれる人たちは、基本頭が良くて感覚も鋭い人ばかりなので、話を聞いていて退屈することもない。だけど少しだけ不安になるのは、概ね了解のコミュニケーションの危うさだ。いつも皆が話題にする「世界と日本の違い」みたいなもののヒントは、実はその「概ね」からパンくずのようにこぼれ落ちた細部にあるように思えるからだ。

そんなこと言ったって無理だよ、つーのもわかります。もし自分が審査員だったら、しどろもどろな数日間を過ごす羽目になるかもしれない(まあないだろうけど)。だけどそろそろ、広告業界も一般企業みたいに英語の通用度を考える必要があるんじゃないだろうか。一足飛びにユニクロや楽天みたいになる必要はないけれど、どこかの誰かが訳した情報を有難がって論じている様子は、スパゲティナポリタンのレシピを追求するようにも感じてしまうのだ。好きだけどね、ナポリタン。

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