TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

ACCカンヌ国際広告会入賞作品研究会

2009年09月30日 | 広告とか
有楽町朝日ホールで開催されているこの催し、吟味された内容と
現役トップクリエイターの解説で、毎年とても参考になる。
今年から午前午後の2回となったのも、希望者が多いからだろう。

でも同時に、いつも気になっていることがある。
皆揃って「お勉強」しているようなあの雰囲気。
カンヌの上映会場とは違う空気を感じるのだ。
「世界の広告トレンドを学んで、次は自分たちも」
……それは実に良いことだし、僕もある時期そうだった。

でもそこから――少なくとのも会場のこの空気から、
新しいものって生まれてくるのだろうか。
「カンヌ合格」はできても、驚かせ、嫉妬させられるのか。
そんな気がしてならなかった。

一方でプロモーションのグランプリ「夕張夫妻」や
メディアのグランプリ「キットカット」は素晴らしい。
フィルムでグランプリ紙一重だった「ラブ・ディスタンス」は、
確かに世界を驚かせた。それは十分わかっているのだけど。
……単に僕がネガティブなだけなのだろうか。

ところで帰りのエレベーターが1階に到着したとき、
ずっとボタンを押してくれた女性に誰ひとりお礼を言わなかった。
世界を狙うのなら、まず人として世界に通用しようよ。

あ、それから解説の河野さん、素晴らしいお話ありがとうございました!
でもアディダスの「別れ屋」って日本じゃなくてイギリスのCMでは?

おくりびと(@テレビ放映&ネタばれあり)

2009年09月23日 | 映画とか
熊:おう、八っつぁん、目なんか赤くしてどうした?
  また女房に逃げられたってか?
八:俺ゃ、まだ独身だっつーの。映画見たんだよ、ほら「おくりびと」。
熊:あー、あのアカデミー賞獲った。それで泣いてたのか。
  ま、いいもん見て泣けれゃ、幸せじゃねえか。
八:いや、それが……。
熊:なんだよ?はっきりしねーな。いい歳してそんな泣いといて。
八:いい歳は余分だろ……中学生くらいの娘を持つ母親の納棺の場面、
  最後の化粧を見て「お母さん!」と泣いちゃうとことか、
  それまで我慢してたんだろう、ぐっときちゃうんだよなぁ。
熊:ふんふん、広末涼子は可愛いしね、いまだに。
八:それゃ関係ない、つーか演技はいっぱい×2だなぁ。
  あれゃ、受けるモッくんが上手いんじゃねえかなぁ。
熊:さすがモッくん、いい役者だねぇ。
八:だからさ、あんなモノローグ満載にするこたねぇんだよ。
  芝居で見せろと。
熊:だけど八っつぁんの好きなウディ・アレンも多いよ、モノローグ。
八:あれは違うの、語りの角度が。
  ストーリーに別の視点を持ちこむのはいいんだけど、
  こいつは物語の補足説明にしか聞こえねぇんだよ。
熊:最後はいいらしいじゃねえか、家を出たきりのオヤジの話。
八:まあ、締めるならこのネタだろうと思ってたんだけどさ、
  なんかバタバタとまとめられちゃったみてぇでなぁ。
  「走れメロス」かと思っちったぜ。
熊:結局、良かった悪かった、どっちなんでぃ。
  なんたってこれ、オスカー受賞作だろ。
八:ま、挫折したチェロ奏者っていう西洋的な設定のキャラが
  東洋の神秘、納棺師の世界に目覚めていくことで、
  生と死っていう普遍的なテーマにスムーズ&エキゾチックに
  導いてあげられた、そんなとこもあるんじゃねえの。
熊:とすると何かい?
  あのモノローグも英語で接する前提で
  わかりやすく作ってるってのかい?
  だとすると天才だなぁ、この脚本家。
八:ま、ある意味そうさな。確かによくできてるよ。
熊:……しかし八は、制作者の巧みな技に感銘を抱きながらも、
  醒めた気持ちをどこか振り切れなかったのだった。
八:お前さんまでモノローグで締めんなよ!

第14回インタラクティブ塾

2009年09月14日 | 広告とか
…というセミナーに行ってきました。
来場者のほとんどが俺よりはるかに若い人たちで、
アンケートの年齢層区分の最高が「30代後半以上」…。
学校行事みたいな雰囲気もあったけれど、スピーカーは
一流どころの方たちで内容はとても充実していた。

ところで思ったのだけど、4マス媒体主体の従来の広告と
昨今のメディアニュートラル的コミュニケーションを見ていると、
プロレスとMMA(総合格闘技。Mixed Martial Artsから)の
関係に似ているような気がしてならない。

別にマッチョの大男でなくてもポイントを決めれば一本とれる。
お祭り騒ぎをしないでも、観客の方でどんどんのめり込んでくれる。
ねっ、(って言われても、だろーけど)結構似てるでしょ、
その関係性。誰かわかってくれないかなぁ。

ただ、プロレスにはプロレスの良さがあって、けれん味上等、
わかりやすく盛りあがろうってときにはアリなんですよ。
三沢の死後(涙)、初代タイガーマスクや復活した船木、
あらためて面白くなりそうなプロレスを見ていると、
旧マス媒体(あ、旧なんて書いちゃった)もまだまだ
生きる道があるんじゃないでしょうか。

今までのような無駄に美味しい時代は2度と来ないけれど
(それは自覚すべき)すべてが有機的に活用されてこそ
ホントのクロスコミュニケーションだと思うのでした。

で、誰か賛成してくれないかなぁ、
メディアニュートラルは総合格闘技だって説。



翻訳関係2冊(覚え書きとして)

2009年09月13日 | 読書とか
鳥飼玖美子「歴史を変えた誤訳」と
多賀敏行「『エコノミック・アニマル』は褒め言葉だった」
(副題:誤解と誤訳の近現代史」)を続けて読んだ。
興味深くて怖い2冊。仕事で英語に関わる人は是非。

もしかすると(いや、少なくともある部分は必ず)
日本の外交問題の一因は言葉にあるのではないだろうか。

歴史をかえた誤訳 (新潮文庫)
鳥飼 玖美子
新潮社

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「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)
多賀 敏行
新潮社

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