TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

ラーメンなら寂しくない

2011年10月13日 | 雑感日記
先週末の旅行、
空港と街との間はバスで移動した。
旅自体は、とても素晴らしかった!
でも書こうとしているのは、
その話ではないのですよ。

街が素晴らしかったぶん、
移動中の郊外の風景が、
よそ者には寂しく見えた。

町として放置されたような、
地方の幹線通り沿い。
どんなに道路がきれいでも、
その伽藍堂な空気は重い。
どんな設備を作っても空しいだけだ。
ファンシーな喫茶店など、以ての他。
痛々しくて、見ていられない。

でも、唯一、これなら大丈夫と思った。
何の変哲もない、ラーメン屋さん。
決して今どきの「こだわり原理主義」ではなく、
取り柄は量の多さ、みたいな感じがいい。

アメリカのど真ん中で出くわす
無神経なダイナーのように(行ったことないけど)、
武骨なラーメン屋だけが、
終わってしまった、というか始まってもいない
町に根を生やすことができる。

なんていうか、孤独の最後の砦。
だから僕たち日本人は、
ラーメンが好きなのかもしれない。
たぶん食べてる間は、寂しくないのだ。

クロ現は、ジョブズの何をクローズアップしたのだろう。

2011年10月12日 | 雑感日記
NHKの「クロ現」ことクローズアップ現代、
今日のテーマは今月の5日に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏のことだった。

なんていうか、放送としては最適なタイミングだったのかもしれない。
直後では事実の持つ重みを超えられないし、充分な用意もできないだろう。
しかし日が経ち過ぎると、「現代」という言葉が合わなくなってくる。
(事柄の重大性ということではなく、時間の感覚として)

ま、それは後から思ったことであり、ともかくはこの番組が見たかった。
別にアップル信者でもないけれど、
氏が追い求めた「使う立場からのイノベーション」には心惹かれていた。
MacやiPhoneを使うのは、自分もその一員という錯覚からかもしれない。

ではその錯覚に、クロ現はどう答えてくれたのか。
街頭でのコメントや(知人がクローズアップされていた!)
元アップル副社長の日本の方々のインタビュー。
部品を受注した小さな会社を驚かせた、そのこだわり。
そして10年前の番組での国谷キャスターとのやりとりや、
ゲストとして登場した孫正義氏の思い出話。
それらは実にバランスよくまとまっていて、
頭脳明晰な弔辞のようでもあった。

うんうん、スティーブってそういう存在だったのだよなと、
納得しかけはしたのだけれど、一方で何か物足りない気もした。
もちろん、ジョブズ氏を振り返るという点では間違いのない内容だし、
さまざまな情報を簡潔にまとめてくれたことには感謝。見て良かったと思う。

でもあれが番組ではなく彼のお葬式だったとしたら、
たぶん僕は、昔からの仲間と連れ立ってどこかで飲んでいたかもしれない。
酔っぱらってハングリーとか、フーリッシュとか言いながら。

ホリスティック・コミュニケーション/秋山隆平×杉山恒太郎

2011年10月05日 | 読書とか
ホリスティック・コミュニケーション
クリエーター情報なし
宣伝会議


副題は「アクティブ・コンシューマーの出現で進化する広告と販促の境界」。
ちょっと大袈裟にも感じるけれど、書かれたのは2004年。
もう充分に「古典」なのかもしれないけれど、
土台となる論理がしっかりしていて、なかなか学びどころがある。

たとえばマルクスの「量は質に転化する」を引用しての一文、
「マルチメディア化の本質は『速度は質に転化する』という一点に尽きる」。
デジタルの持つ力の出所が、はっと見えた気がした。

またブリタニカ百科事典の凋落にふれ、
実はコンテンツの制作費、編集費は5%で、あとは人件費という一節。
デジタル化のコスト構造への影響を端的に語ってくれている。
(デジタルで人件費が節約、ということではなく、
ビジネスの本質がどこにあったのかという視点で)

一方で、時代の流れを感じさせる記述も。
たとえばFMが聴ける携帯電話での「ラジオとモバイルのコラボレーション」。
いやー、ラジオ局としては画期的な施策だったようだけど、
たぶんこれ、ラジオというものの特質と合わなかったのでは?
かけて流れ去っていくのが魅力であり、検索行動と馴染まなかったのでは……。

でも、そんなことも含めて示唆に富んだ一冊。
道に迷ってるオジサンたちは読むべきだなぁ(大自戒)。

マルタ@西麻布~寿司はコミュニケーションか

2011年10月04日 | 食べたり飲んだり
……なんて、安っぽいネット広告のコピーみたいな釣り(?)ですみません。
いや、お店の良さはもう語る必要もない、というかいつ行っても人気ですから。
第一この写真、ここお寿司屋さんじゃないし。

で、ゲストとしていらっしゃった板前さんが握ってくれたマグロ。
これ、美味しいことはもちろん、なんか嬉しいのですよ。
ま、気取らない席だったせいもあるだろうけれど、
食べ物を手で握って出すって、
コミュニケーションの究極の形のひとつなのでは。

ちなみに、今年の目標は、好きなお寿司屋さんを見つけること。
カウンター越しで時価に、じゃなくて直に楽しめる一店を探します。

あ、マルタ情報はこちらですよ(それにしても、こんな評価なのかなぁ)。

グランズウェル/ソーシャルテクノロジーによる企業戦略

2011年10月03日 | 読書とか
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press)
クリエーター情報なし
翔泳社


確かに事例は古いかもしれない。
でもたとえば、ユニリーバが「エヴォルーション」キャンペーンを生み出した経緯など、
あらためて参考になる。

ここで書かれているように、

小さくても、効果的なステップを重ねる/ビジョンとプランを持つ/リーダーを巻き込む

という3つのプロセスに分けて見ると、
自分で何か手がけるにあたってのフレームが少し見えやすくなる気がする。

カンヌのドラマチックな成功事例も面白いけれど、
こういう地固めみたいな知識を持っていないとなぁ、と感じた一冊でした。